第44章 迷彩の洞窟
エレナ達は街を出ると最後の結晶石を求め迷彩の洞窟を目指して馬車を走らせていた。
『予定だと明日のお昼には着くかな?』
「そうですねそれにしてもマナの身体強化というのは凄いですね」
エレナ達は馬車の中ではマナの訓練をしていた。
マナの身体強化をすぐにできるようにみんなで練習していた。
マイナは最初は出来なかったが徐々に習得していった。
「でもお二人程のマナの量がないので大変ですわ」
『あ、そうだ』
エレナは自分で作ったマナの結晶石を使ったネックレスをマイナに渡した。
使った結晶石はカナン遺跡でナーラの結晶石を守っていた黒騎士の物だった。
『これはマナの結晶石を使った物で付けていればマナの量とか回復が早くなるんだ。マイナさんにあげるよ』
「ありがとうございます……凄く嬉しいです」
マイナはネックレスを受け取ると嬉しそうにして着け結晶石にマナを流すと体にマナが溢れてくる。
「凄いですマナの量が目に見えて増えています!」
マイナは自分の体にマナが大量にあるのをみて驚くと共に喜びの表情を浮かべる。
その夜途中で見つけた岩陰で野宿をする事にした。
皆で夕食を食べた後焚き火を囲んでいるとエレナはユギルに洞窟の話を聞いていた。
『ねえユギルはあの洞窟に行ったことあるの?』
「ああ、昔冒険者だった頃に行ったことがある。10階からなる洞窟でな魔物が多く住み着いていた。だがラーガの族長が洞窟をどうしたかは分からんな」
『10階かぁ時間かかりそうだね』
「問題は魔物もそうだがラーガの者が何人魔物化しているかだな」
「焦ることはないです。ゆっくり攻略していきましょう」
『そうだね』
エレナ達はコテージに入りすぐに寝る事にした。
明日に来るだろう激戦に備えて。
次の日の昼前になった頃とうとう洞窟が姿を現した。
洞窟の横に馬車を止めてお昼を食べる事にした。
『今日は昨日の街の名産品の魚を使った料理を作ってみたんだ』
エレナは名産品の魚を刺身にして食べてみた所何と鮭の味がしたのだ。色も似ていたのでもしかしたらと思っていたが。
それを使って炙り焼きにして醤油を使ったソースをかけた。
チーズリゾットも作って一緒に出した。
「魚ってちょっと苦手だったけどこれは美味しいわ」
「骨も無くて食べやすいですね。美味しいです」
「イケるなこれは酒が欲しくなるな」
お昼を食べて少し休むと扉の前に行く。
『みんな入ったらもう奥に行くまで帰れないからね』
「分かったわ」
「ええ、皆さんがいるから大丈夫です!」
ユギルは無言で頷いた。
エレナは水晶に触れマナを流した。
ゴゴゴ
石でできた重そうな扉はゆっくりと開いていく。
『行こう』
エレナ達は自分の武器を手に持ち洞窟に入って行った。
入口は小さい広間になっていた。
ゴゴゴ!
扉は開くときと違いあっという間に閉まってしまった。
エレナはマナで辺りを照らした。
『セリア、マイナさんこの洞窟は広いし10階もあるから何があるか分からない。一応これを持っていて』
エレナはセリアとマイナに小さな袋を渡した。
「これは?」
『食料とナイフと寝袋だよ』
「こんな小さな袋に入ってるの!?」
『マナの装備屋さんで買ったんだ。他にも入るから使って』
『使い方は袋に手を入れて出したいものを唱えれば出せるよ、入れる時はマナを物に流して袋に詰め込むんだ』
「ありがとうエレナ」
「ありがとうございます」
『じゃあ行こう』
エレナ達は奥に進んで行った。
1階は洞窟らしく岩で囲まれた場所だった。
「おい、奥に魔物がいるぞ」
魔物の気配を感じたユギルは剣を出して警戒した。
『分かった!』
奥に歩いて行くと薄暗い広い場所に出たのでロッドを天井に向けてマナを放ち光を灯した。
洞窟の中が照らされるとそこには魔物が何十匹も姿を現した。
『結構いるな、二手に分かれて殲滅しよう! マイナさんは僕とセリアはユギルと組んで!」
「油断するなよもしかしたらラーガの者も混じっているかもしれん」
「行きましょう!」
「うん!」
エレナ達は二手に分かれて魔物を倒して行く。
エレナはマナで敵を次々と倒して行った。
マイナは攻撃系のマナが出来ないのでエレナのサポートに回っていた。
魔物達を全て倒し終わりエレナが一息つくとマイナがエレナに近付いて話しかけた。
エレナが顔を見ると少し暗い顔をしている。
「ごめんなさい私役に立っていなかったわ」
『しょうがないよマイナさんは治療に特化しているから、それに戦闘だって慣れてないのに』
「私攻撃系のマナも練習するわ」
エレナ達は奥に進み階段を降りて行った。
地下2階も同じ様なフロアだった。
「ここで全ての魔物と戦っても時間の無駄だ! 一気に降りるぞ!」
ユギルの声にエレナは頷くと目の前の魔物を蹴散らしながら進んで行った。
『皆んな行くよ!』
エレナとユギルが邪魔な魔物を倒して道を作り一気に走り抜けて行った。
そうして4階まではその調子で降りて行ったが5階からは雰囲気が少し違っていた。
ひんやりとした風が吹き床には霜がありサクサクと歩く音が変わっていた。
「何か急に寒くなってきたわ」
「そうですね床も凍っているわ」
『ここでは戦いにくいね』
奥へ慎重に進むと大きな部屋の真ん中に水溜まりができて凍っていた。
「魔物の気配がする……気を付けろ」
ユギルの言葉にエレナはマナで天井に光を灯すとセリアが叫んだ。
「今あっちで何かが動いたわ!!」
そこを見ると黒くてデカいワニの様な生き物が壁に貼り付いていたが動く気配がない、じっとして壁と同化しているようだ。
『マナで攻撃しようか』
「周りは水浸しだ電撃はやめておけ」
エレナはここは戦いにくいと感じた、床はすべりやすく冷えた空気は火の威力を下げ、周辺にある幾つもの水溜まりはいかずちを躊躇わせる。
『じゃあ岩を当てて見るね』
エレナはマナで岩を作り押しつぶすつもりで魔物に向かって放った。
ドォーン!!
岩が魔物にぶつかるが皮膚が硬いのかあまり手応えがなかった。
それを見たユギルは苦笑した。
「なるほどよく考えられた戦場だな、全てにおいてアイツが有利にできてやがる」
『多分ラーガの人だね』
魔物はこちらに気づき動き始めた。
「来るぞ!」
ユギルは剣を構えると皆も続いて戦闘体制に入る。
魔物は床を滑るように素早く動いていた。
『速い‼︎』
不利な戦場でもユギルは何とか攻撃を繰り出しているが当たらず。
セリアも弓を放っているが魔物は素早くなかなか狙い辛そうに攻撃していた。
エレナも岩や真空の刃による攻撃をするが当てられず頭で対策を考えていた。
(何とか動きを止めないと……動きを止めてもあの硬い皮膚以外の弱点はないのか?)
エレナは魔物を観察するが薄暗い洞窟の中ではマナで照らそうが困難だった。
(ここでは炎もいかずちも使えない……困ったな)
マイナは敵の動きを見ていて気付いた事があった。
「エレナさん! あの魔物が絶対に通る場所があります!」
策が浮かばないエレナはその言葉に急いでマイナに近付く。
『どこを通るの?』
「はい、今勢いよく滑るようにユギルさんに向かっていますよね?」
『うん』
「よく見ていて下さい」
エレナは魔物の動きを見ていると魔物はやがて勢いを無くして来るとある場所に向かっていた。
「あそこです‼︎」
マイナが言った時魔物は氷が斜めに滑り台のような所に移動してそこから勢いをつけていた。
『なるほど動きを見ていると最終的にあそこに戻ってるね。ありがとうこんな状況でよく気づいたね』
「いえ、私は戦闘に参加出来ませんから」
『ちょっとユギル達に作戦を言ってくるね!』
エレナはユギル達の方に向かって行った。
『みんな聞いて! 僕が奴をひっくり返すからそこを狙って‼︎』
「分かったわ‼︎」
「頼んだぞ!」
エレナは魔物がユギル達に向かっている間に走って滑り台にマナを流した。
(よし、後はタイミングを合わせるだけだ)
『皆んな次に魔物が来る時に転ばすよ‼︎』
魔物はまた動き回った後滑り台にいた。
そして今まさに降りようとした時
『今だ‼︎』
エレナは魔物の真下から岩を突き上げた。
魔物は下から突き上げる衝撃にバランスを崩して転がり落ちて行った。
そこを待っていたとばかりにユギルは腹をセリアは口の中に矢を放った。
「ゴォォォァァーー‼︎」
魔物は消えそこには結晶石が転がっていた。




