第59章 決戦
カダル王国から少し離れた所には小さな湖がありそこでコテージを出して夕食を食べた後、皆で休憩していた。
パチパチ
焚き火を囲み皆明日の事で緊張しているのか会話がなくエレナは焚き火を見つめていた。
「明日魔物を倒せば終わるのかしら」
セリアは呟くように言った。
「カダル王国がない今この大陸の脅威は魔物だけよ、そう思ってしまうわね」
マイナがセリアの呟きに答えた。
『カダル王国には悪いけど魔物が相手で良かったよ。幾ら敵だとしても人間を殺すのは嫌だから』
「そうね兵士達も覚悟はしていると思うけど……今はそんな事をしている場合じゃないのにね」
セリアは俯いてそう言った。
「カダル王国もまさか操っていた魔物に滅ぼされるなんて思ってもみなかったでしょうね」
「ふん、自業自得だ」
サラの言葉にユギルは吐き捨てるように言う。
『でもそんな高ランクの冒険者が見たこともないデカい魔物なんてこの大陸にいたんだね』
「もしかすると封印されていた魔物かも知れないわ」
サラは思い出したかのように言った。
『そんな危険な魔物がいたんですか?』
「私もお祖父様に昔話として聞いた事があるのよ」
「もしもその封印されていた魔物だとすると厄介だな」
『でも皆んなの力があれば大丈夫だと思うよ』
「そうね皆んなレベルアップしてもう上級クラスの魔物なんて相手にならないわ」
「いっぱい特訓したもんね!」
『その成果を明日存分に見せてね。さあ今日はもう寝て明日に備えよう』
そうしてコテージに入るといつものようにエレナの左右にはセリアとマイナがお腹にはフェイが横になる。
『しばらくはゆっくりしたいね』
「うん、のんびりポーラトールの家で皆んなで笑って暮らしたい」
セリアはそう言ってエレナの腕にしがみつく。
「そうねあの家に少ししか住んでなかったけど楽しくて明るいもの」
マイナの言葉にエレナは嬉しくなる。
「私もよ、あんなに楽しく暮らせたら幸せね」
サラもまだ起きていたようだ。
『その為に明日は勝とう』
「「「うん!」」」
朝になってエレナが起きるとまだ皆は寝ていた、微かな寝息が静かな部屋に聞こえていた。
起こさないようにセリアとマイナに布団をかけるとゆっくりと起き上がり外に出た。
もう日が出てきていて眩しい光が目を瞑らせると慣れるまで大きく深呼吸をする。
『ふー、さてと朝ごはんは何にしようかな』
エレナは指輪から料理道具を出して考えた結果シンプルにトーストと野菜スープと目玉焼きを用意した。
「エレナおはよう」
サラが起きて来るとフェイも匂いに釣られてきたのかいつの間にかいつもの席で待っていた。
「おはよう」
「おはよ」
セリアとマイナも起きて席に着く。
『皆んなおはよう! じゃあ食べようか』
皆んなでいつもの通り食べ始める。
ユギルはいつも朝は食べずに何処かに行っていた。
ユギルが帰って来ると馬車をカダル王国に向けて走らせた。
カダル王国はすでに建物が破壊され街は見る影もなく廃墟のようにシーンと静まりかえっていた。
街の入り口に馬車を停めて中に入って行く。
入ってすぐの広場には魔物が数体歩いているのが見えた。
『魔物だ……皆んな準備はいい?』
「行きましょう!」
「ええ、特訓の成果を見せてあげるわ!」
「皆んな油断しないでね」
「行くぞ‼︎」
エレナ達は魔物に向かって走って行った。
すぐに広場の魔物を倒すと音を聞きつけて来たのか奥から次々と魔物が出てくる。
上級クラスと呼ばれる魔物も、もはやエレナ達には相手にならなかった。
ユギルはオーラを纏い高速で敵を切り倒して行く。
セリアは一気に10本の矢を放ち同時に複数体の魔物を葬る。
サラはマイナと業火術で魔物を広範囲で焼き尽くしていく。
エレナも聖剣にマナを流し魔物に斬りかかるがまるで豆腐のように硬い魔物も切り裂いていく。
フェイはエレナの肩から降りると奥に走って行った。
皆に見えない所に行くとフェイは大きな魔物に変身した。
ガァァー‼︎
ドォゴォ‼︎
ズドォォン‼︎
奥にいた魔物を圧倒的な力で次々と薙ぎ倒していった。
『いいよ皆んな! この調子で頑張ろう!』
その時足元に揺れを感じた。
揺れは次第に大きくなっていく。
ドォン! ドォン!
ドォーン‼︎ ガラガラ!
「ボスが来たみたいだな‼︎」
ユギルがそう言うと奥から建物を壊しながら20メートルもありそうな魔物が近づいていた。
黒いローブを着た男は瓦礫と化した城の上からエレナ達の戦いを驚いた表情で見ていた。
(な、何だアイツらは‼︎ 魔物が相手になっていないだと‼︎)
魔物は魔物を容易く葬るエレナをじっと見ている。
(特にあの剣を持っている女は危険だ‼︎ 何とかしないと魔物の方が滅ぼされてしまう‼︎)
魔物はエレナの存在が一際目立っており将来魔物にとって脅威になると確信していた。
(私の命に変えても奴だけは仕留めねば……くそ‼︎ あれをやるしかないか……)




