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異世界代理執行者-The Agent Executer-  作者: フィーエル
異世界を楽しもう
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第8話 敏捷値と魔物

(とりあえずレベル上げをしてみよう。もしかしたら簡単にLvが上がるかもしれないし…)


 そう考え、僕は森の方へと向かった。


 レナードの記憶を探ると魔物の多くは人里から離れた森などに生息しているようだ。

 更に魔物は多くのエーテルを体に蓄えているということもわかった。

 そして魔物を倒すとその魔物が保有しているエーテルを得ることができ、それによって自分のエーテル保有量が増え、レベルが上がるのだ。

 レナードもこうしてレベルが上がったらしい。


 僕は早速魔物を探す。

 森へと入って道無き道を進むこと十数分。ここら一体でいちばん弱い魔物とされているグリーンラビットを見つけた。


 僕は覚悟を決めてグリーンラビットに向けて手をかざす。

(…[閃光波])

 光の粒子がグリーンラビットを背後から貫く。


 グリーンラビットは力なくその場に倒れた。

 グリーンラビットが保有していたエーテルが体に流れ込む。微量だ。


 全くレベルが上がる気配はなかった。

 ステータスを確認しても変化はない。

(うーん…あとどれ位エーテルを得たらレベルが上がるのかもわからないなぁ)


 ガサガサッ


 考え事をしていたら背後で葉が擦れる音がした。

 僕は振り返り何がいるかを確認する。

 茂みから現れたのはコボルドだった。


 コボルドは僕の姿を見るといきなり飛び掛ってりぶつかってきた。

 しかし僕は肉体を持たないからすり抜けてしまう。

 コボルドは不思議に思いながらも果敢に攻め続ける。

 その度に僕のお腹をあたりをすり抜けていく。


 1つ面白いことを思いついて僕は近くの木に近づきコボルドの突進をまつ。

 するとまたコボルドは僕に突進する。

 コボルドは僕をすり抜け背後の木に思いきり頭をぶつけて気絶した。


([憑依]!)

 僕はコボルドに憑依を試みる。

 簡単に憑依に成功した。

 視点がコボルドから見た景色に変化する。


 憑依した僕は試しに体を動かそうと試みる。

 するとのそりと体が持ち上がった。

 試しに森の中を走ってみる。

 風が体の周りを吹き抜けていく。

(おー!)

 すごく速い。風をきって走るのがこんなに気持ちいいとは…


 ステータスを調べてみよう。


 ==========


 種族:コボルド(Lv2)

 生命力:470/480

 魔力:5 SP:100

 攻撃力:75 防御力:30

 敏捷値:120 魔法力:0


 ==========


 敏捷値120!速いわけだ。時速30kmぐらいか。

 人が走るおよそ2倍の速度。いいなぁ、僕もこれぐらい早く走れたらいいのに…

 かなり楽しかったのでしばらくレベル上げを忘れて走り回っていた。


(ん?なんかスピードが落ちてきたような…)

 速いは速いのだが8割の力で走っているようなそんな感じがしたのだ。

 更に力を緩めずに走っていたのだが急速にスピードが落ちてついには止まってしまった。


(ん?なんでだ?)

 不思議に思い、体に意識を向けてみる。


 僕は体を動かしているだけなので気づかなかったが最初は整っていた息が荒い息遣いになっていた。

 なるほど体力の限界で動けなくなったとそういうことか。

 敏捷値があっても体力がないと意味がないのか…

 すると敏捷値は個人が出せる最高速度、ということか。

 そりゃそうだ。いくらレナードが騎士団副隊長だとしても時速35kmで走り続けるなんて化け物じみてる。たぶん最高速度なんて出したら肉体が悲鳴を上げて次の日なんかは動けなくなるのではないだろうか。


 早く移動する手段の一つとして早い動物などに憑依して移動するという考えがあったがそれは難しそうだと考え直した。それに憑依された生き物にとっては勝手に隣町に行かされるなんて迷惑極まりないだろうしね。


 速く走るにしても体力は必要と…

 待てよ?僕は全速力で50分も動き続けたのに全く疲れなかったぞ?

 スピードが遅かったからか?それとも肉体を持たない種族だから?

 もし肉体が原因だとすると肉体という枷がない僕なら全速力を出し続けても疲れないということなんじゃないか?

 つまり敏捷値であらわされる最高速度が常に出し続けられる。

 レナードはLv20で敏捷値が150だった。もし僕がLv20になっても敏捷値は96だ。時速で考えると24km/h。

 これはバランスが取れているということなのかもしれないな。

「体力の制限があるがスピードの速い種族」か「体力の制限がないがあまり速いスピードが出せない種族」かということだ。



 ともかく、うさぎ一匹殺したところでエーテルが増えた実感もなかったし恐らくレベルはそう簡単にホイホイ上がるものじゃないのだろう。


 強い魔物を倒したらエーテルもたくさん得られるだろうが生憎ここらには強い魔物がいないのだ。


 モンスターは7つの系統に分けられている。

 1つ目がここらの近辺にもいる動物系。

 系統の中で最も弱いとされている。原因はスキルや魔法を使えず知能がそこまで発達していないため。その代わり肉体が発達している。ドラゴンのような特殊個体も存在するが別枠として考えられている。

 2つ目が亜人系。

 いわゆるゴブリンやオークなど二足歩行で思考をし集団行動をしている。思考し成長するため上位個体が生まれやすい。中には魔法を使う個体もいる。

 3つ目は昆虫系。

 虫の特徴を持ち非常に好戦的。知能は高くないがその代わり能力や敏捷値が高い個体が多い。

 4つ目は植物系。

 あまり姿を現さない。森林の1部分と同化したりして隠れ潜む。交戦になると攻撃の手数が多いので対応するのが困難となる。火系統の魔法やスキルに弱い。

 5つ目が無生物系。

 物質が魔物になったような生物。無生物から更に複数の種類に分けられ分別されている。スライムやゴーレムが代表格。

 6つ目はアンデッド系。

 死者の肉体に怨念が取り憑いて活動している生命体。死体を焼却せずに放置すると発生する。痛みを感じないため攻撃しても行動を止めない。小さなダメージでは意味が無いため火力が必要。

 7つ目は非物質系。

 肉体を持たない精神生命体。物理攻撃が効かない。悪魔もこの部類に含まれる。受肉している悪魔でも肉体を破壊しただけでは殺せない。活動制限があるため発生しても消滅することが多い。滅多に遭遇しない。一応僕もこの部類。


 この森には動物系の魔物は多くいるが他系統の魔物はないようだ。 

 動物系の魔物は他の魔物と比べて比較的エーテル保有量も少なく弱いものが多い。

 レナードの記憶によるとこの土地を栄える町にするために辺りの森に生息する強力な魔物を一匹残らず駆逐したとある。どうやらこの記憶は図書館で呼んだ歴史書の内容のようだが。それにかなり昔の話らしかった。


 というわけでレベル上げではなく僕の思いついた敏捷値を上げる方法を試そうと思った。

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