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第25章 銀髪の王女

 エレナは朝起きて支度を済ませると街を出た。


 入り口の門を出るといつも通りユギルが腕を組んで待っていた。


「ほう、吹っ切れた顔をしているな」


 ユギルはエレナがまだ落ち込んでいると思っていたがエレナの顔は曇りひとつ無く晴れ晴れとしていた。


『サラさんと約束したからね』


「ん? どう言う事だ」


 エレナは昨日の夜にエレナの意識の中でサラと話した事を説明した。


『サラさんが言ってたよ落ち込んでる女の子にもっと優しくしろって』


「ふん! あいつめ……」


『あと頑張りなさいちゃんと見てるからねだって』


 ユギルはフッと笑みを浮かべて歩き始めた。



「次の場所なんだがここから東にある遺跡で前に行ってみたがもぬけの殻だった」


 しばらく歩いているとユギルが次の場所について話し始めた。


『もう誰か入ったって事?』


「そんなマナ使いがいるとは思えないが可能性がないわけでもないしな」


「遺跡の近くにリンドラ王国がある、そこで調査するか」


『まずはリンドラ王国ね』


(リンドラ王国……セリアがいつだったか話してたなポーラトールに来る前まで住んでたって、もしかしたら両親の手掛かりがあるかもしれない)


 エレナとユギルは情報を求めてリンドラ王国を目指して進んでいった。




 リンドラ王国へ向かう豪華な見た目をした馬車を挟むように大きな馬車が2台、合わせて3台の馬車がゆっくりと走っていた。


 馬車が走るコースは魔物がいない場所を通るように道が作られていた為安全な道というのが通例であった。


 その真ん中にある馬車には18歳になる王女が乗っていた。


 辺りは暗くなった頃、馬車は今日の目的地に辿り着いた。


 丁度ポーラトールとリンドラ王国の間には野営用の広場が設置されていた。


 兵士達はそこで野営の準備を始めた。


 王女が乗る馬車の扉を正装をした男が開ける。


「王女様明日には王国へ着きますのでもうお休み下さい」


「ありがとう、そうさせて貰うわ」


 王女は馬車を降りて王家用の大きなテントへ入った。


 テントの中には侍女が待機していた。


「王女様お着替えを」


 王女は寝衣に着替えてベッドへ入った。


「明日にはリンドラ王国か……」


 王女はハーデルト王国からの帰りだった。


 最近の魔物の動向やカダル王国が不審な動きを見せている事で協力を求める為リンドラ王国の使者として出向いたのだが問題ないの一点張りで結局諦めて帰ってきたのだった。


(あそこは軍事国家として相当な力を持っているからカダル王国が攻めるはずは無いと思っている……)


 先日のポーラトールへの魔物襲撃にてリンドラ国では相当な危機感を持っていた。


(もしも魔物の集団が国に攻めてきたらと思うとゾッとするわ)


 王女はいつの間にか寝息を立てていた。




 少し時間が経った頃王女の耳に兵士の声や大きな音がして目を覚ました。


(ん……外が騒がしいわね)


 その時王女の耳に僅かに聞き取れるくらいの声がした。


「魔物の襲撃だ!」


(何ですって! ここは魔物が寄り付かない場所なのに)


 王女はすぐにベッドから降りて身支度をする。


 そのタイミングで侍女が慌てて入って報告をした。


「王女様! 魔物がこの野営地に入ったとの事です! このテントの周りには護衛が集まっていますのでここで待機を……」


 ドォーン!!


「きゃあ‼︎」


 その時大きなテントが揺れる程近くで大きな音がすると侍女が座り込んで震えていた。


 王女は外に出るとそこには見た事がない程大きな魔物が暴れていた。


 10メートルはある巨人だった、目は黒く肌は青く手には棍棒を持ち振り回している。


「王女様を守れ!」


「こんな魔物見たことないぞ‼︎」


「強い!上級クラスか‼︎」


 次々と兵士が魔物に棍棒を振り回され吹っ飛ばされて行く。


(もうダメ……)


 王女は逃げきれないと悟り、声も出ずに座り込んでしまった。


 ズガーン!!!


 眩い光が魔物の上から落ちる。


『大丈夫ですか?』


 王女は優しそうな声の主を見た。


 まるで天使が空から降りて来たかのような神々しい光景が目の前に広がっていた。


 美しい……ただそれだけしか思わず王女はしばらく放心状態だった。





 エレナとユギルはリンドラ王国を目指して進んでいたがそろそろ夜になるので野宿の準備をしていた。


「リンドラ王国には明日には着くだろう」


『どんな国なの?』


「そうだな国の近くの鉱山が豊富でかなり潤っているな。国王もしっかりした人物で国民からの信頼も厚いと聞く」


『へぇーいい国なんだね』


「マナ使いの専門学校があるからマナ使いが多くいるそうだ、だから国民も安心して暮らせているという訳だ」


『なるほどねぇ学校か』


 リンドラ王国の話しをしている時、何処かで大きな音と地鳴りが起きた。


『なんだ!?』


「向こうで魔物が暴れているな」


 ユギルが向く方向には火か爆発による光が見える。


『誰か戦ってるんだ、行こう!』


 エレナはそう言ってロッドを持つと光の方へ走って行った。


「ぐああ!」


「おい! 大丈夫か! くっそう!!


 兵士達は魔物の襲撃に遭い苦戦を強いられていた。


 また一人脱落していく、護衛の部隊も魔物の数が多く消耗していた。


 バキバキ!


 ドォーン!


 兵士が戦っている場所で木が折れて倒れる音がした。


 その音を立てたのは巨人だった、手に折れた木を持ち、歩く度に地響きが起こった。


「な、なんだあいつは!」


「こんなの無理だ! 勝てっこない‼︎」


 見たことのない魔物に驚愕の表情や絶望の表情を浮かべる兵士達は死を覚悟した。


 巨人は兵士を無視して王家のテントの方へ向かって行った。


「マズい! あそこには王女様が!」


 しかし他の魔物に手一杯で追いかける事が出来なかった。


「ギャー!!」


 空を飛んでいた魔物が落ちて行く。


『大丈夫ですか!』


 兵士達は突然現れた綺麗な少女に目を奪われた。


「向こうへ魔物が向かったんだ! 止めてくれ‼︎」


『分かりました! ユギルはここの魔物を宜しくね!』


「任せておけ」


 エレナは物凄い速さで兵士が指差した方へ走って行った。


 そしてユギルはその場にいた魔物を次々と蹴散らし兵士を助けていった。


 エレナは兵士が言った場所に行くと大きな巨人が周りの兵士を薙ぎ倒していたのが見えその先に女性が座り込んでいるのを確認した。


 エレナは空にロッドを向けるとマナを集中させ特大のいかずちを放った。






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