あとがき
これにて完結でございます。
ファンタジーに何よりもリアルな話である“税金”を絡めてストーリーを紡いでみましたが、いかがだったでしょうか・
自分は農家が本職ですので、こういう税金やら経費やらの話は身近なんですよね。
読んでいる方には分かるであろう妙な生々しさやリアリティ。
それもそのはず、税金にまつわる話は“自分の体験”や“過去に起こった事件”を元にして書いたからです。
それをファンタジー世界でも無理なく反映させれるように少しスパイスを加えて、キャラの人間模様やあちらの世界観、社会制度に合わせてストーリーを肉付けして言った感じですね。
なのでファンタジーでありながら、妙なリアリティのある作品に仕上がりました。
だいたいの方は“雇用人”として、会社で働き、お給金を貰って生計を立てているかと思いますが、だから“税金”と言ってもあまりピンとこない方が多いかもしれません。
源泉徴収が制度として定着し、給料から引かれてますからね。
この源泉徴収方式は17世紀のイギリスで誕生し、国家規模で採用したのはドイツが最初です。
たまに「ナチスドイツが源泉徴収方式を始めた!」 なんて方もいますが、これは間違い。
ナチス政権発足の10年前、ワイマール共和国時代にすでに採用された方式です。
今じゃ当たり前にどこ国でも行われているやり方ですが、本当に画期的なやり方だったんですよね。
農家(自営業)は毎日収入、支出を計算し、税務署に年一で確定申告を出さなきゃならんので、これがまた面倒なんですよね。
特に消費税の計算とか!
だから、本作では“消費税”のストーリーはバッサリとカットしました。
計算方式がマジで面倒くさいんですわ。
あと、作中で使っていなかった税としては、たばこ税、酒税、自動車税(馬車?)とかも色々とありましたが、あんまりやり過ぎると冗長になり過ぎるかなと思って、カットしました。
個人的には『償却』について書けたのが良かったと思っています。
事業者以外には馴染みがない事ですが、だからこそ『減価償却』を用いて、伝説の武器にも税金をかけると言うファンタジー要素をぶち込む事が出来ました。
いやほんと、税の話は奥が深いし、広げる事はいくらでもできるんですが、カクヨムコンの最中に完結させたかったんで、このくらいのボリュームにしました。
さて、次にキャラの解説ですが、金に関わる悲喜劇を織り交ぜたストーリーにして、それに対しての役目を与えていった感じになります。
例えば、
デビィド → 後処理に失敗した成金
ティエラ → 情にほだされて焼石を拾う金持ち
モロコス → 全てを失って自棄を起こした無敵の人
スオーラ → 信念が一切ぶれないある種の狂信者
ジャン → ぼくのかんがえたさいきょうのおうさま
ペコニア → 税金と言う概念そのものの擬人化キャラ
リボン → マスコット♪
デビィドは成り上がりからの転落を描くためのキャラですね。
英雄と言えども、税金の取り扱い一つで坂から転げ落ちるという、本作の最重要な部分を描くために用意したキャラ。
実力は本物でも、いい加減でだらしない性格が災いして、知識の無さからペコニアに散々にやり込められてしまう。
『国民の義務』に圧し潰されそうになりますが、最後は『勇者の責務』が勝り、再逆転という流れ。
でも、ゲスい性格はそのままで、今度はそれを御貴族様に向けてガンガン徴税していく税金の魅力的な部分にある意味最も取り込まれたキャラでしょうか。
デビィドはデキる時と落ちてる時の落差が凄いんですよね。
大友宗麟とか、カイジとかみたいに(笑)
ティエラはヒロインであると同時に、“税”の話を進める際の便利ツールとしての役目を担ってもらいました。
ティエラ以外の勇者パーティーは金勘定に疎く、税金に関する事は無知ですが、ティエラだけは逆に博識にすることで、“対話方式”によるストーリー展開を用意する事が出来ました。
誰かが税に関する無知や誤解でペコニアにやり込められ、それの状況を説明したり、逆に跳ね返したりするのがティエラの役目。
こうする事により、読者の皆様にも分かり易く“税”や“節税の方法”を知っていただけるようになる、いわゆる“解説役”ですね。
なにより、勇者への信頼がマイナスよりプラスが勝っているので、最後にはちゃんと引っ付いてます。
まあ、風俗通いの件は一生言われ続けますけど(笑)。
モロコスは無知と純真ゆえに、無敵の人となって自棄を起こし、騒動の発起点としての役目を負ってもらいました。
作中でも致命的なミスや誘導を何度もやって、パーティーを危機に陥れています。
自棄を起こしている事に加えて、仮面夫婦とは言え、妻となっているティエラの“悪行”が気に入らず、余計に暗い影を落としているんですよね。
(ティエラを含めた)金持ちは税金を払わず、ズルばかりしている。
ただ、これは金勘定に疎い無知から来るもの。
節税(法的にセーフ)と脱税(脱法行為)の違いがあやふやで、すべてがズルい行いとしか認識できていなかった現実との乖離に耐えきれず、ペコニアに付け込まれて、危機的状況を招いてしまいます。
結局、法律とは『弱者の味方』ではなく、『理解して利用できる者の味方』でしかないのですから。
『順法闘争』のペコニアとの相性は最悪です。
被害者であり加害者でもあるのがモロコス。
ただ、ティエラに思うところはあっても、長年旅をしていた仲間意識もまた強く、途中で『自己犠牲的発想』でゲームを終わらせようともしましたけどね。
自棄を起こそうとも、すべてを破壊する気にはなり切れなかった無敵の人。
実際、作品の初期案では、モロコスを「復活した魔王の苗床」にしようかとも考えていましたが、やはり最後は「聖女の一押し」で正道に立ち直ってもらおうと、作中の形に落ち付かせました。
そして、同じく全てを失ったスオーラですが、ただ一つ、『子供達の未来のために』という信念だけは持ち続けていました。
だからこそ、常に前向き。
新しい商売にも熱心でしたしね。
しかも、魔王とのやり取りの際に「力無き者は人を救う事ができない」と正論顔面パンチを食らって、さらに成長を遂げた。
還俗して王妃になったのも、力を求め、同時に正しく使おうという信念の成せる業であり、だからこそジャンもスオーラに求婚したのです。
男女のそれではなく、完璧な仕事上のパートナーとして。
そのジャンは『ガチな名君』として描きました。
マキァベリ曰く、「“君主の理想像”とは、愛されつつ畏れられる存在」と言っています。
いけ好かない合理主義者、冷徹な策士、非情の人、こうした面を全面的に出しつつ、実は仕事に逃げた愛妻家(死別)であり、国家国民を誰よりも案じる王様。
罰と言ってモロコスを縛り付ける一方で、「息子を任せる」とモロコスとスオーラに“疑似夫婦”の場を用意してあげる情も持ち合わせています。
まあ、情に厚いと思わせつつ、人材活用の最適解を出しただけとも言えますが。
税金爆上げで貴族や金持ちから巻き上げ、インフラ整備と公共福祉を充実させ、しかも絞られた連中のヘイトを勇者に向けさせることにも成功。
勇者も勇者で『勇者行為』でかなり稼いでいるので、見事な共生関係を築けたのも大きい。
自分のやりたい事を完璧に成し遂げたのは、ジャンとスオーラの二人って感じ。
ペコニアは“税金”を擬人化させたキャラであり、どこまでも追いかけてくる、ルールを護れば親切、違反者(滞納者)には容赦なし。
しかし、“順法”から外れた途端に、『国民の義務』より重い『勇者の責務』に敗れてしまう。
けどやっぱり、“徴税官”が天職であったために、ずっと居座り、次なる勇者の面倒を見るかいがいしさもある。
税金とは、まさに「正しく付き合えば怖くもないし、むしろ恩恵もある」という自分の考えをペコニアとして表現した感じです。
リボンちゃんは“顔文字”を多用する事で、ファンシーなマスコットとしての地位を確立させました。
途中の真面目モードの時は、ペコニアのレクチャーをガッツリ受けたが故の魔王っぽさを出して勇者パーティーを悪事に引き込む。
まさに、天使のような悪魔の笑顔。
また、本作の最重要アイテムである『個人証明札』をキーアイテムたらしめるための投影魔人の暗躍、そして、カードを用いての逆転劇を担ってもらいました。
ストーリーも『実際の事件や自身の経験』を元にし、『現実世界にもある組織や道具』を用いてわかりやすくしてみるのも、ある程度成功したかなと自負。
“転職の神殿”で笑っている人もチラホラいましたね。
ファンタジーでありながら、“税金”というツールを用いて、妙なリアリティのある作品が描けたかなと思っています。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後とも創作活動は続けてい参りますので、よろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきまして、これに勝る幸せはございません!
たくさんの☆や♡、コメントにレビューも励みとなりました!
感謝……! 圧倒的感謝!
では次の作品でお会いしましょう!
あと、白ねぎも食べてね♪(ぉぃ
【問.俺は魔王を倒して世界を救った勇者なんだが、それでも税金って払わないとダメなの?完】




