表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/50

22 約束


博物館で絵巻物展が開催されていて、地獄絵図が飾られてたんだ。

餓鬼とかさ、炎とかさ、漫画みたいに描かれてるんだけど。

いろんな地獄があるもんだなあって、マジコワッって思いながら見てたんだ。

おどろおどろしいっていうか、

日本人だからこの墨とかで描かれたのに恐怖を感じるのかなあって、そんなこと考えてた。外国人からしてみればオー!ファンタースティック!かもねってさ。


いやでもほんと、マジこわいっすよ。




あれ描いた人さ、寝られたのかな。

なんか呪われたような気にならんかったんかな。




僕はそんな昔のことを思い出しながら座って空を見上げた。




こんなスカッとしたお天気の日はぼんやり過ごしてても仕方ない。

でもさ、連日の猛暑で、ここらへん人通りが少ないんだよね。

暑さ寒さに強い僕はこの程度どうってことないんだけど、普通の人だとやっぱきついと思うよ。


あ、痛


体をひねるとまだ傷が痛む。血が滲んできてるや。

包帯を取り替えても取り替えても止まることがない出血。

これでも大分と治まってきたんだよ。うん、相当ひどかったからね、血。どばどばーというよりはプシューって感じだったもん。

すんげー痛かったしね。


あの頃、僕は中学生だったし、ひどく荒れてたってこともないけど

それなりに悪いことしてたし仕方ないんだ。蚊を殺したりさ、蟻つぶしたりさ。

小さいころだれでもやったようなことひと通りやったからね、これは罰さ。

この程度で済んで御の字だ。


ゆっくり治していけばいいさ。


あーあ。なんか困ってる人いないかな。暑くて困ってる人はいっぱいいるけど、そういうのでなく。

人助けね、人助け。助けてほしい人はいませんかぁ。

いいことすることで体中の傷を治していくんだって。それしかないってあの赤い人と青い人が言ってたし。

今までしてきたことと差し引くことで、傷は治まっていくって。


地獄でつけられた傷はそうしないと治らない。


人はだれでも地獄へ行く。ほぼ全員。僕担当の獄卒は、地獄行を免れたやつなんて見たこと無いって言ってた。

そして罰を受ける。大なり小なり。

大抵は体中に傷を負う。それを快復させるにはいいことをしないと。


理にかなってるよね。

中学生で死ななきゃいけなかったって理不尽さはなんだって話だけど。。


僕だっていろいろやりたかったさ。

彼女も作りたかったしさ。もう少しだったのになあ。


でもいいことたくさんしたら、傷も治るし、いいことあるぜって赤い人が言ってたし。

素直に信じることにした。

……素直さが(赤い人はただのバカだって言うけど)僕の死の原因だったわけだけど、死んでしまったらこれ以上死ぬことはないだろうし。


素直でお人好しなとこしか長所ないんだもの、僕はこのままでいこうと思ってる。



さあ、困ってる人を探しに行こう。

きっと僕は役に立つよ。

だから困ってたら待っててね。何かを頑張りながら待っててね。

僕が行くから。必ず行くから。信じて待ってて。


いい? 約束だよ。約束。


お題は「地獄の負傷」でした。明日も素敵なお話を投稿するよ。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ