ユニゾン
ロディスは一瞬何が起きたか理解できなった。
だが、突如現れた者と一気に距離をとり、状況を立て直す。
引き連れてきた魔物の数を確認すると、異常なほどの早さで減り続けている。
「貴方は何者ですか?」
「先ほどまで、付近に隼人以外の生命反応はなかったんですがね」
「俺か? 俺の名前は テウス 。ユニゾンに所属している。一応R4だ」
その両耳には紫色の大きなクリスタルがピアスとしてついている。
「ユニゾンですか? 初めて聞きますね」
「他にも力を持つものがたくさんいるようですが」
テウスは笑いながら返答する。
「それはそうだろう。初めて表舞台に出てきたからな」
「これはユニゾンの全戦士にとって表だった初仕事ってわけだ」
テウスが真剣な眼差しになり言い放つ。
「今から人の命を奪ったお前たちを断罪する」
「これだけの戦力がまだこの世界に残っているとは思ってもみませんでした」
「これは魔王様に報告したほうがよさそうですね」
ロディスはそう言うと、テウスに背を向け一気に距離を離す。
「逃がすわけねえだろ」
一瞬にしてロディスの目の前にテウスが現れる。
「バリ……」
ロディスが言い終わる前にテウスの蹴りが直撃する。
「お前はたくさん殺したんだろう」
「絶対に許さんぞ」
ロディスは冷静な分析を行う。
「これは、勝つのは無理そうですね」
「不意打ちを狙おうにもこちらがやられてしまう」
「逃げるのに専念しますか」
「何度も言わせるな。お前は逃がさない」
「サモン」
ロディスの言葉とともに、百体ほどの狼型の魔物が、地面の紋章より召喚される。
「こんな雑魚共、時間稼ぎにもならんぞ」
ものの数秒で魔物でできた死体の山が形成される。
「十分だ。ゲートオープン」
数秒のすきにゲートを開き、ロディスが中に入っていく。
そして小さな声でつぶやく。
「私に隼人の命を奪わせないでくれてありがとう」
「逃がすかーー!」
叫びながらテウスが距離をつめる。
刀がテウスの手元に出現し、その刀を一瞬で抜刀する。
刀から放たれた斬撃がゲートを切断し、その後ゲートが消滅する。
「チッ 逃げられたか。まだまだ俺も詰めが甘いな」
テウスが舌打していると高速で人影が接近する。
その者の耳にもテウスと同じクリスタルが両耳についていた。
「取り逃がしたのか。お前もまだまだだな」
「すいません兄貴。あいつを任してもらったのに」
「まあ良いだろう。次は期待しているぞ」
「各国でもだいたいの戦闘が終わり始めている」
「交渉で魔物に屈した国もある。その国には、また後日攻撃をするそうだ。一応知っておけ」
「わかりました。次こそは確実な勝利を!」
現れた男は遠くを見ながら言った。
「ところであそこにいる少年は誰だ?」
「ずいぶんとこの世界に絶望しているようだ。かなり強くなりそうだな」
「連れて帰りますか?」
「そうしよう」
テウスが少年に近づき話しかける。
「隼人といったか」
「我々とこい。そうすればあの魔人さえ超える力を得られるだろう」
隼人は無言でうなずく。
そして三人はその場を立ち去った。
突如として現れたユニゾンにより世界は少しの希望をえていた。
そしてユニゾンの長であるR6 アギト により更なる希望が世界にまかれる。
「全世界の人間よ、聞いてくれ」
「私は魔物を倒している者たちが所属するユニゾンの長で、アギトという」
「この世界にも魔法は確実に存在する。しっかり認識すれば鍛錬で使いこなせるようになる」
「そして、世界に絶望し奴らをより強く憎んだものが、より強い力を手にしやすい」
「魔法の力があれば魔物だって倒すことができる」
「人類の反撃はこれからなんだ!」