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第24章 夢の中で

 エレナは遺跡から出ると空が暗くなり始めているのに気付きクォードの街へ向かって木々によって更に暗くなっている森の中を歩いていった。


 すると急にユギルは立ち止まりエレナに小声で話しかけた。


「おい、戦闘準備だ」


『え?』


(魔物か?)


 急いでエレナはマナを纏うといきなり森の奥から数本の矢がユギルの方へ飛んでいったと同時に何者かがエレナを襲った。


 キン!キン!


 弓をユギルが剣でサッと斬り払う。


 ガギン!!


 突っ込んできた相手の攻撃をエレナが避けると剣が地面に突き刺さった。


「ちっ外したか」


 黒いマントを着けた男は刺さった剣を抜くとエレナ達と距離を取った。


『誰だ!』


 声に合わせたかの様に森の中からもう2人が出て来ると片方の男が舌打ちして言った。


「ちっ流石に上手くはいかないか」


「相方も相当やるようね」


 黒いマントを付けた2人の男と1人の女。


 それを見てユギルがエレナに非情な現実を告げる。


「どうやらお前はカダル王国の敵と見なされたみたいだぞ」


『え? どう言う事?』


「あれは恐らくカダル王国からの暗殺者だ。ポーラトールでの活躍が目障りだったらしいな」


(く! そうやってラーガの人達みたいに……)


 エレナはこの世界に来て初めて怒りを見せた、罪もない人を傷つける人は許せなかった。


 逆恨み、金目当て、人生どうでもよくなった……前の世界でもある出来事だった、エレナはニュースで伝えられるこれらの事件を聞くたびに憤りを感じていた。


(全て他人を思いやれない自分勝手な理由で他人の幸せを奪うなんて……許さない)


 暗殺者達は武器を構えた、ガタイが大きいエレナを襲った男が他の2人の方をみる。


「おい、俺が女を殺るからその間に男を相手しろ」


「了解」


「早く殺ってよね」


「ああ、5分で殺ってやる」


 ガタイのいい男はエレナを見ながら気色の悪い笑みを浮かべる。


(コイツらは一体何人の人を殺してきたのだろうか?)


 エレナは前にいる3人を見てそう思った。


「行くぞ!」


 暗殺者は2手に分かれてエレナ達を襲ってきた。


「くたばれ!!」


 ガタイのいい男は剣を振りかぶりエレナを斬りつけて来るがエレナは攻撃を躱すと男にロッドを向けた。


「ギャァァー!!」


 ガタイのいい男は叫び声を上げてエレナの放つ激しい炎に身を焼かれ絶命した。


 一瞬で灰になり黒いススが風に乗って散っていった。


「「ヒィィー!」」


 それを見た他の2人の顔が恐怖に歪む。


 ザシュ!!ザシュ!!


 恐怖で動けなくなった2人をユギルは剣で切り倒した。


 エレナは俯いてその場に立ち尽くしていた。


『今まで人を殺す何て出来るとも、する事も無いと思ってた……でもそれができてしまった……どこかおかしいのかな俺……』


「……俺も冒険者の頃は盗賊の討伐やら護衛の中で何人も殺してきた、お前の国ではどうかは分からないがここではそれが普通だ、弱い者を守るにはやるしかないんだよ」


 ユギルはそう言うと先を歩いて行ってしまった。


 エレナは重い足取りでユギルの後をついて行った。


 クォードの街へ戻ってきた時には空は真っ暗になっていた。


「明日次に向かうぞ」


 エレナが頷くとユギルは消えていった。


 エレナは宿屋へ行きそのままベッドへ体を放った。


『疲れたな……』


 そう呟いたエレナはいつの間にか眠りに落ちていた。




(俺は夢を見ているのだろうか?)


 エレナは周りが何もない世界にいた、ボヤけているが意識はハッキリしていた。


『ここはどこだろ?』


「ここはあなたの意識の中よ」


 エレナが声がした方を見ると女性が立っていた。


 エレナはその顔を見てセリアに似た綺麗な人という印象だった。


「あなたと話したかったの」


『もしかしてサラさん?』


「ええそうよ」


 サラは辛い顔をしてエレナに謝った。


「ごめんなさい」


『え?』


「あなたを巻き込んでしまった。あなたは優しい人、皆からも慕われて……ただ平和に暮らしたいはずなのに……それなのに私は戦いに駆り立てて、挙句の果てに命まで狙われる羽目になってしまった……」


 エレナは黙って話を聞いていた。


「でもお願い! あなたしかいないの……力を貸して、この大陸の人々の為に私達と戦って」


 エレナはこの世界に何で来たんだろうと思う事があった、ただ女神が気まぐれで転移させたとは思えなく何かやって欲しいことがあるんじゃないかと思い始めていた。


(多分俺はこの為に来たんじゃないかって最近思うんだ、弱い人達を守りたい……この世界の孤児を増やさない為にも)


 エレナは心の中で決断すると笑顔で答えた。


『もちろんです』


 サラは泣きながらかすんだ声でエレナにお礼を言った。


「ありがとう……」


 少しして落ち着いたサラはエレナに母親を解放した事にも感謝を伝えた。

 

「あ、そうだわ! お母さんを解放してくれてありがとう」


『お母さんと会えたんですね』


「うん、お母さんは病に倒れたの……私は必死に治そうとしたけどダメだった。それから私は一生懸命勉強したわマナでの治療を」



 エレナはサラに教えて欲しい事があった。


『サラさんにマナの事を教えて欲しいんだ、もっと強くなりたい……』


 エレナは自分で訓練はしていたが限界があり、いき詰まっていた。


「分かったわ、力になる」


 それからエレナはサラにマナについて教わった。


 サラは治癒系の術や他人を強化する術が得意だった為ほぼ攻撃しか出来なかったエレナにはありがたかった。


「これくらいにしましょ」


 訓練の仕方などマナの知識を伝えられたエレナはサラに感謝した。


『ありがとうございました』


「じゃあまたね、ユギルに言っときなさい落ち込んでる女の子に対して冷たすぎよもっと優しくしなさいって」


『はは、分かりました』


「あと頑張りなさい、私はちゃんと見てるからねって」




 エレナはパチっと目を開けると体を起こした。


『ベッドの上でそのまま寝ていたのか……』


 窓の見ると薄らと光が漏れていた。


 エレナはサラと話した事をはっきりと覚えていた。




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