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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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防衛

建設が始まって一年半が経過する頃、イニティウムタウンには百体を超えるメイトギアとレイバーギアが集まっていたのだった。と言っても、その半数以上は新しく起動させられた新品であったが。


イニティウムタウン周辺のロボットディーラーで顧客に納品される為に保管されていたそれらを、雑務を行わせる為にメルシュ博士が起動させたのだ。


しかし、ロボットを起動させる為には、メーカー側のコードと、新規に登録した際に行政から発行される使用者用コードの両方が必要な筈である。それはどうしたのだろうか?


簡単な話だった。博士は、自身の持つ技術によりロボットの人工頭脳にハッキングを行い、コードを使わず起動できるように改造してしまったのである。一からメイトギアを作り出すことも可能な技術を持った博士ならではのやり方だった。しかもハッキング用のツールを自作してメイトギアに持たせ、自分は直接ディーラーに赴くことなくそれを行ったのであった。


もちろんそれは違法改造に当たり、本来なら処罰の対象だが、何度も言うように今のリヴィアターネにはそれを罰する者もいない。何もかもが博士の思うがままなのだった。


タリアP55SIはそうやってメルシュ博士が全てを支配していく様子に強い懸念を抱いていた。このままでは博士はリヴィアターネに独裁国家のようなものを作り上げ、やがて総合政府に対しても反旗を翻すようになるのではないかとさえ思っていたのである。


たとえそこまででなくても、現状で既にサーシャはもとよりクローンや人工授精で生み出された子供達も博士にいいように飼育されて実験に使われているのは間違いない、それを見過ごすことはできなかった。


『急がなければ…!』


フィーナQ3-Ver.1911と手分けして、タリアP55SIはコミュニティーを構成しているメイトギア達と通信を行い、自衛の為に必要な装備の調達と防衛計画を進めていった。


すると、フィーナQ3-Ver.2002による襲撃については明らかに減少したのだった。おそらく、コミュニティー側の抵抗が高度になったことにより容易に目的を果たせなくなったことで、無理にそういう場所を襲撃するのではなく、従来通りただ徘徊を続けているCLS患者の方を狙うことにシフトしたのだと推測された。


この点については、タリアP55SIの狙い通りであった。フィーナQ3-Ver.2002の目的はあくまでCLS患者の確保であって、その為に大きなリスクを払うのは得策でないと合理的に判断するのがロボットいうものなのだから。


だが、フィーナQ3-Ver.2002ではない別の何者かの襲撃については、変わらず起こっていたのであった。



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