第14話 「腐敗臭漂う駄菓子屋」
133:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:16:00.00 ID:AoiAOI99
主と一緒に現場の『旧駄菓子屋跡地』に到着しました!!
【画像:草むらの空き地が、スマホの画面越しにセピア色の昭和の駄菓子屋へ透過侵食されていく瞬間】
私のノートPCで復元した1987年のマップと完全に重なってます! 二人で突入します!!
134:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:16:10.00 ID:x8J9aK10
主たちが現場に到着したぞ!! 今回は葵さんも現場同行か!!
おいまたマジかよ……空き地のはずの場所が、画面越しに『昭和の駄菓子屋』のグラフィックへ書き換わっていってんぞ……!?
135:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:16:50.12 ID:8bitLove
1987年の街並みが現実にオーバーレイしてきてんのか!?
葵ちゃんが復元したマップと完全に一致してんの相変わらず熱すぎるだろ!!
136:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:17:30.00 ID:Assembler
スレ主、葵さん、周囲のノイズ空間への侵入を確認した。
その空間の最奥に、39年間『白石葵ちゃん』を縛り続けている核心プロテクトが存在する。気を引き締めて行ってくれ!
――
深夜24時30分。
旧駄菓子屋跡地はすでに気色の悪いノイズ走る空間に変化している。
ザザザ……ジジジジジッ……!!
草むらとトタン屋根の廃墟だったはずの空間。
それが、さらに俺の手にあるスマホの画面と葵のノートPC、そして肉眼の中で、セピア色と鮮烈な赤銅色の8bitグラフィックへ塗り潰されていく。
店頭に並ぶ、十円ゲーム機。ガラス瓶に入った煎餅や粉末ジュース。
そして——店舗の奥に置かれた、昭和62年のままの『赤電話』。
「ハッ……気味の悪い景色だな」
「陸……! ノートPCのポータブルWi-Fi経由で、市役所の過去データベースと現場のメモリの直結、完了したよ!」
俺の隣で、葵が自分のPCを抱えながら爆速の打鍵音を鳴らす。
今回は現場の空間そのものをハックする可能性があると予測し、葵も直接俺の横へ同行しているのだ。
「葵、ナビ頼むぞ。一瞬で終わらせる」
「うん! 店内の奥、赤電話の前に巨大なボス反応……来るよッ!」
駄菓子屋の土間へ足を踏み入れた瞬間、空間が激しく歪んだ。
ザー……ジジジッ……!!
『ヒ、ヒ、ヒ……イラッシャイ……坊ヤ……』
『十円……入レナキャ……遊バセテ……アゲナイヨ……』
店舗の天井から、血のように赤く塗られた無数の『赤電話の受話器』が蛇のように這い出してきた。
その中心で蠢くのは、十円玉のコインとダイヤル鍵が汚らしく癒合した、怪異——『1987年の誘拐魔』!
【最終階層ボス反応検知:『1987年の誘拐魔』】
【特殊能力:『誤認』】
「キシャアアアアアアアアアッ!!」
無数の受話器が一斉に外れ、狂気を孕んだ「ジリリリリリリリリリッ!!」という爆音のダイヤルベルが全方位から叩きつけられる!
空間全体が赤紫色のノイズで歪み、俺のHPゲージが目まぐるしく点滅し削られていく。
「チッ……プロテクトのノイズかッ!」
「陸、大丈夫! 私がPCから市役所アーカイブをメモリに直接流し込んで、敵の嘘を打ち消す!!」
カタカタカタカタカタッ……!!
俺の横で葵が放つ、怒りと執念の爆烈キー打撃!
『公的データ同期——『1987年8月15日・白石葵』の存在証明、完了!!』
ピカァァァァンッ!!
ノートPCの画面から溢れ出た黄金色の光が、赤電話の怪異を包み込む。
「ジリリリリッ!」と鳴り響いていた爆音ベルが、葵の干渉によって一瞬で相殺され、無力化された!
ピッ、ピッ……
【エリア異常無効化:『公的アーカイブ同期』成功】
【敵の『誤認プロテクト』解除! コアが露出しました!】
「……ナっ……プロテクトガ……解除……サレ……!?」
巨体が困惑するように激しく全身から火花を噴出させ、赤電話の怪異がよろめく。
「三十九年もガキの魂を閉じ込めて遊んでた報いだ。——消え失せろッ!!」
俺は爆発的な踏み込みで土間を蹴り、赤電話のコアへと跳躍した!
現場のゲーム画面のフレーム判定と、俺の手元のラジオナイフが完全同期する!
「スキル——『ノイズ・干渉』・フルドライブッ!!」
ドォォォォォンッ!!
赤銅色の閃光と化したラジオナイフが、怪異のコアを真上から深々と刺し貫いた!
そのまま全体重を乗せて一気に引き裂き、返す刀で逆袈裟に切り上げる!
ドドドスゥゥゥンッ!!
【会心の一撃! 350ダメージ!(ジャストコンボ攻撃&コア全破壊)】
「ギャアアアアアアアアアアアッ!?」
駄菓子屋全体を揺るがす絶叫!
無数の受話器と十円コインが激しく弾け飛び、赤銅色のノイズ光となって空間に散っていく!
――
137:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:32:15.00 ID:x8J9aK10
おい……!? 葵さんの書き込みが急にピタリと止まったぞ……!?
ノイズが凄すぎて通信途切れたのか!? おい主!! 葵さん!! 無事なのか!?
138:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:35:40.12 ID:8bitLove
応答してくれ主!! ボスのコアは壊せたのか!?
現場のノイズに呑み込まれたりしてねえよな……おい返事してくれ!!
139:主@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:40:55.00 ID:RikuMKB
主だ。激しい放電で回線が途切れてた。心配かけたな。
今回も葵のおかげで、1987年の誘拐魔のコアを粉砕した。
現場の怪異ノイズも消え去っていく。白石葵ちゃんは無事……だ……。
140:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:41:00.00 ID:AoiAOI99
回線復旧しました! 私も陸も無事です!!
現地での公的データ同期でプロテクトを完全解除!!
陸がラジオナイフで誘拐魔のコアを粉砕しましたあぁぁぁ!!
【画像:赤電話のボスが激しい火花とともに爆発して『350 ダメージ』が出ている瞬間】
ボス撃破です!! 地下のきしょいノイズも消えていきます!!
141:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:41:30.00 ID:x8J9aK10
うおおおおお主が無事戻ってきた!! 350ダメージの一撃叩き込みでボス撃破キタァァァァァ!!
今回ばかりは無言の時間マジで心臓に悪かったけど、主の無事報告かっこよすぎて草www
142:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:42:00.00 ID:AoiAOI99
ボスが消えた跡地から……黄色いワンピースを着た女の子のドット絵が浮き上がってきました……!
【画像:セピア色の空き地から、温かい黄金色の光となった女の子のドット絵が夜空へ昇っていく瞬間】
『ありがとう』って……手振ってくれてます……! 白石葵ちゃん、解放されました……!!
143:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:43:15.12 ID:8bitLove
おい見てみろ……! 葵さんの画像、黄色いワンピースの女の子が光になって空へ上っていってるぞ……!
白石葵ちゃん……39年越しに、ついに解放されたんだな……!!
144:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:43:50.00 ID:x8J9aK10
白石葵ちゃんが無事に成仏されたあああああ!!
スレ主、葵さん、本当にお疲れ様!! 最高の救出劇だったぜ!!
145:名無しさん@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:44:30.00 ID:8bitLove
めちゃくちゃ怖かった分、最後の手紙と光の演出でボロ泣きしたわ……。
39年越しの救出成功とかマジで神回すぎる……!
――
ザザザ……ピピッ……。
葵がスレへ撮影画像をアップロードした直後、空き地を包んでいた赤黒いノイズが完全に霧散していった。
静寂を取り戻した駄菓子屋の跡地。
その中央で、温かい黄金色の光となって浮遊していた黄色いワンピースの少女——白石葵ちゃんが、俺と隣の葵に向かって、ゆっくりとお辞儀をした。
『……おにいちゃん、おねえちゃん、ありがとう……』
『まっくらで、すっごく寒かったけど……もう怖くないよ……。お母さんのところへ、帰るね……』
ドット絵の瞳からポロポロと零れ落ちる、光の粒。
隣で葵が「うん……! いってらっしゃい、葵ちゃん……!」と、声を詰まらせて手を振り返す。
儚くも優しいオルゴール調の8bitBGMが夜風に溶け、少女の光は夜空へと穏やかに昇り、星のように消えていった。
ピッ……
【ミッション完了:『白石葵』の魂の解放、および「黄泉」完全攻略】
【獲得アイテム:『1987年の通学路・コンプリート証』】
「ふぅ……これで本当に、全部終わったな」
俺はラジオナイフを納め、荒い息を吐き出しながら空を見上げた。
隣に立つ葵も、PCを抱えながら涙を拭い、ほっとした笑顔を浮かべている。
「陸……ほんとに、ほんとにお疲れ様……! 私たちの街の怪異、完全に消えたよ……!」
――
146:【解析班】名無しのアセンブラ@ゲーマー:202X/08/05(水) 00:46:30.10 ID:Assembler
見事だ、二人とも。
カセット内部の全プログラムの停止と、プロテクトの完全消滅を確認したよ。
君たちの絆とハックは、本当に素晴らしかった。……さて、解析班としての僕の仕事も、これで終わりかな。
「アセンブラ、サンキュな。アンタの解析がなかったらここまで来れなかった」
俺と葵は顔を見合わせ、感謝を込めてスマホに話しかけた。
葵も「アセンブラさん、本当にありがとうございました!」と感謝をスレに書き込んでいる。
だが——。
ザザ……ッ……。
俺の手元で、すべてのミッションが完了したはずのスマホの画面が、一瞬だけ奇妙なノイズを起こした。
『データ解析完了……ターゲット:【七瀬葵】……現在位置:【現場】……』
『——みーつけた。』
「……あ?」
画面の隅にチラリと表示された、謎のログ文字列。
一瞬で消え去ったその文字に、俺は足を止めた。
「おい葵……今、画面に変なログ出なかったか……?」
「え……? ううん、私のノートPCもファミコン画面も、もう静まり返ってるよ……?」
ヒュゥゥゥ……と、誰もいない草むらを冷たい夜風が吹き抜ける。
無事にすべての怪異を倒し、少女を救い出したはずなのに——
背後から誰かにじっと見下ろされているような気味悪さが、消えてくれない。
——第三章・完全攻略完了
―― 次回、最終話【1987年】へ続く。
【ステータス】(第3章・完全クリア直後)
・プレイヤー:真壁 陸
・HP:[全部位:100(健全)]
・所持スキル:[ノイズ・干渉 Lv.1(CT残り:22秒)]
・装備:[呪導のラジオナイフ(耐久:4/15)] [防護型ヘッドホン(ノイズ耐性+25)]
・獲得アイテム:『1987年の通学路』
・現在のミッション:【葵とともに自室へ生還し、勝利の祝杯をあげよ】




