もうすぐ南の街①。
夏本番、ジン達は革の上下を身に纏い・・・
いあ、暑すぎて薄手の上下を身に纏い麦わら帽子をし
次の街を目指していた。
進む街道も山を越え草原を横断しながら南へ進み
農園や果樹園など盛んに農業をしている街などを見ながら
目的の南の街へ向かっていたのだが・・・
「それじゃ、南の街と言う場所は無いんですか?」
『クラシラス』から6つ目の街の冒険者ギルドで
目的地である南の街の事を聞こうと思ったら
ギルドの受付嬢から・・・
「今言われた南の街と言うのは海の魔物の襲撃にあい・・・」
「街が無くなったと?」
受付嬢は首を振りジンの目を見ながら
「南の街は海辺を離れ『漁業が盛んな街』から『農業が盛んな街』に変わりました。
そして、街の位置が海辺から草原の方へ移動しています。」
「移動しています・・・とは?」
「街全体の住民の避難は済んでいるんですが・・・
住居などは今も建設中と言う事で冒険者ギルドの方にも開拓の依頼が多く来ております。」
「それでは『海の幸』とかは・・・?」
「あると思いますが・・・漁業をしている方々は他の街へ引っ越ししているかと・・・。」
「やはり、『海の魔物』ですか?」
「はい、去年の秋頃からと言われておりますが・・・
数年前から魔物の被害が増加していて去年の秋頃から倍近い被害が・・・。」
「冒険者ギルドで討伐とかは・・・?」
「残念ながら陸とは違い船での魔物討伐は危険を伴い
街への被害を抑える事しか出来ない状態で・・・。」
「最後に『農業が盛んな街』になったと言う事ですが
漁師が農業をしていると言う事ですか?」
「農業をしているのでは無く『土地を開墾して農場を増やしている』感じですかね?」
「なるほど現在進行形で発展している街と言う事ですね・・・。」
「はい、その為ギルドにも開墾依頼が多く来ています。
ジンさん達の様にポーションを納品して下さる方々なら喜ばれるんじゃないですか?」
「どうしてですか?」
「土地の開墾では野犬などに襲われる住民が多いと聞きます。
冒険者達が周囲の警戒をしていても広範囲で全てを護れる訳も無く
それに怪我だけでなく新たに住む場所が変わったと言う事で身体を壊す住民のいるとか・・。」
「僕たちは南の街へ行くつもりだったのでポーションを準備しながら向かいます。」
「よろしくお願いします。」
「そだ、解体をお願いしたいのですがいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。
それでは解体スペースへ案内します。」
ジン達は受付嬢の案内してもらいギルドの解体スペースへ移動し
「あの・・・どこへ置けばいいですか?」
解体スペースと言われた石畳の部屋へ案内される。
中では数名のギルド職員達が何かの解体作業をしており
ジン達に一瞬目を向ける者の解体作業を再開するのだった。
「邪魔にならないように部屋の隅に取り出せばいいですか?」
「そうですね、ジンさん達の解体作業は午後からになると思いますが・・・。」
「大丈夫です、解体と言っても初めて倒したものでして
実際に解体のし方も食べれる物なのか・・・
それ以上にギルドに卸せるのかも分からず仕舞いでして・・・。」
「なるほど・・・それでは一度拝見したいと思います。」
そう言われジンは部屋の隅に大蜥蜴を一体取り出す。
「これは大蜥蜴ですね、大きさ的にこの辺りの獲物じゃない気がしますが?」
「前に川辺で襲われた時の大蜥蜴です。
何度か街によって来たんですが・・・先を急ごうと思い
街に寄ってもギルドへポーションの納品を済ませたら旅を再開していたら
すっかり忘れいてしまい・・・。」
「大蜥蜴は1体だけですか?」
「18体ありますが食糧になるなら追々解体し食べてみようかと・・・。」
「なるほど・・・それでは午後からの解体は見学希望と言う事で?」
「はい、僕達全員で見学しても構いませんか?」
「ジンさんとチコさんとリコさんですね。」
「それとこの子たちも。」
足元のクロを撫でながら『きゅー』話しかけるのだった。
チコの腕の中のソラも『にゃー』と言い
リコに抱かれたシロも『わん』と答えるのだった。
チコとリコは「「えへへ、かわいい」」と言いながらニコニコしている。
「なるほど・・・全員で解体見学と言う事でギルド職員に話を通しておきます。
それでは昼過ぎに渡しに声をかけてもらえれば大丈夫です。」
「わかりました、よろしくお願いします。」
「「お願いします。」」
ジンが頭を下げているのを見てチコとリコを同じく頭を下げお願いする。
「昼過ぎまで時間がありますがどうしますか?」
「この街で荷台を置ける場所はありますか?
出来れば荷台に宿泊したいんですが・・・。」
「それでしたらギルドの馬車置き場か
倉庫前が良いと思いますが?」
「それはギルドの裏ですか?」
馬車置き場はギルドの東側になります。
倉庫前はギルドの裏側で人目につきにくいと思いますが・・・?」
「それでは倉庫前の隅の所で荷台で宿泊しようと思います。
『土魔法』で荷台を囲んでもいいですかね?」
「魔法で囲むですか・・・帰りの際に元に戻せば大丈夫ですが・・・。」
「ありがとうございます。
午後までに荷台を住める環境に整えたいと思うので
料理もすると思いますが大丈夫ですかね?」
「はい、悪臭じゃなければ・・・。」
「普通の料理しか作れませんが・・・。」
「では、問題無いです。」
「それじゃ行こうか。」
「「はい!」」
ジンは歩きの遅いクロを抱きしめ解体スペースを軽快な足取りで出ていく。
その後ろをチコとリコがソラとシロを抱きしめ嬉しそうに歩いて行く。
解体スペースには何かを解体しているギルド職員と
これから住む場所を作ろうかと嬉しそうに歩いているのを見つめる受付嬢がいた。
「荷台を囲んで料理ですか・・・?
ジンさん達は馬車も荷台も無かったと思うんですが??」
ギルドに来た時も足元には1mの大きさの黒亀?と仲間の女の子二人を見ていたが
馬や馬車はギルド前にも止めてはおらずジンの言う『荷台』にすいては首を傾げるのだった。
「それにしても子猫と子犬に黒亀ですか・・・。
冒険者のパートナーとしてはめずらしい組み合わせの様な気がします。」
ギルド裏側の倉庫前ではジンが荷台をアイテムボックスから取り出し
『土魔法』でトイレとお風呂を作りだしていた。
「荷台を寝室と考えて・・・トイレとお風呂は必要だよな。」
「ジン兄さん焚き火はしないんですか?」
「焚き火で魚の串焼きしたいです!」
「そうだな、森や草原と違って寝ずの番は必要ないし
焚き火で魚の串焼きをしようか~。」
「今日はゆっくり寝れそうですね。」
「兄さんと並んで寝るのは久しぶりです。」
「大丈夫だと思っても野営時には寝ずの番は必要だからね。」
「今日はゆっくり寝ましょうね。」
「えへへ、嬉しいな。」
毎日の寝ずの番ではジンが多くの時間を担当し
一緒に寝る事が無かったので久しぶりにジンと寝る事にチコとリコは嬉しそうにしている。
「それじゃ、ささっとやってしまおう。」
「「はい!」」
ジンは『土魔法』でトイレとお風呂場の二部屋を作り上げる。
部屋を通路と扉で荷台の寝室に繋げる。
チコとリコは荷台全体を『土魔法』で囲んでいく。
囲んでいくと言っても『土壁』で高さ1mほどの壁を作り
森や草原よりも壁の高さも厚さも抑えて作り上げた。
「毎日野営時に『土魔法』で作り上げていたから今日も素早く完成したね。」
「そうですね、難しいところはジン兄さんが担当してくれましたし。」
「今日の壁はいつもより低いし作りやすかった。」
「チコちゃんもリコちゃんも『土魔法』の『土壁』は問題無く使いこなせる様になったね。」
「「えへへ。」」
ジンに褒められ嬉しそうにしている二人をジンは撫でていく。
嬉しそうに撫でられるとソラとシロも『撫でて~』とジンに抱きついてきたので
ジンはソラとシロも同じように撫でていく。
それを見たチコとリコも『私も撫でる~』と言いながらソラ達を撫でていく。
クロだけは『相変わらずだな~。』と呟き日当たりのいい場所で昼寝をするのだった。
チコとリコがジンを呼ぶ時に『ジン兄さん』と呼ぶようになりました。
最初は『先生』とか『師匠』呼びをしようとした二人ですが
ジン的に『先生』とか『師匠』から拒否され『兄さん』呼びに定着した模様。
数カ月のも及ぶ野営の成果でチコとリコは『土魔法』の『土壁』を修得し
二人だけで簡易小屋を囲う『土壁』は任せられるようになる。
相変わらず魔法の修練はしているが習得までにいらない様子。
魔力の修練をして魔力を纏う事が可能になり
魔法を放つ事より魔力を纏い殴る事で野犬を倒す事が可能になる。
もっとも二人でやっと倒す事出来るので戦闘時にはソラとシロのサポートは必須。




