開発区域、~一道病院~
「あ、お姉ちゃんと神谷さんは学園の方に避難していったみたい」
病院に無事たどり着き、入口のところにある伝言板の貼り紙をみながら真穂が勇に伝える。
病院の中はすっかり避難が完了していて、中は静寂に包まれていて、本当に世界で2人だけになってしまったのではないかと思えるほどだった。
「あ、なんか裏に書いてある、なになに」
そんな事を考えている勇を横に真穂がメモを持ってきて袖をひっぱる。
「なんか特別室っていうのがあるらしいよ?」そういいながら静かな病院の廊下と階段を進んで行く。
すると少し大きめの扉の病室がみえてきた、横には"特別治療室"と書かれた看板とはずれた電子ロックがくっついていた。
「これがメモに書いてあった特別治療室かー、なるほど特別な感じがする」
「もぉー、何いいだすのよ思わず笑っちゃったじゃない」
勇のそのままの言葉に思わず軽く笑いながら背中を軽く叩く、確かに内装は他の病室とは明らかに違うものだった、ベッドは3割ましくらいフカフカで、壁もどこぞの社長室みたいに落ち着いた内装であり、冷蔵庫とシャワーが備えつけられていた。
「まったく病室にシャワーって治すきあるのかね」勇が太一と煮たような感想をもらす。
「ふーん、シャワーあるんだ・・・、あのいい?」
「えっ? ああ、いいよ俺ここで見張ってるから!」
「あ、うんありがと、じゃ、じゃあちょっと汗流してくるね」
ぎこちないやりとりをしたあと真穂がシャワールームに入っていく、そしてしばらくしてからシャワーの音が聞こえてくるが、それにあらぬ妄想をのっけては頭を横に振る勇であった。
そして、しばらくしてから真穂が、あがったよーと、いいながらでてくると冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲んで気持ちを落ち着かす勇の姿があった。
「どうしたの?」と勇の気持ちを知ってか知らずかたずねる真穂に対して「いいや、なんでもないよ?」と返す勇「ふーん」と返す真穂。
それから少しぎこちない空気が流れた後、勇が「そうだ次の救助がくる前に避難できていない人がいるか探してみよう」と立ち上がる、それを見て小さくタメ息をついた後ニコッと笑ってそうしよっかと頷き手を差し出す真穂であった。
コツコツコツ、二人の歩く音が病院の廊下に響く、開いた病室の扉からひょっこり誰かが顔をだしてくるのではないかと思もってしまうくらいだった。
そんな時、本当に人影を目にして心臓が止まりそうになる2人、されは先にある休憩所と書かれた看板の傍らにあるベンチに座っていた。
「おや? 避難できていない人がまだいたとは驚いたな、君たちもうすぐ私をのせる為の救助ヘリがくるはずだからそれで逃げなさい」
さらにどこかでみた顔の初老の男性は落ち着いた様子で2人に喋りかける。
「私はこの村に最後まで残ろうと思う、なにせこのプロジェクトの為に色々してきたのだから」
その言葉にはっとパンフレットを思いだし「ひょっとさて村長さんですか?」とたずねる真穂。
「ああ、そうだよ私が村長の宇名竹法男です」
丁重に挨拶を返す男に誠二は、だったら尚更村の為に避難しなければだめだろう!、と返すも男は頭を横に振る。
「プロジェクトの為に色々してきたといったろう? 文字どおり色々してきたんだよ、それこそ言えないような事をね、だから地震でこのプロジェクトが失敗した今、私はいないほうがいいんだよ、わかったらはやく行きなさい、後私の事は会わなかったことにしておきなさい、後々大変だからね」
男が言い終わると同時に、ずうっぅんと轟音が響くき揺れ始める。
勇はハッと男の方を見るが、その目には自分ではどうしようもない決意を感じとり真穂の手をとって駆け出す。
「いくよ真穂ちゃん!」
「勇でもあの人!」
「あの人はここから動かないよ! いやむしろ生き残ったほうが辛いのかもしれない」
「そんな・・・」
そう言いながら後ろを振り返ると男は落ち着いた表情で2人を見送っていた、それを見て真穂も決意を感じたのか再び前を向き走り出す。
ますます揺れが激しくなり建物が2人の邪魔をしようときしみ始めたとき病室の出口が見える、更に走り出し扉から出たときに病院が崩壊を始めだすと同時に救助ヘリが姿を現し、それをみて2人は強く手を握りしめながら手を振るのであった。




