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第39章 ハーデルト王国の王女

『最後の遺跡だか洞窟はどこにあるの?』


 エレナは馬車の御者をしているユギルに訪ねた。


「ああ、最後は洞窟だがここからずっと北にあるんだ」


『じゃあ森を通るの?』


「いや、森は迷うし逆に遠回りだ、一旦西に向かって森を避けてから北に行くぞ」


『了解』


「しばらく時間がかかるから中で休んどけ」


『ありがとう』


「ありがとうございます」


 エレナは馬車で乗りいつでも戦えるように準備はしつつもセリアと話をしていた。


 すると馬車が急に止まった。


(魔物かな?)


 エレナはすぐにユギルに声をかけた。


『どうしたの? 魔物?』


「いや、誰かわからんが追いかけられているな……あれは」


『え?』


「追いかけているのはカダル王国の兵士だ」


『助けよう! セリア!』


「うん!」


 エレナ達はすぐに馬車を出て助けに向かった。





「姫! ここから先に森がありますそこで隠れましょう!」


「はあはあ!」


 あの日ハーデルト王国に魔物が襲って来た時ちょうどマイナは城下町を出ようとしていた。


 魔物の群れが街に侵入し街は大混乱になっていた。


 マイナを乗せた馬車は急いで街を離れた。


 マイナが逃げる馬車から見たのは大きな音とあちこちで煙が上がる街だった。


 その後この事態を報告し助けを呼ぶ為ポーラトールに向かっていた時、突然襲って来たのはカダル王国の兵士だった。


 マイナは必死で逃げていた、そして分かってしまった。


 魔物が襲って来たタイミングでのカダル王国の動き、最近の魔物の動きがカダル王国の仕業であったと。


(他の国や街に知らせなくては!)


 森が見えてきた時馬が走れなくなり降りて走って向かうが追手はすぐそこまで来ていた。


「ここは私が時間を稼ぎます!」


 マイナの唯一の理解者でもあるシャクトはマイナを逃そうと兵士達の方を向いた。


「シャクト! ダメよ! あなたに何かあったらあなたの奥さんになんて言えばいいのよ‼︎」


 シャクトはまだ結婚して間もなかった。


 マイナはそんな男を死なせる事は絶対にしたくなかった、叫ぶようにシャクトを止めた。


 その時マイナの視界に3人の男女が前から走ってくるのが見えると逃げられないと悟った。


(挟まれた⁉︎ もうダメ逃げられない……)


 マイナは疲れた足を止めた。


 しかし前から来た3人はマイナを素通りして行く。


(え? 敵じゃないの?)


 3人はカダル王国の兵士に向かって行った。


 数分だろうか20人はいたであろう兵士は3人に全て倒れていた。


 マイナは続いていた極度の緊張から解放され疲れもありその場で倒れてしまい意識を失ってしまった。




「ううん……」


 マイナは目を覚ますと柔らかい布団に寝かされていた。


(ここはどこかしら?)


 木で出来ている部屋にいた。


 するとドアの隙間からいい匂いが漂っていた。


 グゥゥ!


 お腹の音が大きく聞こえマイナは顔が赤くなる。


 起き上がってドアを開けて外に出るとそこは真っ暗な夜空が広がっていた。


 雲が一切なく星が綺麗で風も少し暖かくマイナは心地よい風を受けて伸びをした。


 パチパチ


 焚き火の音がする方へ歩いて行くとシャクトと知らない男の人と綺麗な女性が椅子に座っていた。


「姫!」


 シャクトはマイナを見て立ち上がった。


「お身体は大丈夫ですか?」


「ええ、まだ少しだるいけど……」


 シャクトはホッとした表情をすると他の二人をマイナに紹介する。


「この方達は私達を救ってくれました。ユギル殿とセリア殿です、それに……」


 シャクトが見た先には同じ歳くらいの少女が料理をしていたが顔は見えなかった。


 どこから持って来たのか大きな鍋や調理器具が置いてある。


「エレナ! 姫さまが起きたよ!」


 セリアが大きな声でエレナを呼ぶ。


(エレナ⁉︎ まさか‼︎)


 マイナは探していた人物の名前に驚いていると料理をしていた少女が振り向きマイナを見た。


『すいません、気づかなくて大丈夫ですか?』


 マイナは見た瞬間噂の聖女だと直感で分かった。


 心配そうな顔でマイナを見る少女は美しくマイナは時が止まったかのようにずっと見つめていた。


「姫様?」


 シャクトの声で我に帰ったマイナは挨拶をする。


「皆さま助けていただき本当にありがとうございます。私はハーデルト王国の王女マイナと申します」


『話はシャクトさんから聞きました』


「そうですか……」


 エレナは表情が暗くなるマイナを元気付けようと出来立ての料理を振る舞う事にした。


『とりあえずご飯にしませんか? ちょうど出来たんですよ、セリア手伝ってくれる?』


「分かったわ」


 エレナは料理をテーブルに並べた。


(今日はサラダにスープと牛肉に似た味のカフーの肉のステーキ丼だ)


『じゃあ食べよう』


 皆いい匂いが食欲を刺激すると食べ始める。


「美味しいわエレナ」


「何という美味しさだ!」


「美味しい……」


「美味いな」


 皆が食べ終わるとエレナはハーブティーを出した。


 皆が美味しい料理を食べてその余韻に浸っているとマイナがエレナにお礼を言った。


「聖女様美味しい料理でした。こんなに美味しい料理初めてですわ」


『そうですか良かったです』


「シャクトからはどこまで話を聞きましたか?」


「ハーデルト王国が魔物の襲撃を受け、その後カダル王国の兵士に襲われたと」


 セリアがそう答えた。


「聖女様、カダル王国は魔物を操りハーデルト王国に戦争を」


『はい、実は僕達はカダル王国の戦争を止める為旅をしています』


 エレナはラーガ一族がカダル王国によって滅ぼされた事とそのラーガ一族の力を復活させる旅をしている事を話した。


「そうですか……私はこの事をリンドラ王国とこの大陸の街に知らせようと町の人を置き去りにして逃げてきました」


 マイナは悔しさからか手をギュッと握っていた。


「聖女様どうか力をお貸しください。どうかハーデルト王国をお救い下さい」


 マイナは頭を下げた。


『もちろんですよ』


「ありがとうございます……」


『ユギル、セリア、ハーデルト王国に行こう』


 ユギルとセリアは頷いた。


「シャクト、あなたはポーラトールへ行って応援をお願い」


「分かりました。すぐに応援を呼んで駆けつけます」







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