表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/175

第20章 告白

「キュルーキュー」と鳥が鳴いている。


 その鳴き声に起こされたのかエレナは目を覚まして伸びをした。


『ん〜、今日から旅の始まりか……』


 ここ数日エレナは食材や野宿に必要な物を買ったりメアとシェリーに料理を教えていたりリアスと孤児院の打ち合わせをして過ごしていた。


(旅に出る前に皆に挨拶していくか……)


 ひとりでいつもより寂しい気分で朝食を食べると教会に向かった。


 ステラ達家族は今教会に住んで子供達の世話をしていた。


 教会の前でステラは子供達と仲良く遊んでいるいつもの光景にエレナは楽しさと寂しさを混ぜた複雑な気持ちで見ていた。


 子供達に挨拶をしたエレナは中に入りセリアとランス達に挨拶をした。


『じゃあ行ってくるね』


「お気をつけて」


(ランスさん少し寂しそうな表情を浮かべてる……他の皆んなも)


 メアが泣いているので頭を撫でると抱きついてきた。


『もう何年も会えなくなるわけじゃないんだから、大袈裟だよ』


「でも、いつも一緒にいてくれて優しいお姉ちゃんが出来たみたいで。旅は危険だから何かあったらと思うと……」


『護衛もいるし、僕もマナ使いだから大丈夫だよ』


「うん、あの、お姉ちゃんて呼んでいいですか」


『もちろん! それとお姉ちゃんに敬語は変だからね?』


「ありがとう……お姉ちゃん」


 メアは恥ずかしそうにそう言って笑った。


 その光景に皆微笑んで見ていた、セリアを除いて……


(……何かセリアの様子が変だな)


『セリアちょっといいかな』


 エレナは黙って俯いているセリアをあの場所へ連れ出した。





 私はリンドラ王国にいた。


 両親によく教会に連れられお祈りをしていたのを覚えている。


 14歳になった頃だ両親とこのポーラトールに来たのは。


 そして私を教会に預けたまま消えてしまい私はショックで寝込んで泣き続けていた。


 そんな私は神父さんから説得されシスターを目指しながら子供達の世話をして暮らし始めた。


 何故両親は私を置いて行ってしまったのか? いつもそれを考えては探しに行こうとも思っていたが孤児の子供達の面倒が忙しく行けなかった……違う、怖くて行けなかった。


 もしもリンドラ王国の家に違う人が住んでいたら立ち直れなくなりそうで……


 子供達の笑顔に癒されてはいるが両親の事を考えると寂しいというのは変わらなかった。


 そんな時だったエレナに出会ったのは。


 最初に見た時はその美しさに目を奪われた。


 この世の中にこんな人がいるんだと、私もこれまで王国などで美しいとされる人を見てきたがエレナはその誰よりも美しく輝いて見えた。


 そこからエレナは教会に援助をしてくれるようになった。


 年が近い私達はよく話すようになりエレナに会うのが楽しみになっていた。


 不思議な気持ちになる時がある。


 口調のせいだろうか? エレナが男の子の様な雰囲気というかそう見える時がある。


 エレナが男の子だったら……何度そう思ったか。


 そう言う気持ちがそう見えさせていたのかもしれない。


 私はいつの間にか寂しいと思わなくなっていた。


 私はいつからかエレナに友達以上の感情を抱いていた。


 確実に彼女に私は惹かれていた、好きになっていた。


 でも同じ女性を愛してしまった事に私は悩んだ、好きだと言ったらエレナは困るだろうか? 一歩引かれてしまうだろうか。


 結局蓋をする事にした、この感情はしまっておこうと。


 しかし魔物から私を救ってくれた時その蓋は完全に壊れて閉まらなくなってしまった。


 溢れそうなこの想いをもう抑えられない。


 そして今日エレナは出て行ってしまう、危険な旅に……


『セリアちょっといいかな』


 エレナは心配そうな顔で私をあの場所に連れて行ってくれた。





 セリアの様子が変だったのでエレナはいつもお喋りする見晴らしのいい場所に連れて行った。


 そこでエレナが木を座りやすいように切っただけの椅子がある場所に移動する。


 エレナは椅子を見て少し微笑む。


 その椅子を作った時の思い出も、椅子に座りながらこれまで話してきたたわいのない話、楽しかった時間を思い出していた。


 エレナはセリアは俯いて何かを言おうとしていたのでそれまで黙っておく事にした。


 しばらくしてセリアは小さな声で話し始めた。


「エレナ私ね14歳の時ここにお父さんとお母さんと来たんだ。それで私を教会に預けたまま戻らなかった。最初は捨てられたって思ってずっと泣いてたの」


『セリアの両親ってどんな人だったの?』


「優しかった、いつも私を見つめて笑っていたの」


 セリアは当時を思い出し懐かしむ様に微笑んだ。


『じゃあ何か事情があったんだよ、だから両親を信じてあげよ。そうだ僕が探してあげるよセリアの両親をここに連れてくる!』


 そう言った時セリアがエレナを抱きしめた。


「ありがとういつもエレナは優しくて私を包み込んでくれる……そんなあなたが好き、愛してるの」


 そう言われた時エレナの中がカッと熱くなった。


 抱きしめられているセリアの熱が伝わって来る。


 エレナは驚いていた。


 セリアが好きだったが今の関係を壊したくなくてその想いは隠していた。


 でもセリアが勇気を振り絞って想いを打ち明けてくれた事でエレナも素直な気持ちをセリアに打ち明けた。


「ごめんなさい、こんな事言って驚いたでしょ……」


『そんな事ないよ僕も好きだよセリア……ごめんね僕もずっと好きだったけど怖くて言えなかったんだ……』


「エレナ……」


 ふたりの顔は自然に近づきキスをした。



 しばらく寄り添う様に座るふたり、エレナはセリアの手を握る。


『もう大丈夫?』


「うん、ありがとうエレナ」


『セリアの両親の名前は?』


「お父さんがアシュレイでお母さんがメアリナよ」


『分かったよ各地に行ったら探してみるよ』


「そうだわ!」


 セリアはそう言うと自分の付けていたペンダントを外しエレナに掛ける。


「これはねここにくる前にお父さんに貰ったの」


「これを私だと思って持って行って」


『ありがとう借りるね……帰ったら指輪をプレゼントするよ』


「うん、待ってるわ、いつまでも」


 セリアは笑顔をこちらに向ける。


 それは今までで一番素敵な笑顔だった。


 街を出ると待っていたかのようにユギルが立っていた。


「さあて行くか」


『うん、行こう』





 天界からこの世界を観ている男がいた。


 シナリオ通りに進んでるね……


 このままこの世界が人が滅び魔物だけになるのはちょっとね……


 まったく2000年前のあれが無ければこんな事にならなかったのに




 ルヴォス大陸地図

挿絵(By みてみん)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ