tactics conveyorbelt sushi
皇「随分、待たされたなぁ」
瀬能「三十分は待ちましたね。」
皇「回転寿司くらいだよなぁ、こんなに、客、入ってんの」
火野「回転寿司なんて久しぶり・・・・いつも、回っていないお寿司しか、食べないから」
皇「ああ、お前、小僧寿し、好きだもんな?」
火野「誰が、小僧寿し、好きなのよ?」
瀬能「小僧寿し、馬鹿にしないで下さいよ!私は、銀皿より、好きです!」
火野「・・・私は、カウンターのお寿司屋さんしか、いかないの」
瀬能「クロスカウンター?」
火野「誰が、あしたのジョーだ!」
皇「お前、つまんねぇ見栄、張るもんな?」
火野「見栄じゃないわよ、本当のことよ、回転寿司なんて、久しぶりなんだから」
瀬能「三重じゃなくて、和歌山でした」
皇「・・・・お前も、分かんねぇボケすんなよ」
瀬能「いやぁん、なぁに、食べようかなぁ・・・・おおおおお! サーモン、三種盛りぃ!これにしよう!ノーマル、炙り、トロサーモン!・・・・・・常々、思っていたんですけど、なんなんですか?このトロサーモンって?トロなの?サーモンなの?」
皇「お前はほんとバカだなぁ、サーモンのトロの部分に決まってるだろ?」
瀬能「だから、それが、どういう、事なのか?って話ですよ?」
火野「あ・ぶ・ら・み、よ、脂身。あんたの、ここよ、ここ、」
瀬能「さわらないで! ・・・・男の人も、ここ、触るの、好きですよね?迷惑ですけど」
皇「お前、男、いないだろ?」
瀬能「い・ま・す!」
火野「じゃぁ、私は、光ものから・・・・・」
瀬能「無視?無視ですか?」
火野「あんたの男関係なんて興味ないもの・・・・・やっぱり、光ものからよね。最近の回転寿司のレベルはどうかしら?
えぇぇ? なに、頼んでんの?」
皇「は?」
火野「バカなの? えぇぇぇえ? お寿司、食べにきたんじゃないの?」
皇「お前こそなんだよ?ここ、回転寿司だろ? 回転寿司はいまや、外食のワンダーランドだ。日本が海外に輸出する、エンターテイメントなんだよ。クールジャパンって知ってるか?」
瀬能「・・・・・お寿司はクールですけどね」
皇・火野「うるさいよ」
皇「ふつうの、握り寿司と、回転寿司を一緒にするなよ?もうすでに別の次元に昇華しちまったんだ、回転寿司は! むしろ、回転寿司は、サイドから攻める!サイドこそ、回転寿司の王道だ!」
火野「だからって、タコ焼きと、ティラミス、食べなくても、いいじゃない?」
皇「このあと、鴨蕎麦食うぞ。あと、塩ラーメン」
火野「お寿司、食べなさいよ!」
瀬能「御影はお胸も小さいですけど、視野も狭いですねぇ」
火野「オッパイはあんたも、同じくらいでしょうが!」
瀬能「回転寿司の、売り上げの、三分のニは、サイドメニューって、データも出ているんですよ。お寿司を食べる人の方が、少数派です。
なので、私は、アボガド寿司と、カルフォルニアロールを食べまぁぁぁぁぁぁぁす!!」
火野「寿司じゃないじゃない!」
瀬能「お寿司ですよ、こういう、変わりだね。回転寿司でしか食べられませんからね。あと、勘違い、外国の、日本食店。私、行ったこと、ありませんけど。」
皇「ああ、あれ。不味いけど、美味いな」
火野「どっちよ!」
皇「寿司としてみれば、美味くないけど、そういう、料理だと思って食えば、不味くはないぞ? お前だって、ビーフの切ったやつ、あれ、食うだろ?」
火野「ローストビーフのこと?」
皇「そうそう、それ。あんな寿司、回転寿司でしか、食えないからな。」
瀬能「ツナ軍艦と、ハンバーグ寿司も、発明だと、思うんですよね。あれはもう、二十世紀、最大の発明ですよ」
皇・火野「言い過ぎだ!」
皇「確かに、家で、手巻き寿司パーティーとか、やった時くらいしか、食えなかったものだからな。それが商品化されて、誰でも、食えるっていう意味では、発明かも知れないよな」
火野「・・・・・手巻き寿司パーティー、あんた、やったことあるの?」
皇「うん? ねぇよ」
火野「さらって、言わないでよ」
皇「お前も、友達、いねぇから、ねぇだろ」
火野「勝手に決めんな! ・・・・・ないけど」
皇「ねぇのかよ」
瀬能「お金持ちの、お友達の、誕生日パーティーとか呼ばれると、手巻き寿司パーティー、やってたこと、ありましたね。・・・・・・・行ったこと、ないけど」
皇・火野「ねぇのかよ!」
火野「あのさぁ、さっきから、汁物ばっかりじゃない・・・・」
皇「ああ、塩ラーメンと、味噌ラーメン。ほら、どんぶり、小さいから、種類、食えるだろ? 食べ比べなんてなかなか出来ないからな。」
火野「かたくなに、お寿司、食べないわね・・・・・」
皇「寿司なんか、いつでも食えるだろ? こういう、おかしいメニューは、ここでしか、食えないんだぞ?」
瀬能「どうせスーパーの、パックのお寿司でしょ?」
皇「お前こそ、そのパック寿司、七十五パーにならないと、買わないくせに、なに言ってんだ?」
火野「な? ななじゅう、ごパー? そんなに、安くなるの?」
瀬能「あ、はい。命かけてますから」
火野「命かけんな!」
皇「蛸の、から揚げ、美味いなぁ」
火野「居酒屋か!」
皇「タコとイカの、から揚げの、食べ比べも、出来るぞ?」
火野「・・・・なんでもありね・・・・・・節操がないっていうか・・・・・」
瀬能「ちなみに・・・・この、この、お茶。粉の、お茶。・・・・・けっこう、高い、抹茶を使っているので、タダで飲めるのって、回転寿司だけですよ?」
皇「確かにな。グラムで、千円とか、当たり前だもんな。」
火野「そんなにするの!」
皇「お前さぁ、どんな男に、寿司、連れて行ってもらってるか知らないけど、・・・・あんまり、高い、店、連れて行ってもらってないだろ? お前、連れて行くくらいなら、もっといい女、連れて行くか」
火野「失礼ね!」
瀬能「はい、ここで、巻物ゾーンと、軍艦ゾーン、突入です!」
火野「パチンコの確変みたいに言うな!」
瀬能「いいですか?御影さん。・・・・・回転寿司っていうのは、オートメーションです。握り寿司に至っては、シャリの”握り”ですら、機械で、出て来る始末。その上に、ネタを乗せれば、完成です。人間が関与する所が、ありません。ですが、こと、海苔巻き、軍艦に至っては、人間が、介在する余地があり、反対に、お店の質が、出て来るタイプのお寿司なんです。」
皇「まぁ、手間だからな。人気もないし」
瀬能「ずばり! 巻物、軍艦が美味しい店は、美味しい!」
火野「・・・・・なに、言ってんの?」
瀬能「いやだから、そんなに出ない、お寿司が美味しい回転寿司は、信用できるって、話ですよ」
火野「そんな事いったら、アジとか、イワシが、美味しい店の方が、信用できるじゃない。昔っからある、寿司のネタだし。」
皇「あんなの、セントラル工場から、運ばれてくるんだぞ? ここで、捌くわけねぇだろ?」
火野「え? そうなの?」
皇「いちいち、厨房で捌いていたら、これだけの客、捌けるわけねぇだろ?」
火野「まぁ・・・・・たしかに、・・・・・そうねぇ」
皇「コーヒー、飲もうっと」
火野「お茶、飲みなさいよ!」
皇「いいだろ? 好きなモン、食わせろよ」
瀬能「はい、続いて、マグロいきます! ・・・・最近、漬けブームが来てますよね?」
皇「タレに漬けると、アミノ酸、分解されて、うま味成分、出るからな それに、柔らかくなるし、筋ばっているものも、美味くなるし」
瀬能「昔のマグロは、筋、ばっかりでしたからね。」
皇「お前んち、どんなマグロ、食わされてたんだよ?」
火野「・・・・マグロもさぁ、なんか、プラスチックみたいな、色、してるけど、大丈夫なの?」
皇「防腐剤、バカバカ、入れているから、そんな色になって、当然だろ?」
火野「防腐剤? えぇ? 大丈夫なの?」
皇「大丈夫かどうかは知らねぇけど、食品添加物で、認証されている、物質が、入っているんだから、大丈夫なんだろ? みんな、他の客だって、ありがたがって、食ってるじゃねぇか?」
火野「生、じゃないの?」
皇「だから、セントラルから送られてくるって、言ってるだろうが」
瀬能「ほら、無添なんとか、っていうチェーン店あるじゃないですか? あれ、無添加っていう意味じゃないんですよ?」
皇「あくまで、お店の名前だからな。ただ、無添加の食材を使っているって、誤解しちゃう、客もいるだろうけど。・・・有名な話だぜ?」
火野「だから、あんた、さっきから、火が通っているサイドしか、食べないのね?」
皇「さぁねぇ?」
瀬能「これは、これで、こういうものだと、思えば、美味しいですよ?」
火野「あんたも、大丈夫なの?」
瀬能「漬けは、調味料に、漬けてあるから、それ以上、防腐剤を入れる必要がないから、それなりに、美味しく、いただけます。」
皇「お前だって、さっきから、もう、食っちゃってるじゃねぇか。安全基準はクリアしてるんだ。楽しめ。」
瀬能「そうですよ」
皇「だいたいなぁ、サーモンにしたって、サバにしたって、骨、抜いて、くれているんだぞ? 工場の、パートのおばちゃん達が。そんな、親切な、国、他に、ねぇからな」
瀬能「日本人はちょっと異常ですよね? 骨、あって、当然のものが、無いんですから。牛丼屋さんで、鮭、頼んだ時、本当に、骨がなくて、驚きましたもん。凄いな、って。」
皇「それに、こういう、魚のフライ、あるだろ? これ、名前がない、深海魚ばっかりだ。なに、食わされているか、わからないもん、食わされているんだからな。」
瀬能「マグロ、サーモンは、検討がつきますけど。」
皇「マグロだって、マグロ類の、魚であって、私達が知ってる、クロマグロじゃねぇ、可能性だってある。」
火野「キハダとか?」
瀬能「キハダならまだいいですけど、安い、所のマグロは、だいたいカジキですけどね。あれ、大きいから、量、取れるし。」
皇「さぁて”しめ”は、・・・・・、モンブランかなぁ」
火野「しめは、ギョクでしょ?」
瀬能「御影は、ほんと、通ぶってますよね? ギョクですってぇ」
火野「はぁ? お寿司のしめはギョクって、決まってるでしょ? 始めは、光。しめは、ギョク。・・・・常識でしょう?」
瀬能「その、・・・お店を計る、お寿司で、玉子焼きをたべるって話なんでしょうけど、先程来、話している通り、ぜんぶ、セントラルキッチンですよ?その、厚焼き玉子ですら。」
火野「はぁ?」
瀬能「ですから、しめは、食べた後、感。余韻が残れるように、固いものを食べた方がいいんです。お寿司に行ったって記憶が、頭に、残るように。・・・人間、咀嚼すると、脳を刺激されますから、記憶に残るんです。だから、鉄火巻きがおすすめですよ?」
皇「バカだなぁ、モンブランが美味いに決まってんだろ?」
火野「あんたは、お寿司、食べなさいよ!」
皇「あ、ひとつ、いい事を、教えておいてやる。お前、ろくな男と付き合ってないみたいだから、言っておくけど」
火野「余計なお世話よ」
皇「”おあいそ”って、客が使う言葉じゃねぇからな。向こうが、使う言葉だから。・・・・通ぶって、寿司屋に、おあいそ!なんて言うのは、ブってるだけだからな。」
火野「じゃぁ、なんて言えばいいのよ?」
瀬能「お会計、お願いします、って言えば、済むんですよ。それに、ギョクとか言ってますけど、タマゴが良いんですからね?」
皇「”ギョク”っていうのは、将棋で言う所の、大様だ。王将。すなわち、”あがり”。もう、これ以上、お寿司は食べません、”あがり”です、っていう意味なんだぞ? 厚焼きの玉子で職人の、腕を見るとか、お前如きが、分かるのかよ?って話だよ!」
瀬能「・・・・所説あります、所説」
火野「ああ、もう、うるさい、うるさい!」
皇「最後、コーヒー、コーヒー!」
瀬能「私は、フルーツパフェ!でオーラスです!」
火野「・・・・・あんた達、ほんと、自由ね」
皇「ちなみに、この、お茶の、抹茶。粉末のお茶。これを、から揚げに、かけて食べると、美味しい。」
火野「・・・・・・。」
瀬能「フルーツパフェにかけても、美味しいですよ?」
火野「あんた達、回転寿司、堪能してるわねぇ・・・・・・」
※全編会話劇




