第42章 マイナの心
エレナ達は今馬車に乗って北に向かっている。
あの後結局カダル王国は一旦兵士を引いていた。
その為エレナ達は旅を再開し北にある洞窟に向かっていた。
馬車の中でマイナはエレナとセリアに自分の過去を話していた。
「私は元々母と2人でこの国の城下町で暮らしていました。私が大きなマナ使いであると知った王に養子として引き取られハーデルト王国の王女として育てられました」
エレナとセリアは意外な過去に驚くとマイナは話を続ける。
「しかし私は王に道具の様に扱われていた、貴族をマナで治療させ多額の金を王は得ていたのです」
エレナとセリアは悲しそうな顔をするマイナに同情した。
マイナの母は既にこの世にはいなかった為孤独を感たマイナは何で生きているのだろうとすら思っていた。
貴族の間では誰がマイナと結婚するか知らないところで色々とオークションの様に王には金や物など献上されているのをマイナは知っていた。
エレナはその後もマイナの話を聞いていた。
エレナから見てマイナはファルナレスと同じくらいの美女に見えた。
髪はグレーでショートボブにしておりクールな印象だ。
年は17歳と言いエレナの一つ年上だった。
マイナは話が終わると窓から移りゆく景色を見ながら考えていた。
(私はエレナさんに出会って考えが変わった、エレナさんは私に生きる喜びを教えてくれる。まだ数日しか経っていないのに一緒にいるのが楽しくて仕方がないわ)
マイナはエレナとセリアが友達の様に接してくれる事が嬉しかった。
(でも不思議だわ、エレナさんと話していると彼女が男性に見える時がある。話し方のせいなのか雰囲気なのかそれとも願望なのか……ああ、エレナさんが男だったら……)
マイナはそんな叶いもしない願望に苦笑する。
(でも私は見てしまった昨日セリアさんと隠れてキスをしていたのを……私も隣にいたい)
マイナは窓から前で座っているエレナに視線を移す。
(何だろうこの感情は……でも分かるわ、私はエレナさんを好きになっている)
マイナは行動力が凄く後悔をしない人生を歩みたいと思っていた為エレナを好きだと自覚した後止まらない機関車の様にアプローチが始まるのであった。
(う〜ん何だろう最近マイナさんの距離が近い、スキンシップも多いし、嫌じゃないんだけどセリアの顔が引き攣っているくらいだ……気まずい)
今日エレナが朝起きた際マイナがエレナの腕にしっかりしがみ付いていてびっくりしたのだ。
今もマイナはエレナの隣でエレナの料理を美味しそうに食べている恋人の様な密着した距離で。
流石にエレナも気付いていたマイナに好意を持たれていると。
(これはまさか俺に……確かに彼女は魅力的な女性だけど)
誰にも優しく自分より他人を優先する姿はエレナを惹きつけた。
(でも俺にはセリアがいるから)
「マイナさんちょっとエレナにくっ付き過ぎじゃないですかね……」
セリアはとうとう我慢ができずエレナの隣に来ると密着して座った。
「あら、妬いているのかしら? あなたとは話しておきたい事があるの。後でちょっといいかしら?」
セリアはマイナの言葉で呆気に取られていたが持ち直すと答えた。
「分かったわ」
そう言うとセリアは無言で後片付けを始めた。
皆で夕食を食べた後休憩をしている。
エレナはユギルと地図を見て話していた。
『今どの辺かな?』
「恐らく洞窟とポーラトールのちょうど真ん中と言ったところだな」
『じゃあ後3日はかかりそうだね』
「確かもう少しすると街があった筈だ」
『そこに一旦寄ろうか食材も補充しておきたいし』
「そうだな」
エレナはいつの間にかいなくなっていたセリアとマイナに気付く。
『あれ? そういえば他のふたりは?』
「さっきあっちに向かっていったぞ」
ユギルはそう言って目でエレナに方向を教えた。
(何か嫌な予感がする……)
「お前も大変だな」
心配そうなエレナの顔を見たユギルはそう言って地図をしまった。
『あのふたりとは仲良くやっていきたいな』
「お前の国は嫁は1人までなのか?」
『え?』
「この国というか俺の知っている限りだと一夫多妻が常識だ」
『そうなんだ』
「と言ってもそんなのは貴族や王族だがな、一般では金がないと出来ないから殆どが1人だがな」
エレナにはその文化が分からなかった。前の世界でも認める国があるのは事実だが住んでいた日本では違う。
しかしエレナは前の世界でやっていたゲームのブレイズファンタジーでハーレムを築いていた為か内心では羨ましいと思っていたのだがあくまでゲームの話だと割り切っていたのだ。
「お前の性格を見るとそんな器用な事が出来ると思わないが器は十分あると思うぞ」
『ていうか僕女だけど』
「おっとそうだったな、お前と話していると若い男と話している気分になるんだよ」
『よく言われるよ』
「でも自分を好いている奴をそう言う理由で切るのは可哀想だと思ってな」
エレナはドキッとする、まさにそれが今頭を悩ませていたのだ。マイナの想いにどう応えるべきかを。
「まあ自分に正直になってみろ」
『全くサラさん一筋の人がよく言うよ』
「ふっ確かに」
セリアとマイナは小さな滝がある所に来ていた。
「それで話って何かしら?」
セリアは少し険しい表情でマイナを見た。
「私はエレナさんが好きよ、あなたと同じくらいに」
セリアは分かっていた。というか誰でも分かるアプローチをしていたが。
「エレナは渡さないわ」
「そうは言ってないわ私も一緒に隣にいたいの……エレナさんは大きな器よあなただけで支えきれるのかしら」
マイナの言葉に黙ってしまうセリアにマイナは懇願する。
「お願い一緒にエレナさんを支えていきたいの」
「エレナがそう望むなら私はそうするわ」
「もちろんエレナさんが望まなければ潔く身を引くわ、私はあなたと仲良く出来ると思っているのよ」
セリアは確かにマイナの事は最近のアプローチが始まるまではいい友達ができたと思っていた。
「そうね私もよ」




