第29章 調査
エレナが朝起きると食事に誘われたのだが部屋に入るとそのメンツに驚いた。
「これは聖女どのささ座ってくだされ」
王が部屋に入ったエレナを椅子に座るように促した。
そうエレナは王族の食堂にいたのだった。
朝食を王と王妃に王女と一緒に食べた後に運ばれたお茶を飲みながら雑談をしていた。
「昨日の反響は物凄いものでしたな、あの後聖女殿との面会を希望する者が後をたたなくてな」
エレナはちょっと困った顔をするとそれを察した王は笑って言った。
「はは、安心してくれ余程のことではない限り聖女殿に会わせんよ」
(良かったぁさすがにキツいし時間もないからな)
「それで聖女殿、後で会議に参加して貰えないだろうか? 調べて欲しいという事も聞いておきたい」
『分かりました』
「それではまたお呼びしますので部屋でお寛ぎください」
王妃に言われて席を立つと侍女に案内され部屋に戻った。
(さて今日は会議とやらが終わったら書物庫に行って来ようかな)
その後アトスが部屋に来るとエレナは会議室へ向かった。
会議室に入ったエレナは部屋を見渡すと王と王女に大臣らしき人など5人が座っていたのを見て少し緊張した。
エレナが案内された椅子に座ると会議が始まった。
「さて始めますか、まずは聖女様の話を聞きましょう」
王の右手にいるローブを着た年配の男にエレナは話を振られるとエレナはまずラーガ一族について話し始めた。
『皆さんはラーガ一族のことはご存じですよね?』
「確か昔滅んだマナ使い一族のことだな」
王の言葉にエレナはラーガを知っていた事に安心して話を続ける。
『はい、では何故滅んだかはご存知ですか?』
「魔物に襲われて滅びたのではないのか?」
(やっぱり世間ではそうなっているのか……)
『実はあれはカダル王国が魔物を誘導して里を襲わせ森から逃げた人々を襲った事件でした』
王を始め皆その事実に驚きを隠せなかった。
「まさか⁉︎ カダル王国が魔物を手懐けたと?」
『いえ、その時はまだそこまではいっていなかったと思います』
「その時は?」
『最近魔物が街や村を襲っています、先日の野営地襲撃もです。ラーガ一族の件から100年が経ちカダル王国が魔物を操れる様になったのかもしれません』
「やはりか……あの国は怪しいと思っていた」
王はしばらく続いた沈黙を破るように話し始めた。
「最近あの国は急に兵士を集め始めていると情報が入っている。まるで戦争でも始めるかの様な……先日それを危惧してハーデルト王国に協力を求めたのだが断られてしまってな」
『カダル王国はもう戦争の準備が終わっているかもしれません、いつ起こしても不思議ではないかと』
「そうか、より一層警戒が必要だな……して聖女様は今は何をされているのですか?」
王はエレナの行動が気になっていた。
『私は今は亡きラーガ一族の力を復活させる旅をしています』
エレナはネックレスを外し虹色から白銀に変わった結晶石を見せた。
『これは元はラーガの長の娘さんの結晶石です。元は虹色をしています』
「そうか結晶石はラーガ一族の秘法と言われている魔物化する時の物だな、それを集めていると?」
『そうです今4つのうち2つを集めました。その一つがこの国の近くにある遺跡にあるはずなんですが聞いた話では中には何も無かったそうです。誰かが過去に入ってこの結晶石を持ち出したのかを調べに来たのです』
「それが調査して欲しい事の1つか……」
『はい、過去にそういった話があるのか、または虹色をしたマナの結晶石を見た事があるのかを知りたいのです』
「少し時間が掛かるかもしれないが調べてみよう」
『お願いします』
「もう一つは?」
『人探しをしていまして、アシュレイさんとメアリナさんという夫婦を探しています』
それを聞いた厳しそうな顔をした中年の男が発言した。
「それなら知っています、貴族の者ですな、そういえばボードル遺跡がある土地の領主だったはずです」
「ほう、では1つ目の事も聞けば何か分かるかもしれんな」
「ではその者を呼び出そう」
王達はひとつの願いが叶いそうだと安心していたがひとりの家臣が困った顔で答えた。
「それが……」
「どうした?」
「はいアシュレイ殿は家族でこの国に住んでいたのですが2年前に領地で暮らすと言って家を売り払っています。また、毎年1回はこの城に領主達は来るのですがアシュレイ殿は2年前から姿を現さず代理の者が来ておりまして……急な事でしたのでよく覚えています」
(何かおかしいな2年前といえばセリアをポーラトールの教会に預けて消えた時だ、ボードル遺跡の領主といい彼らを探すのが最優先なのかもしれないな)
エレナはセリアの話を思い出して今の話を聞くにセリアの両親は何か事件に巻き込まれていると確信した。
『あの、そのアシュレイさんの屋敷に行くことは出来ませんか?』
「分かった、案内と馬車を用意しよう」
エレナはアシュレイ達夫婦を探すのが虹色の結晶石に辿り着く一番の早道だと思い、手掛かりを探そうと屋敷に行くことにした。
会議が終わりエレナは書物庫に向かった。
書物庫に着いたエレナはまずこの世界の地図を探そうとしたが時間がかかりそうなので書物庫のカウンターにいる女性に持ってきてもらった。
地図を見るとこの世界は大きく4つの大陸になっていた。
エレナはここがルヴォス大陸ということが分かり地図では左下に位置していた。
(いずれ他の大陸にも行ってみたいな)
その後は他の大陸の情報が載っている本を見ていたが実際に行ってみないと、という結論になって本を戻した。
ただ右上の大陸は魔物が多く住んでいるらしく人は住んでいないと書かれていた。
(魔物の大陸なんてあるのか)
お昼になった時にアトスに王族との同席を言われたので連れて行って貰った。
豪華な食事が終わると雑談が始まった。
「聖女様はお料理がとてもお上手ですのよ、食べた事のない料理を知っておられていますの」
王女はそう王と王妃に自慢するように話していた。
「ほう聖女様の国の料理ですかな、実に興味深い、今度作ってくれんかな?」
「そうですわね最近はそういったものを食べていませんもんね」
王達がそう話していたのでエレナはその依頼を受ける事にした。
『そうですね、では今日の夜は私が作りましょう』
「そうですか! では城の厨房をお貸ししますのでいつでもお越し下さい」
王妃は嬉しそうな顔で手を叩くと入ってきた侍女にその事を話す。
食事が終わるとユギルがいる訓練所にエレナは向かった。
ユギルは暇潰しがわりにそこで実戦相手として兵士を鍛えていた。
エレナが向かうと大勢の兵士がそこら中で倒れてぜえぜえと息を切らしていた。
(ユギル……ちょっとやりすぎじゃ……)
まだやり足りないといった感じのユギルに今日の会議の内容を話した。
「なるほどな、何かあるかもしれんな……俺も行こう」




