希望
ユニゾンの宣言から一週間後、
まかれた希望が確かな形となり始めていた。
「すごい! これが魔法か!」
「これなら魔物を倒せるかもしれないぞ!」
銃に魔法を付与し加速させるものや、炎を扱う魔法など様々なものが生まれていた。
しかし、すべての人類が魔法を使えるわけではない。
魔法を扱うにはそれなりの才能がいるのだ。
強い憎しみ、絶望を持つ者が魔法の才能を開花させていた。
さらに一週間後、再びゲートが開き魔物が降り注ぐ。
それとともに息をひそめて森などにいた魔物も現れた。
人類に四度目の絶望が襲い掛かる……はずだった。
「いける! これなら魔物に後れはとらないぞ!」
「魔物たちに俺達の憎しみの深さを教えてやる!」
今までは銃火器が利かない個体も存在し、一方的に蹂躙されることしかできなかった。
だが今は違う。一方的に蹂躙されることなどなく、報復がおこなわれていた。
ユニゾンの加勢もあり人類が圧倒的に優勢となっていた。
「ファイアボール」
「ウォーターランス」
それぞれ自分が使えるようになった魔法を全力で放つ。
圧倒的な憎しみが込められた魔法は魔物たちに命を確実に奪う。
「コイツラ ツヨクナッテル コロサレル」
「コノママジャマズイ イッタン ニゲルゾ」
魔物たちが戦いを諦め逃げてゆく。
この光景は世界のほとんどの国でおきていた。
奴らは満足して帰ったのではい。殺されると思い逃げて行ったのだ。
「「「我々の勝利だーー!」」」
「「「「おおおおおおーー」」」」
人類が初めて魔物に勝利した瞬間であった。
ユニゾンのアジトで女性がアギトに話しかける。
「まだユニゾンの加勢が必要ですが、どうにか勝てるようになりましたね。マスター」
「そうだな。素晴らしいぐらいの成長だ」
「このままいけばさらに彼らは強くなり、ユニゾンなしで魔物の軍に勝てるかもしれんな」
「そうなったらユニゾンが必要なくなっちゃいますね」
アギトが笑いながら答える。
「そんなことはないさ。魔物と戦うことだけがユニゾンのすべきことではないしな」
「彼らだけでも勝てる自衛力が身につくのは嬉しいものだろう。そのためには何をする?」
「一般の人たちの戦力強化ですか?」
「よくわかったな。流石だ! そのためのプランは用意してあるんだ」
「R1やR2、R3の奴にもさらに強くなってもらいたいからな」
女性はとても嬉しそうに返答する。
「褒めていただきありがとうございます。流石はマスターですね」
「そうでもしなければ、ユニゾンなしだと人類が滅んでしまうからな」
「ところで、クロはまだ帰らないのか?」
「そろそろ戻ってくっると思いますよ」
その後も不定期でゲートは開き続け魔物は現れたが、人類は敗北することなく勝利を続けた。