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第35章 特訓

「はぁはぁ、アイツ強すぎんだろ!」


「ぜぇぜぇ、何も出来ないなんて! 何なんですかあの人!」


 エレナ、セリア、ユギルにちょうど教会に来ていたアステシアとユーリアを連れて街から離れた平原で戦闘訓練をしていた。


 エレナの横ではアステシアとユーリアが地面に伏せてゼエゼエ息を切らしている。


 ユギルがふたりにかかって来いと言ってきた為アステシアとユーリアは2人がかりで挑んだのだが見事に蹴散らされてしまった。


 ユギルは剣で肩をトントンと叩き嬉しそうにふたりを見た。


「何だ粋がってたわりにこんなものか?」


「何ー‼︎」


「全力でかかって来い」


 アステシアは立ち上がりユギルに向かって行ったがやはりすぐに地面に転がされていた。


「ちょうどいいお前らも鍛えてやる」


 ユギルはアステシアとユーリアの前に来るとニヤリと笑う。


「ヒィ!」


「目が怖いですぅ」


 2人はその後立てなくなるまでしごかれていた。


 その間エレナはセリアにマナを纏う身体強化を教えていた。


『そうそう!それでいいんだ』


「やっと出来たわ!」


 マナを全身に纏うとセリアは素早い動きをしてみせた。


「エレナ見て! 凄く体が軽いの!」


『身体強化されてるからね、これを戦闘中は維持するんだ』


「慣れるように毎日やるわ」


 そしてセリアは弓も練習していた。


 弓矢にマナを流して撃つと凄まじい威力の矢が飛んでいくのだ。


 他にも矢に火や雷など属性を付与して魔物に有利な属性で戦えるようだ。


(俺が魔法使いでユギルが剣士セリアが弓手とまあいいパーティが出来たな、あと盾かもう一人前衛と僧侶がいれば完璧なんだけど)


 エレナはブレイズファンタジーを思い出してパーティーのバランスを考えていたのだった。




 エレナとセリアは途中しごかれているアステシアらを残して街に戻る。


 エレナはセリアとマナ使いの装備が売っている店に行った。


「おお、久しぶりじゃな!」


 お婆さんはそう言って迎えてくれた。


『この子に装備をと思いまして』


「ほう、ゆっくり見て行くがええ」


『セリアは弓手だから軽装備がいいよね』


「そうね、でも凄い値段ね……」


『ああ、気にしないで全部払うからさ』


「そんな、エレナにいつも頼ってるのにこんな事まで」


『これから危険な旅だからやれる事はやって悔いのないようにしたいんだよ』


「……ありがとう、私頑張るから!」


『うん!じゃあ見ていこ』


 セリアは一通りの防具に弓を買った。


 弓は特殊でマナを流すと威力が上がるらしい。


 しかも弓を引くとマナの矢が出てくるというので矢を持っていなくてもいいという便利な機能があると言っていた。


『すいませんこの箱ってなんですか?』


 エレナは気になっていた物を持ってお婆さんに聞いた。


「それはマナを蓄積できる物じゃ中に結晶石の粉が混ざった特殊な砂が入っておる」


(それって電池みたいなもんかな)


『じゃあこれにマナを流せば溜められるって事ですか?』


「そうじゃ、そうすればマナを使えない者でもここに置いてある道具が使えるのじゃ」


(ほう〜これはいい物みつけた!)


「だがそれにマナを蓄えるのは時間がかかるぞ、普通のマナ使いでも60日続けてやっと溜まるくらいじゃ」


 エレナはそれを3つ買った。


(これを孤児院に置けば俺がいなくても大丈夫だ早速明日設置しよう)


 店から出るとエレナはセリアに話しかけた。


『もうすぐ孤児院に住めるんだ。出発は4日後だからその前の日に新しい孤児院で完成祝いをしよう!』


「いいわね、旅から早く帰って皆んなで暮らせるように頑張らないとね」


『旅の食料も買っておきたいから市場に行こう』


 エレナ達は食材や日常品を買いに出掛けた。




 エレナ達が買い物をしていると声をかけられた。


「聖女様」


 振り返ると若い男が立っており何人か後に引き連れていた。


(何処かで見た顔だけど……)


「リンドラ王国の宴で挨拶をさせて貰いましたラバーツです」


『ああ、そういえば商会をやっているって』


(そういえば食材をお願いしようかと思ってたんだ)


「覚えていて下さいましたか! 聖女様がポーラトールに戻られたと聞いてここまでやって参りました」


 ラバーツは覚えていてくれた事に感動して子供のように喜ぶと後ろにいた部下はいつもと違うラバーツの姿に驚いていた。


「聞けば危険な旅に出ているそうなので何か力になれればと思いまして……少し時間を頂けないでしょうか? 近くに店があるので」


『分かりました、セリアいい?』


「うん」


 ラバーツに案内され店に来るとその大きさにエレナは驚く。


(……デカいな百貨店みたいだ)


 エレナ達は奥の部屋に通された。


 部屋は貴族でも呼ぶ部屋なのか豪華な内装に高そうな家具類が置かれていた。


 エレナは高そうなソファーにセリアと座ると早速欲しかった物を聞いてみた。


『あの、馬車って買えませんか?』


「馬車ですか? お任せ下さい。いい馬車を手配しましょう2日あれば用意できます」


『本当ですか! よろしくお願いします』


(流石大手商会! 仕事がはやいなぁ、自分の馬車が欲しかったんだよね)


「聖女様お願いというかご提案があるのですが」


『何ですか?』


「城のコックに聞いたのですが聖女様は色々と調味料を独自に開発して持っていると聞いたのですが、それを商品化してはどうかと」


 この世界に来てエレナは色々と前の世界にある調味料を再現していた。


 この世界の調味料といえば塩、砂糖、酢、胡椒、バター、酒くらいだった。


 そこからエレナは試行錯誤を重ねて醤油、ケチャップ、マヨネーズ、ソース類を作った。


 本当は味噌を作りたいのだが時間がなくて出来ていない為次の目標にしていた。


『とりあえず2つ作り方を教えましょうか?』


「いいんですか‼︎ 是非お願いします」


『ええ、ちょっと調理してもいいですか?』


「ではこちらへ」


 エレナはキッチンに行き2種類の肉を焼いた。


 そしてそれぞれの肉に合うエレナ特製の焼肉のタレとステーキソースをかけて出す。


『どうぞ』


 ラバーツ達はそれを食べると思わず声を上げた。


「美味い‼︎」


「美味しい……」


 焼いた肉がすぐに無くなるとエレナはラバーツに聞いた。


『これなんかどうですか?』


「素晴らしいです!」


『じゃあレシピを書いておくのでちょっと待ってください』


 紙に書いたレシピを渡す。


「ありがとうございます! きっと売れますよこれは!」


 ラバーツの勘は間違っていなかった、あのリンドラ王国の料理長が興奮していた程の調味料は売れると思っていたが今回の事で確信に変わったのであった。


「売り上げの一部を聖女様にお渡ししますのでまた旅から帰った際はこちらへお寄り下さい」


『分かりました』


 その後セリアとラバーツの店で仲良く買い物をした後家に帰っていった。




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