第89章 合流
王子達は目の前で繰り広げられる戦闘にただ驚き見ていることしかできなかった。
矢で次々と魔物を葬る少女に無駄のない動きから魔物を一撃で倒していく剣士の男、マナによるド派手な攻撃で魔物の群れを消し去るふたりの女性。
この辺りにいた数百の魔物は一瞬で消えていった。
やがて魔物を倒した4人が近づいてくるとフェイは小さな動物に戻って先頭にいた少女に飛びついて行った。
「フェイちゃん‼︎」
フェイはセリアに飛びつくと顔を舐めた。
セリアはフェイをぎゅっと抱き締める。
「フェイちゃん、良かった……」
王子達の前にセリア達が来るとマイナとサラは王子達の傷を癒した。
「すまない、あなた達は?」
カイジスは礼を言ってセリア達に問うとそれにマイナが答えた。
「私達はエレナの仲間よ、彼女はどこ?」
「エレナさんは洞窟の中だ」
それを聞いたセリアは皆を見て言った。
「行こう皆んな!」
サラ達は頷くと素早い勢いで洞窟に入って行った。
王子達は呆気に取られるとハラントが呟いた。
「エレナちゃんの仲間強すぎだろ……」
洞窟の魔物と対峙していたアルトは苦戦していた。
「くっ‼︎」
「少しはやるようだがそれでは俺は倒せないな、そろそろ死んでもらおう」
男は姿を一回り大きくすると巨大な爪でアルトを襲った。
ガ‼︎
アルトは攻撃をかわしていたがかわしきれずに一撃を受けた。
ドン‼︎
ズザー‼︎
勢いよく後ろに吹っ飛ぶとアルトは膝をついた。
「ここで死ぬわけにはいかないんだ……俺はアイツの騎士になると決めた」
アルトは立ち上がると腰の剣が突然眩い光を放った。
光はアルトを包み込む。
「⁉︎……力を貸してくれるのか?」
アルトは剣を持つと剣から意志のようなものが流れてきた。
「よし、行くぞ‼︎」
アルトは剣から流れる力を使い魔物に物凄い速さで接近した。
魔物は一瞬ですぐそばにきたアルトに驚き攻撃を防御したがそのまま真っ二つに斬られた。
「ば、馬鹿なぁ‼︎」
魔物はそのまま光に包まれて消えて行った。
カラン‼︎
「力が抜けていく……剣を使いこなすには時間がかかりそうだな」
アルトは剣を落とすと力を使い果たして倒れ意識を失った。
エレナとアリシナは門の前に辿り着くと物陰に隠れた。
門の前には沢山の魔物が門を守るように留まっていた。
『まずはアイツらを倒してくるね、ここで待ってて』
「はい、気をつけて下さい」
エレナは物陰から飛び出すと門にいた魔物を一掃した。
『もう大丈夫だよアリシナ!』
アリシナは物陰から出てくると門の前にある水晶の前に立った。
「今から術をかけ始めます」
エレナはアリシナの横に立つとアリシナの手を握った。
『手伝うよ、マナを送るから』
「はい、でも途中で魔物が来たらそっちを優先して下さい」
『でもそれだと術をかけるマナが足りなくなるよ』
「……そしたら命をかけるまでです」
『ダメだよ、約束したんだよ村長さんと死なせないって』
「でもこれをやらないと魔物が溢れてこの大陸の人が死んでしまうかもしれない……」
エレナは絶対に手を放さないと誓いアリシナを見た。
アリシナは微笑むと術をかけ始めた。
数分経った時エレナはマナを流し続けていたがかなりの量を使っていた。
(なるほどね、こんなマナの量を使うなら死んでしまうと言うのが納得できる)
ドーン‼︎
その時魔物の群れが部屋に侵入してきた。
(まずい‼︎)
エレナは焦っていた。
迂闊にマナを使えばアリシナに送るマナが切れてしまうかもしれないと不安が襲う。
(どうする……)
するとアリシナは手を離そうとしていた。
『ダメだ‼︎ 絶対に離さない‼︎』
エレナは手に力を入れて叫んだ。
アリシナは涙を流して訴えた。
「お願い‼︎ 手を離して戦って‼︎」
『嫌だ‼︎ 絶対に君を守る‼︎」
その時遠くから大きな音がすると魔物の断末魔が鳴り響いていた。
『皆んな来てくれたのか……』
エレナはアルト達が助けに来てくれたと思いアリシナにマナを送り続けた。
セリア達は洞窟の中にいる魔物を倒しながらどんどんと進んでいくとアルトがゆっくり剣を杖代わりにして歩いていた。
セリア達が近づくとアルトは振り返り疲れた顔で言った。
「誰だ?」
「エレナは!どこにいるの⁉︎」
セリアはアルトに駆け寄ると声をかけた。
「アイツの仲間か……奥の門に行った……後は頼む」
「任せなさい」
サラはアルトに術をかけると傷を治した。
「傷は癒えたが体がいう事を聞かん……」
アルトはその場に座り込んだ。
セリア達は奥に進むと魔物の群れを見つけた。
そしてその群れの先に大きな門を見つけると2人の人影を見た。
「あ……」
セリアはエレナを見た時涙が溢れそうになるのを堪えた。
「やっと見つけたわね……」
マイナも同じく涙を堪えていた。
「だが、感動の再会はコイツらを倒してからだ!」
ユギルは剣を構え魔物の群れに飛び込んでいくとサラはふたりの肩に手を置いた。
「さあフィナーレよ」
涙を拭うとふたりは頷いて魔物に向かって行った。




