アクトル魔法学園
人類の初勝利から五年後。
人類はいまだ復興の真っ最中だった。
だが絶望などしていない。彼らの目の中には溢れんばかりの希望が詰まっていた。
その要因は、三年前にユニゾンによって各国に魔法学園が建てられたこと。
魔法を得た人によって各国に国防の組織、魔導隊が作られことも大きいだろう。
ここはアクトルと呼ばれる国。
ここにもアクトル魔法学園と呼ばれる学校があった。
魔法学園には魔法についての勉強と実技がある。
そのほかは一般の高校と特に変わりはないとされる。
入学に必要なのはただ一つ、最低減の魔法にたいする才能・適性があること。
今年も夢と希望にあふれた新入生が入学してくる。
自分も魔法を使い、国を守る魔導隊に入りたいと。
はたまた、ユニゾンに入りたい……と。
「皆さん入学おめでとう!」
「私がこの学校の理事長兼魔導隊の指揮官をしている林康次だ!」
「皆さんがこの学園でしっかり学び、将来この国を支える柱となることを期待する!」
始業式が終わり、割り振られたクラスの教室に新入生が入っていく。
「皆さん、こんにちは!」
「この学園ではAからCと1から5の十五段階でクラス分けをしています」
「A1は新入生の中で最も才能・適性がありC5は最も才能と適性がないクラスとなっています」
「そしてこのクラスはC5となっていています」
「私がこのクラスの担任になった 安藤 椎名 です。卒業までよろしくお願いします」
一人の生徒が手をあげて質問をする。
「先生、C5のクラスは魔導隊に入れますか?」
「魔導隊には入れると思いますよ」
「その中でも一級魔導戦士や二級魔導戦士になるのは難しいと思います」
生徒は悲しそう言う。
「そうですか。回答ありがとうございます」
「そんなに落ち込まなくてもいいですよ」
「昨年はC5の中から一人だけですが、一級魔導戦士になっています」
先生は自信満々に言い放つ。
「努力で才能は作れます。しかっり努力すれば必ず報われます」
「しっかり頑張っていきましょう!」
「「「お願いします!先生」」」
そうして、また新たな子供たちが魔法の鍛錬に励んでいく。
C5のクラス、その中に五年前、最も大きな絶望を味わったものの姿があった。
先生の話が終わり、生徒は席が近い人などに自己紹介を始める。
眼鏡をかけたまじめそうな生徒が前の席の生徒に話かける。
「僕の名前は 柊 雅章 よろしくね!」
「僕はさっきも質問で言ったけど魔導隊に入りたくてこの学校に入ったんだ」
そう言われた前の席の茶髪の生徒が話しを返す。
「そうか! 俺の名前は 霧先 翔 っていうんだ。よろしくな」
「俺はユニゾンに入りたくてこの学校に来たんだ」
「どうやって入るかはわからねえが勧誘されるって噂を聞いたからな」
「この学校で強い力を手に入れれば声がかかるかもってわけだ」
「そうなんだ!」
「ユニゾンのメンバーってリーダーの名前しか分からないし殆ど謎に包まれてるよね」
「わかるのは特徴的な色の耳飾りがあるってことだけだしね」
雅章は後ろの席の生徒にも話しかける。
「きみはどうして入学したんだい?」
後ろの席の生徒が答える。
「僕? 僕はただ魔法をもっと使えるようになりたかっただけだよ」
「名前は如月隼人って言うんだ。よろしくね!」