第二話 登場!巨大なる力
登場人物
エレメント・ファイター周辺人物
火野 茜
主人公。熱血直情的な性格。
エレメント・ファイターのリーダー格。
赤い戦士、エレメントファイア
水原 碧
ストレートの黒髪長髪で、クール系。
エレメント・ファイターの参謀的存在。
青の戦士、エレメント・ウオーター
土門 橙花
がっしりした体型で、ショートヘアで大雑把な性格。
黄色の戦士、エレメントガイア
風吹 翠
小柄で、ひょうひょうとして周囲を和ます、ムードメーカー。
緑の戦士、エレメントウインド
白銀博士
銀髪の前髪に金のメッシュを入れた白衣の博士。
エレメント・ファイター周辺技術の生みの親。
話し方が吹き替えの子役並みに棒読み。
カラン
暑さが収まってきて、過去には秋と呼ばれていた季節。
体温に近い気温であっても、涼しくなったと感じてしまうものの、喫茶店では皆がエアコンの効いた屋内の席でのんびりするのが当たり前になってきている。
その暑さの中、二人の女性が数あるテラス席の周囲を見渡せる席でくつろぐように向かい合っていた。
一人はショートカットで、赤い上着の袖をまくり、氷が溶けて薄くなったアイスコーヒーをかき回しつつ、正面の緑色のシャツを着た、髪を肩で揃えた女性に話しかけた。
「あれから、結構あの連中潰したが、なんの反応もないな」
「えっと、火野、だっけ?」
「ああ、火野 茜だ。風吹 翠」
「TVに出てるコメンターだの、有力議員とやらの化けの皮剥がしても、報道されなければなかったことになるみたい、だね」
赤い女性、火野の粗野な語り口に対し、緑の女性、風吹がぎこちなく女性言葉になるように返す。
「あと、火野はリーダーなんだから、もうすこしそれっぽくしてもいいんじゃない?」
風吹が自分用に頼んだ、大きめのチョコパフェを頬張りつつ説教モードに入る。
メンバー四人の中では小柄ではあるものの、自分たちのことは理解してふるまっているだけに、火野の言動が許せないようだ。
『あの時に選ばれたのだから、自分の役目は果たして見せる』
風吹が目覚めたとき、開口一番に言い放ったものだ。
「ああ、わかっている。せっかくあの時に生き残ったのだから、奴らの対抗手段として…」
「それもそうだ。でも、すべてじゃない。わかってる、リーダー?」
火野の手にしていた、アイスコーヒーをぐいっと飲み干し、空になったグラスを握りしめる。
「もちろん。ほんの少しでも「最底辺のスパイ」を裏返す。それが最初の目的だ」
「そうだ。権力と金につられて、奴らの味方になった奴らの正体を暴くことによって「普通の人々」の目を覚ます。まずはそれからだ」
風吹は立ち上がると、レシートを手に店内に歩き出した。
「あ、まて、ここはおれが」
「『おれ』はやめてくれないか?一応10代後半か、20代前半のうら若き女性の姿なんだし」
「いや、しかし…そうだな、なれないと、か」
「よくできました。そのご褒美にそのコーヒーは、あたしの奢りだよ」
「すまな…いや、ありがと。つぎはあたしが出す」
「はっはは、いいんじゃない?長い付き合いになりそうだし」
豪快に笑ってみせる風吹の横顔を眺めつつ、火野のこころは複雑なものに包まれた。
『ほんとうに終わるのか』という不安とともに。
同じような時間、別の場所。
打ちっぱなしの大きな倉庫のような場所に、巨大な4つの何かが組み立てられていた。
このような倉庫にありがちの明り取りと、空調を兼ねた天窓や、高所に並んだ窓らしきものがないにも関わらず、かなり明るくなっている。
なにか不可解な技術が関わっている、というのが、ここで働いている作業員たちの総意であった。
作業員たちは安全のためか、ゆったりしたつなぎのようにもみえる、全身を覆った作業着に、宇宙服のような頭だけでなく、顔さえも隠れたヘルメットを着けていた。
フルフェイスのヘルメットに、手足の指先も覆ったその姿は昔のSFに出てきた宇宙服にも見える。
「なぁ、これなんなの?」
作業員たちと違い、黄色のシャツに白い七分丈のパンツ、足元はウエスタンブーツとわりと軽装な女性が呟く。
短めの髪と、女性にしては大柄でたくましいのだが、幼めの顔と高めの声が威圧感をなくしているようだ。
「どうした、土門 橙花?」
「えっと…みずはらさん、だっけ?なんでフルネームで言うのさ。
苗字か、名前だけでよくない?」
土門と呼ばれた女性が、ロングヘアーで、青いジャケットを着た細身の女性に不満げに問いかける。
「気にするな。土門。で、気になるのはあのデカブツ4つのことか?」
水原と呼ばれた女性がクールに返す。
「まぁ、それもそうなんだけど、このでかい倉庫が明るかったり、ここから出た途端にここの音が聞こえなくなるとか言う不思議空間はなんなの?って」
「ん、まぁ、それはここに居る人間だれもわかってないんじゃないかな?」
土門の素朴な疑問に対し、ほぼ同じ疑問を持った水原が答えをにごす。
「やぁ、みずはらあおいくんにどもんとうかくんではないか。
どうだい、この施設は」
大音量で作業してる様子を見ている二人の後ろから話しかける、というより、台本に書いてある文字を読み上げているといったような感じの声がかかった。
二人が振り向くと、大雑把にカットされた銀髪に前髪の一部に金のメッシュをかけた白衣の女性が、大きめの白衣のポケットに両手を突っ込みながら、近づいてきた。
「あらま、白銀センセじゃない。げんき?」
「博士…相も変わらず、子役の吹き替え並に感情の感じられない話し方だな」
大音量の中会話が続く。
「これもきみたちの力だよ」
「あのデカブツが?」
4つの建造物、1つは先っぽが尖った円筒型の後ろに、大きな四角いブロックをつなげたもの。
1つは先っぽを潰した四角い形のブロックを先頭に、Hに似た形の長方形の柱を三本つなげたもの。
1つは大きな四角いブロックの下にキャタピラを着け、上部に2本の筒を取り付けたもの。
1つは四角いブロックから2本の円筒が突き出たもの。
それぞれの先端に、人が乗るような部分がある。
「いつになるかはわかんないが、これは絶対必要になる」
声は平坦まま、白銀の表情が固くなる。
「こんな者が必要な相手…。最初の侵略を考えたら、これじゃ足りないんじゃないの?」
土門の素朴な感想に、水原の口元がかすかに歪む。
「あいつらの今の目的は、侵略じゃない」
水原の怒気を含んだつぶやきに対し、土門が口を開きかけたとき。
照明の色が変わり、耳をつんざく警告音が鳴り響く。
「でたか」
『博士!たいへんです』
どこから通信が入る。
かなり焦った声とともに、映像が目の前に現れる。
「また、不思議技術か。まったく」
粗めの映像には、瓦礫となった街で暴れる巨大な影が写っていた。
ぱっと見、大型の獣に見えるその影は、体のあちこちに周囲の建物を想起させる鉄骨や、コンクリート片のようなものがくっついているようにもみえる。
「おもったよりはやかったな」
「これを知っていたのか?」
「いや、予想していただけだ。
もうすこし時間がかかるとおもってたのだが」
映像を見た白銀が、周囲に問いかける。
「どこまでつかえる?」
「最終調整にもう少しかかります!パイロットが居るならよこしてください!」
「登録はできるのか?」
「調整と同時にやってしまいます!」
「すまない。みずはら、どもん、2号機と3号機に」
整備員に礼を述べつつ、2人に指示を与えるべく振り向くと、すでに2人はコクピットに向かっていた。
「なんだ、これ」
「初めて使うのに、なんかわかる」
乗り込む前に返信を済ませた2人が、シートに座り、コクピット内部を見渡すと配線さえ理解できるのではないか、というくらい扱いが理解できた。
「調整、まもなく終わります。終わり次第出撃願います。
1号機と4号機は自動操縦で追尾させますので」
「了解、火野と風吹に渡す」
「よろしくお願いします!」
頭に浮かぶ、始動手続きを確実に行い、各機が発進、空中に飛び出す。
「ぶっつけ本番だが、使い方は頭に入ってるはず。あのでかぶつを退治してくれ」
調整が終わった4機が、それぞれの発射台に移動され各々発進して現場へと向かった。
時間は少し戻る。
火野と風吹が喫茶店からの帰り道、報道バラエティ番組が流れている大きなモニターを備え付けたビルの前を通ったとき。
何やら不穏な空気がモニターの向こうから流れて来た気がした。
そこにいるのは、司会の局のアナウンサーとゲスト数名。
いつもの様に、事件についてなんとなく話してる感じであったのだか、長髪の「女性の味方」の発言に矛盾があると、他のゲストに突っ込まれていた。
画面を眺めた火野の表情に陰りが浮かぶ。
「火野?あいつ…」
火野の態度に気付いた風吹が、同じく緊張を含んだふうに声をかける。
「あの長髪『モンスター』だな。変わるぞ」
画面の向こうで、熱い討論、というより罵りあいといった声が響き渡っていた中、長髪の「女性の味方」
が、うつむき、肩を震えて唸りだしたと思ったら、全身から触手のようなものが生えてきて、周囲のいろんなものに巻き付き始めた。
画面の中の阿鼻叫喚がしばらく流れていたものの、その触手がカメラに巻き付いたのか、画面が揺れ、逃げまとう集団の姿の画角がおかしくなったと思ったら、画面が爆音とともにブラックアウトし、何も映らなくなった。
巨大モニター前の群衆は何が起こったのか理解できないまま立ち尽くしていたが、いきなりおこった振動に我に返る。
眼の前の建物に大きなヒビが入り、破片が落ちてくる、と思ったときには、あるものは悲鳴を上げ逃げ出し、あるものは腰を抜かして座り込み、あるものは隣りにいるものに話しかけ、冷静を装うものの、会話にならない言葉のぶつけ合いにしかならない言葉を発するという、様々な形でパニックを起こしていた。
「いまのところ、瓦礫落ちてこないな」
火野が左手の大きなブレスレットに、コインをはめ、エレメントファイアに変身。銃のようなものを取り出し、構える。
「どうやら、中の人間や機械だけでなく、ビルを食ってるみたいだね、あれ」
風吹もまた、左手のブレスレットにコインを装着、エレメントウインドに変身、肩に大きな筒状のものを抱え、「なにか」に備えた。
グアァァァァアアアア!!!
眼の前の巨大な影が、吠えながらゆったりと動き出す。
わずかに残ったTV局の持ち物の建物を振り払うように、一歩一歩瓦礫を降らせながらまえにすすんでいくその姿は、過去にスクリーンで見ていた巨大生物主役の映画を見ているようでもあった。
「なんとか、なるの、これ?」
エレメント・ウインドの方に背負った筒が力を失ったかのごとく、下に下がっていく。
「あんな怪獣にこんなのでなんとかなるのかよ」
「なんとかなるのか、じゃなくてなんとかするしかないんだ」
いままでの等身大の敵と違い、そのあたりの建物より大きな相手に絶望感を感じていたウインドに対し、ファイアが発破をかける。
「ひの?」
「このスーツや、どこからともなく現れる武器を作る博士が仲間になっているんだ。
なんとかならないはずはないだろ?」
エレメント・ファイアが、両手で構えた大きめの中で、巨大怪獣から降ってくる瓦礫を破壊しながら、エレメント・ウインドに話しかける。
「そうだな。今は被害を減らすことを考えるのが大事か。だね。間違いない」
気をとりなおしたウインドが、肩に抱えた筒状の武器から太めの光線をだし、瓦礫をやきはらっていった。
「火野!風吹!待たせた!」
吠えながら、意思をなくしたかのようにゆったり進む怪獣の体の一部に爆発が起きると同時に、頭上からエレメント・ウォーターの声が響く。
「ウォーターか!」
「何だあれ・・・」
2人が空を見上げると、巨大怪獣の周囲を青い色の角柱をHに似た形に合わせたものと、四角い車体のい上に二本の砲塔がついた戦車のようなものが、変化した巨大生物に攻撃を仕掛け、足止めをしていた。
「2人のメカも持ってきた!さっさと乗り込んでこっちにこい!こいつを倒すぞ!」
地上の二人の後ろに、三角錐に似た先頭に四角いブロックのついた赤い飛行機のようなものと、緑の四角いブロックから2本の円筒が突き出たものがそれぞれ到着、ふたりのそばに着地した。
コックピットに座った2人の頭に、それぞれのメカの操縦方法が流れてくる。
「よし、行くぞ。合体する!」
『応!』
4機のメカのエンジンが全開、全機が光をまといながら空に舞い上がり1つの線のようになった。
その姿が無防備に見えたのか、さっきまで周囲を飛んでいたものが離れたことによって、チャンスを見出したのか、巨大怪獣が瓦礫を光る線になった4期のメカに投げつけた。
空気を切り裂くように飛ぶ岩塊が、合体シークエンスに入った無防備に見える期待群に吸い込まれ
命中、したかに見えた。
粉々に砕けた巨大な瓦礫の影から人形のシルエットが現れた。
赤い1号機が頭とバックパック、青い2号機が両腕、黄色の3号機が胴体、緑の4号機が腰から足を構成。
1号機の一部の装甲が割れ、顔が出現、瞳の部分に光が入るとともに雄叫びのような声が響き渡り、巨大怪獣の正面に降り立った。
「エレメント・ファイター・ロボ、完成!」
目の前に現れ、自分と同じような大きさの存在に一瞬怯んで見えたものの、明らかな敵意を見たのか、巨大怪獣は両腕の爪を叩き込んできた。
が、エレメント・ファイター・ロボを名乗ったその人形機械は、その爪を両腕で受け流したあと、拳を叩き込み、巨大怪獣を吹き飛ばした。
「エレメント・キャノン!」
倒れ込んだ巨大怪獣に追撃をかけるように、背中に伸びていた2本の細めの砲塔が肩に倒れ込み、連続してエネルギー弾のようなものを叩き込む。
「ギィィィアアアアア!!!!」
衝撃を受けた、悲鳴を上げるように、大声で鳴いた巨大怪獣が肉片を飛ばし、のたうち回る。
「とどめを刺す!エレメント・ブレード!!!」
体の正面に伸ばした両腕に、光の剣のようなものが現れる。
その剣を上段に構え
「一閃!」
袈裟懸けに振り下ろされた剣が、巨大怪獣を真っ二つに切り裂き、爆散。
元TVコメンテーターであった、巨大怪獣は消滅した。
街の被害はかなり大きなものになった。
名前を名乗ることのない侵略者軍団の味方をしたものが、人ではなく、怪人といった存在になったあと、周囲の人間、機械、建物を喰らって巨大怪獣の姿に変わり、街を破壊した事実は多くの人間が目撃した。
しかし、報道は侵略者軍団に自ら従い、スピーカーとして存在してるものがまだまだ多いこともあり、一般人には何が事実なのか、知るすべは無きに等しい。
そのため、邪悪なテロリストグループとしての汚名を着せられるエレメント・ファイターであるが、これからも、侵略者軍団の目的をくじくため勝利の道を突き進め!
心折れるまで。
~次回予告~
目的の明らかでない侵略者たちに味方するものたちは、エレメント・ファイターの活躍によって倒され続けて行った。
巨大化の力を与えたにも関わらず、たった4人に勝てない現実に怒りを覚えた侵略者の幹部、四天王の一人戦士。
エレメント・ファイターに最大の試練が襲いかかる。
次回、第3話『四天王、戦士の襲来!エレメント・ファイター完全敗北!(前編)」
人間の自由を守るため、勝利の道を突き進め!




