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第45章 迷彩の洞窟2

 エレナ達は6階に降りていた。


 洞窟は5階まではゴツゴツとした岩が転がっていてただ穴を掘ったものだったが6階ではちゃんとした四角い部屋の形をしていた。


 土の色をした壁や天井は何も装飾されていない。


 コツコツと歩く音が反響している。


 歩いていると別れ道が見えた。


「どっちに行けばいいのかしら?」


 セリアは左右の道を覗きこんでいた。


「確かどちらも最終的には同じ場所に着くはずだ」


 ユギルが前に来た時の事を思い出して助言する。


『じゃあ左右で魔物の種類が違うとかそんな感じかな』


「正解が分からないならエレナさんに決めて欲しいわ」


 マイナがそう言ったのでエレナは何となく左でいっかと思い。


『じゃあ左かな』


 その言葉に皆何も言わずに左の道に入って行った。


 しばらく進んで行くと大きな部屋に出る。


 グルル!


 奥の方から魔物が威嚇をしながら姿を現した。


 虎の様な魔物で大きさは5メートルはある巨大なものだった。


「来たな、行くぞ‼︎」


 ユギルは剣を構えて走って行くと後からセリアも続く。


 魔物は素早い動きで攻撃を仕掛けて来たがユギルが剣で受けると遠距離からエレナとセリアが攻撃をして休む間を与えず徐々に追い詰めていく。


 最後はユギルに斬られ消えていった。


 カチャ!


 床に紫色をしたマナの結晶石が落ちた先に階段が見えていた。


『今日はここで野宿しよう。この調子だと明日には10階に行けると思うし』


「そうねちょっと疲れたわ」


 エレナ達は夕食を取るとテントに入っていった。


 エレナは寝る前に明日の事を考えると少し緊張がしてくる。


(明日はとうとう最後の結晶石だ、気を引き締めないと)




 テントで寝ていたエレナだがいつの間にか夢の中にいた。


(ああ、これは……)


『サラさんどうしたんですか?』


 エレナの声に反応したかのように目の前にサラが出てくる。


「ごめんなさい疲れているのに」


 サラはいつもの元気がなく、何か寂しそうな顔をしていた。


『僕は会えるのは嬉しいですよ』


「ありがとう私もずっと一人でいたから話相手ができて嬉しかったわ」


 エレナは別れを惜しむようなサラに嫌な予感がする。


(嬉しかったなんてやだなぁもう会えなくなるようないい方……)


「……もうすぐね、最後の……お父さんの結晶石まで」


 サラはどうしようもない運命をエレナに話し始める。


「だから消える前に最後にもう一度あなたと話したかったの」


『……嘘ですよね』


「私はお母さんとクレイの力を受け取った。だからそれを私の力と共に族長にたくすのが私の使命なの」


『そんな……』


(嫌だよ消えるなんて……ユギルだってサラさんが結晶石の中で生きていると思っているのに、そんなの辛すぎるよ……)


「あーあ、あなたの料理食べてみたかったな……」


 サラは名残惜しそうに言うとエレナに微笑みかける。


 エレナは見逃さなかった、サラの目に涙が浮かんでいた事を。


「さようなら……ユギルにも約束守ってくれてありがとうって伝えてね」


『待って‼︎』


 しかしエレナはそこから目覚めてしまった。


 暗い部屋では皆んなの寝息が聞こえている。


 頬を指で触ると涙で濡れていた。



「エレナ大丈夫?」


『え? あ、うん大丈夫だよ』


「何かあったんですか?」


 朝になり食事をしているとセリアとマイナは心配そうな顔をしてエレナを見ていた。


『昨日緊張して寝れなくてさーでも本当に大丈夫だから! さあそろそろ行こう!』


 エレナは殆ど食べ残した料理を片付けた。


 7階に降りると今度は鍾乳洞の様な水が流れている通路を歩いていた。


 やがて大きな場所に出るとエレナ達は魔物が数体歩いているのを確認した。


「また魔物を避けて突き進むぞ‼︎」


『……』


 ユギルが先頭を走って進んで行った。


 その後をセリアが続き次にエレナとマイナが走って行く。


 マイナはエレナの様子がおかしい事に気がついていた。


 何を言っても上の空で今も魔物を走って避けながらも何か考えている様に見えていた。


 すると魔物が横からエレナに襲いかかって行くのがマイナの視界に入ると体が動き出す、エレナは魔物に気づいていなかった。


「危ない‼︎」


 マイナは叫びながらエレナを突き飛ばした。


『え?……』


 マイナの声が聞こえるとエレナは突き飛ばされていた事に気付いた。


 エレナは何が起こったのか分からなかったが後ろを振り返るとマイナが倒れていた。


「マイナさん‼︎」


 セリアはマイナに駆け寄った。


「おい! マイナをあの穴に運べ‼︎ 俺はこいつを連れて行く‼︎」


 ユギルはそう言うと茫然自失となっているエレナの腕を引っ張り強引に穴の方へ連れて行った。


 穴が空いた空間にセリアはマイナを寝かせた。


 マイナの身体から血がドクドクと流れていく。


 パァン!!


 乾いた音が鳴り響いた。


 ユギルは泣いているエレナの頬を叩き諭すように語りかけた。


「しっかりしろ! お前ならマイナを治せる。俺達がここに魔物を絶対に寄せ付けないから早く治療をするんだ」


 エレナはマイナに近寄り治療を始める。


「俺達はここを死守するぞ‼︎」


 ユギルとセリアは穴から出て魔物に向かって行った。


『ごめんマイナさん、俺のせいで……』


 エレナは必死にマナを送り血に変えると共に傷口を塞いでいった。




 私は真っ白な場所にいる。


(死んじゃったのかな……でも最後は好きな人の為だったんだから悔いはないわ)


 すると身体に優しくて暖かい光が流れてきた。マイナは抱きしめられているように安心感があった。


(凄く気持ちが良い……ああ……あの人のマナね……)


 ゆっくりとマイナは目を開けた。


 すると目の前にはエレナが泣いてマイナを見ていた。


 マイナはエレナの赤くなっている頬を触るとエレナはその手を両手で包み込むように握った。


『ごめん、僕のせいで……』


「私はあなたの為なら……好きな人の為なら死んでも構わないわ」


『もう絶対にそんな事はさせない、後は任せて』


「少し眠るわね」


 エレナはマイナに毛布を掛けるとロッドを手に穴を出ていった。



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