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猫と旅する漂流者  作者: 與吉
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黒飛蝗襲来②。

東の草原は空を埋め尽くす黒い塊に広範囲魔法が炸裂していた。

氷の柱が地面から空へ向かって無数に突き出ていたり

爆裂の魔法が花火の如く咲き乱れていたり

クロの魔法のように土の槍が黒飛蝗を突き刺していたり

それ以上に驚いたのが空を駆け大剣や両手槍で黒飛蝗を切り裂いていたり

これが上位冒険者と言われる実力なのかと思うほどだった。


ジンはMAPで東の草原の赤マーカーを見ていたが

魔法が炸裂しているにも拘らず赤マーカーの数が減らない事に首を傾げていた。

飛翔する黒飛蝗は数を減らしているのは目視で確認出来るが・・・。


「魔法が炸裂しても倒しきれてない・・・?」


空を埋め尽くした黒い塊が数を減らしたのに

東の草原からの黒飛蝗の反応に変化が無い事を感じ

チコとリコも何かがおかしいと悟り


「あの・・・黒飛蝗は落ちただけですか?」

「飛べないだけで倒せてないの?」


「どうやらそうみたいだね。

ここまで来る間に魔法耐性が向上したか

もしくは進化したか・・・少しばかり状況が悪いね。」


「上位冒険者さん達は大丈夫でしょうか?」

「魔力回復ポーションがある限り魔法を放つらしいですが・・・。」

「そういえば魔法の放つ間隔が開いてきましたね・・・。」

「黒飛蝗に押されてきてる?」


ジンのMAPでも上位冒険者達が西へ移動を開始していた。

倒したと思った黒飛蝗が地面を埋め尽くし前進してきたら・・・流石に逃げるわな。


「押されているね。

空を埋め尽くした黒飛蝗が・・・

地面を埋め尽くし向かってきている可能性がある。」


「魔法が効かないとか・・・?」

「大剣や両手槍で黒飛蝗を切り裂いてるのを見たけど?」

「魔法耐性の向上・・・とか?」

「それじゃ、広範囲魔法の効果が・・・。」


確かに広範囲魔法で倒した黒飛蝗も少なからず存在していたが

六割の黒飛蝗は翅を痛めただけで移動を再開し

四割の黒飛蝗は生きてはいる瀕死の状態になっていた。


「活動再開可能な黒飛蝗は六割・・・?

それでも数百の黒飛蝗は生存していると考えた方がいいな。

飛べない黒飛蝗は移動速度も低下してるから倒すのは容易であると思うが・・・

それでも数百の黒飛蝗を倒すのは難しいか・・・。」


「それでジン兄さんはどうするんですか?」

「やはり助けに行くんでしょ?」


「ソラとシロがやる気だしね。

何よりクロがやる気満々だしね!」


『『頑張る!』』

『黒飛蝗を倒しに行こう!!』


ソラ達がいつに無くやる気を出しているの感じたチコとリコは

「それならしょうがないか・・。」とか「それならすぐ行きます?」と話している。


「向かう前にクロに荷台を設置します。

魔力枯渇で動けない冒険者もいるだろうし・・・

さすがに戦場に放置する事は出来ないからね。」


そう言いジンは大きめの荷台をクロに取り付けるのだった。

荷物を乗せるだけの一般的な荷台だが大人数を乗せる事が出来る大きさがあった。


「この大きさなら20人ぐらいは乗せれますね。」

「20人は乗るにはギリギリでしょ・・・。」

「魔力枯渇の冒険者なら静かに乗せる事が出来るし

無駄に元気な冒険者なら乗せる必要無いでしょ?」

「姉さん・・・それはあんまりじゃ??」


「確かにチコちゃんの言う事はもっともだけど・・・

静かに乗る事が出来ない冒険者は放置してもいいでしょ。

戦う事以外に撤退の事を考えない様じゃ冒険者としては失格だしね。」


「うんうん、それで行こう!」

「良いのかな?」


リコの言うように良くは無いのだが

面倒な事は極力避けたいジンは魔力枯渇で動けない者のみ

荷台へ限定で乗せるつもりでいた。


「もっとも上位冒険者達が荷台に乗るとは考えられないけどね。」


「そういうものなんですか?」

「乗らない時はどうするんですか?」


「ん?ほっとくよ??」


「「いいんですか?」」


「いいよ。そこまで面倒みれないしね。」


ジンがそう言うとチコとリコは「そういうものなのかな?」と思うのだったが

ソラやシロは「ほっとけばいいのに・・・。」と言う様に欠伸をしている。


「まぁ、東の草原へ行ったら考えようか~。

最初は上位冒険者達の川辺の陣地へ行ってみよう。

ポーションを届ける必要もあるしね。」


「ポーションを届けるのを忘れてました。

黒飛蝗襲撃までに届けるだけだと思ってました。」

「襲撃が始まっても届けるの?」


「戦闘が始まればポーションが必要になるだろうし

必要無ければ渡す必要も無いでしょ?」


「そういうことですか・・・。

では、川辺の陣地へ行ってから東の草原へ行きましょう。」

「東の草原の状況が分かればいいんだけど・・・。」

「黒飛蝗を倒しているのは陣地からでも目視で確認出来ると思うよ?

黒飛蝗を倒したかを知るのは微妙だけどね。」


チコとリコは現状では東の草原での上位冒険者達と黒飛蝗の戦いは

実際に戦場にいる者たちと遠くの気配を感知できるものだけ・・・

『開拓村』でもギルド職員のリンダ・リスター・リムルだけだったしなぁ。


その後、上位冒険者達の陣地へ行ってみると

各パーティーのランクの低い数名が留守番として残っていた。

その中にはギルドの職員二名もおり

クロが陣地を訪ねると驚いていたが『開拓村』からの

ポーションの追加を持ってきた事を伝えると喜んで受け取ってくれた。


「それでジンさんは『開拓村』へ戻られるんですか?」


ポーションを受け取ったギルド職員はジンへ話しかけるのだが

ジンは少し考える素振りをしてから・・・

にへらと笑顔になってからジンは東の草原を指さし


「戦っている冒険者達へ直接ポーションを届けてきます。

この子達が何やら向こうが気になるみたいですし・・・。」


ジンがそう言うとクロが頷きながら「きゅー」と鳴き

ソラやシロも同じくコクコクと頷き「にゃー」「わん」と同じく鳴くのだった。


「この子達も一目でいいから黒飛蝗をみたいのかもしれません。」


「え、危なくないですか?」


「クロなら黒飛蝗からでも逃げ切る事は可能ですよ?

それに多少なら弓にも自信がありますし・・・。」


ジンはクロを撫でながら懐の弓矢を目の前に出した。

チコやリコも同じく弓矢を取り出し


「三人で矢を射れば大丈夫だと思いますよ?」


「そこまで言うなら・・・。

くれぐれも向こうの邪魔だけはしないでくださいね。」


「大丈夫です。無理はしないので・・・。」


ギルド職員はジンの話を聞き渋々東の草原へ行く許可し

ジン達はクロに乗り東の草原へ駆け出すのだった。


チコとリコは弓矢を取り出し、いつでも矢を射る準備をし

ソラとシロは甲羅の前方へ立ち、東の草原を見つめている。

クロは万が一に備えて『身体強化』『速度強化』『魔法障壁』を展開し

攻める事も逃げる事も出来るように移動していた。

ジンもまたMAPを展開し上位冒険者と黒飛蝗との戦闘を見つめるのだった。


空を埋め尽くした黒い塊は地面を覆い尽くし翅音の変わりに

地を這う黒飛蝗のカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ・・・・という音が響いていた。

上位冒険者達は撤退をしながら攻撃をしているパーティーもいれば

一定の感覚で範囲魔法を放つパーティーがあったり

攻撃をせずに西へ逃げ出すパーティーがいたりしている。


「逃げ出すパーティーはギリギリ西の陣地へ辿り着けるだろう・・・・。

問題は戦い続けているパーティーは危険だな。

ポーションが切れたら戦局が崩れる可能性がある。」


「ジン兄さんはポーションを使い切る冒険者がいると?」

「かなりの数をギルドへ納品したはずですけど?」


「ポーションの数が問題なんじゃない・・・。

魔法の消費量とポーションの回復量が問題なんだと思う。

本当なら魔力の修練をし魔法の消費量を抑える事を修得するんだけど・・・

どうやら上位冒険者達はそういう修練はしてないみたいだね。」


「それは広範囲魔法を魔力消費が大きいまま魔法を発動していると?」

「魔力の無駄使い・・・。魔力枯渇したいのかな?」


「魔力の修練は各々冒険者達がする事だし

彼らにしてみたらポーションを使い切る前に黒飛蝗を倒しきる自信があったんだろう。

ポーションを使いきれば魔力枯渇の危険がある・・・。」


「ジン兄さん的には彼らは黒飛蝗を倒せると思いますか?」

「それとも黒飛蝗を倒しきると思いますか?」


「倒すとしたら全滅する可能性が高いね。

それでもギリギリ黒飛蝗が街へ向け移動を開始するだろうね・・・。

飛べなくなっても回復したら飛翔する可能性もあるし

黒飛蝗を倒すなら残らず殲滅させるしかない・・・。」


「「殲滅・・・。」」


チコとリコは未だ数百の黒飛蝗が東の森にいる事を知り

殲滅することのむずかしさを知っていたし

何より上位冒険者達がパーティーを組んでも倒しきれなかった事が

出来るかどうか・・・チコとリコは心配そうにジンを見つめていた。


上位冒険者パーティーと黒飛蝗の集団との戦闘は後半戦突入。


黒飛蝗は翅を傷め地上を移動している。


上位冒険者達は逃げる者・・戦う者・・・そして、抗う者がいた。



ソラやシロやクロは草原に溢れる黒飛蝗を近場から倒すか

それとも中央から倒すかで相談していた。

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