第62章 決意
ガタン! ガタン!
セリア達を乗せた馬車はポーラトールに向かって走っていた。
サラは泣き疲れて眠ったセリアとマイナに毛布をかけて外にいるユギルの隣に座った。
「アイツらは?」
「泣き疲れて眠っているわ」
「そうか」
「……エレナの存在の大きさに気付かされるわね」
「そうだなアイツは常に相手の事を考えて行動していた。皆の幸せの為に頑張っていたんだ……あの年で大したヤツだ」
「だから皆んなに好かれていたのよね私もあの子が大好きよ……」
サラは涙を流して手を強く握りしめた。
「悔しいの……何も出来なかった‼︎ あの子が危険な目にあっていたのに‼︎ 何かできたはずなのに……」
ユギルはサラの手の上に自分の手を置くと優しく言った。
「俺も同じだ……でも今更後悔してもしょうがない。大事なのはこれからだろ?」
サラは涙を拭う。
「そうね、私は絶対に諦めない」
やがて馬車はポーラトールの孤児院に着いた。
玄関で待っていた者達はエレナが行方不明になったと知ると悲しみに包まれた。
メアは泣き崩れシェリーも涙を流しランスにすがりついていた。
ユーリアとアステシアもショックで立ち尽くしていた。
セリアとマイナは無言で自分の部屋に入っていった。
セリアは次の日もその次の日も自分の部屋から出ずにベットで泣いていた。
エレナを思い出す度に涙が出てくる。
「エレナ……」
しかし夜中になるとセリアは急に弓を手に外に出て行った。
正門に向かおうと歩いていくと前に立ち塞がる様に誰かが立っていた。
「マイナ……」
「何処に行くのかしら?」
「エレナを探しに行くわ」
「アテがあるの?」
セリアは黙ってしまう。
「無いのに何処に行こうっていうの?」
「ダメなの! 何かしないとどうにかなってしまいそうで……自分が許せなくて」
「私だってそうよ、あの時何も出来なかった私が許せないの‼︎」
マイナは悔しくて手をギュッと握りしめて俯いた。
「だけど……もう泣いていてもしょうがないじゃない」
マイナはセリアに近づき肩に手を置いた。
「セリア、前を向いて進むのよ。約束したでしょふたりで支えるって」
「マイナごめん、私もう泣かないわエレナに会うまで」
セリアは涙を拭いてマイナを見た。
マイナは少し微笑む。
「エレナは必ず生きているはずよ、私達を置いていくわけないわ」
「うん……」
「やっと帰って来たわね」
セリアが後ろを見るとサラとユギルが歩いて近づいていた。
「サラさんユギルさんごめんなさい! 私前に進むわ‼︎」
「うん! 今度は私達がエレナの為に頑張る番よ」
「明日リンドラ王国に行くぞ」
「何でですか?」
「私達が魔物を倒した時、空に光の塊がが流れていくのを見たって人がいたらしいのよ」
サラとユギルはポーラトールに着いて直ぐに冒険者ギルドに行き何か手掛かりがないか情報を集めてもらっていたのだった。
話を聞いたゼンはすぐに冒険者達を各地に送り情報を集めた。
そして今日小さな希望が見えたのだった。
「目撃者の情報はリンドラ王国から来たみたいでな、もしそれが違っていてもまた探せばいいさ」
次の日になり朝支度しているとラバーツが孤児院を訪ねて来ていた。
「おはようございます」
ラバーツは暗い表情をしていた。
エレナが行方不明になった事は街中どころかこの大陸に瞬く間に広がっておりラバーツもリンドラ王国で知って急遽ここに来たのだった。
「おはようございます。何か用ですか?」
「はい、聖女様からの希望でもし自分に何かあったら調味料の売り上げはセリア様に渡して欲しいと言われまして」
そう言ってラバーツは後ろにいた部下に大きな袋を持ってこさせた。
「こんなに!」
「ええ、この間また新しい調味料を教えていただきました。その売り上げも入っています」
「皆様どうか聖女様をよろしくお願いします!」
ラバーツはそう言って頭を下げて家を出て行った。
「あの子……どれだけ私達を助けてくれるのよ」
サラは微笑んだ。
「ありがたく使わせて貰いましょう」
マイナはそう言うとまた旅の準備に取り掛かった。
セリアは皆と相談してお金の半分を孤児院のランスに渡した。
準備を終えて馬車に集まるとランス達が見送りに来ていた。
「お気をつけて」
「ランスさんありがとうございます」
メアは手に持っていたバスケットをセリアに渡した。
「これシェリーさんと作ったご飯です食べて下さい」
「皆さんお願いします。私の大好きなお姉ちゃんを、お姉ちゃんを連れて来てください……」
メアは泣きながら懇願した。
セリアはメアを抱きしめる。
「任せなさい、絶対にエレナと帰って来るわ」
「うん……」
馬車に乗り込むとセリアは決意した。
(どこまでも探しに行くわ! 待っててねエレナ……)




