断罪
人類の初勝利と同時刻。
人類の命と引き換えに技術をもらう魔物との交渉に合意した国。
最終決定をした国の代表が、這いずり回りながら弁明する。
「助けてくれ! しょうがなかったんだ」
「この国が滅びるよりはましだと思ったんだ!」
全身に黒い鎧を着ている騎士が答える。
「それでも、人間の命をあんな奴らにさしだすなんて言うべきじゃなかった」
「これは自業自得だ」
シュパッ
代表の頭と体が分離して宙を舞う。
「この国の民はもう逃がしてあるのか?」
「全員避難済みです。残っているのは魔物だけです。クロ様」
「そうか。お前らは次に行っていていいぞ」
「あとは俺がやっとくから」
「そうですか。お先に失礼します」
広い建物の中に魔物と国の代表の死体、交渉に賛同したものの死体もころがっていた。
魔物の中には魔人と思われる個体も交じっていた。
黒い騎士は小さな声でつぶやく。
「魔物がたくさん来て怖かっただろう」
「お前たちにはそれにかなう力はなかったんだろう」
「たくさん悩んだんだろうな」
「それでもお前たちはその交渉で首を縦に振るべきではなかった」
「それがこの国のことを一番に考えた行動でもな」
「君たちが人殺しになる前に、間に合っってよかった」
「せめてこの国と共に眠れ」
黒い騎士の声が国中に響わたる。
「レイン」
声とともに、大きな無数の雷の槍が上空から国の領地に降りそそぐ。
「ナンダ アノヒカリハ マブシイ」
槍が当たった場所にはクレーターができ、魔物は消し炭となる。
また一つの国が突然、クレーターだらけの荒れ地へと変貌する。
「まったくアギトは人使いが荒くてかないませんな。これで四国目ですよ」
そういって黒い騎士は次の国に消えて行った。
黒い騎士がユニゾンのアジトに帰還する。
「帰りましたよ。アギト」
「帰ったか。ずいぶん時間がかかったなクロ」
「そんなものでしょう。力の制限もかけてありますし」
「手加減も必要ですから」
「そんなもんか」
「ところで、あの件なんだがどう思う?」
「一般の人の強化って話ですか?」
「それはいいと思いますがが、いい方法はあるんですか?」
アギトは自信満々の顔で答える。
「ああ、学校だよ」
「学校で魔法の訓練を行うんだ。それが一番効率的だろう」
クロは疑問を投げかける。
「大人も学校に通わせるんですか?」
「そうするならいろいろとまずそうですが」
「大人は大人の訓練を行えばいいさ」
「希望あるのはいつの時代も子供たちだからな」
「そうして強くなったものが各々の国を守るんだ」
「そうですね」
「そうなればもっと人が死ななくていい世界になるでしょう」
そうして二人の会話は終わる。
アギトが自室で悲しそうにつぶやく。
「たくさんの犠牲を払ったがやっとここまでこれたよアンナ」
「やっと理想の世界を築くことができる」




