第1話 「俺とルナと山。」 前編
ひろやルナ達は私達の中で生きてます。皆さんにも知ってほしくて書きました。
物語が長かったので前編と後編に分けました。少し説明不足もあったので加筆、修正しています。
26年9月21日 ひろ。
第1話 「俺とルナと山。」 前編
奈良県吉野の山あいに、カフェと温泉のあるキャンプ場があります。
Camp & Cafe Luna。
私ルナとひろくんとたまこ。 それから少し変わった家族が一緒に暮らす場所。
みんなこのキャンプ場で、働きながらのんびりと暮らしています。
なかには遊んでばかりの子もいますけど。
季節は春。
山の桜も、あと少しで咲き始めそうです。
朝9時。
キャンプ場にあるカフェーー
ガチャ。 カラン……。
ガヤガヤ ガヤガヤ
ルナ「いらっしゃいませー♪」
4号「いらっしゃいませー!」
5号「いらっしゃいませっー!」
エプロン姿の3人が、カウンター越しに笑顔でお客様を迎えます。
ここはキャンプ場の施設内にあるカフェ。
毎朝、手作りのパンを焼いています。
そしてここは、キャンプ場の管理棟も兼ねた受付でもあります。
私はここのカフェの店長。今朝は4号ちゃんと5号ちゃんが働いてくれています。
ルナ「4号ちゃん、こっちのモーニングおねがい」
4号「はーい!」
タッタッタッ……。
4号ちゃんのセンターで分けた長い赤髪が、背中でふぁさふぁさと揺れています。
おでこがぴっかぴかです。
4号「お待たせしましたー! モーニングセットでーす!」
客「お、ありがとー」
4号「ごゆっくりどうぞー!」
にこっ。
サッ…
タッタッタッタッ。
4号「……完璧じゃね?」
5号「いや今、コーヒー忘れかけてたじゃん」
4号「忘れてないし! 途中で気づいたし!」
5号「それを忘れかけてたって言うんじゃん!」
ルナ「ふふっ」
5号ちゃんが動くたびに巻いた黄色いポニーテールが、ひょこっと揺れます。
5号「ルナさん! つぎこれどこー?」
ルナ「んーそれは2番のテーブルだねえ」
5号「2番……」
ちらっ。 きょろきょろ…。
5号「……うー……うーん……どれだっけえ?」
4号「あっし知ってる! あそこ!」
ルナ「おおー! 正解〜♪」
4号「やったっ!」
5号「4号も昨日は分かってなかったー!」
4号「…………」
ルナ「あはw」
4号「昨日は昨日じゃん!」
カラン……。
ルナ「はーい、二人ともお客さんきたよー」
4号・5号「はーい!」
5号「お待たせしましたー!」
4号「ルナさん! つぎはなにすればいいー?」
ルナ「ドリンクをあちらのお客さんに持っていってー」
4号「りょーかいっ!」
朝10時。
温泉の受付ーー
ここはキャンプ場の施設内にある温泉です。
温泉にはお食事処もあります。
カラカラカラーー。
6号「いらっしゃいませー!」
6号ちゃんが、くるっと振り向きます。
黒髪には青いメッシュ。耳と口元にはピアスがキラリ。
今日は受付を6号ちゃんが担当してくれています。
6号「はいっ! お風呂ですね! 一名様でー……」
6号「ん……あれ?」
きょろきょろ…。
客「?」
6号「……うーん?」
……サッサッサッ。
2号「どうしました?」
割烹着姿の2号が、きれいな黒髪を揺らしながらお食事処から駆けつけます。
そのまま6号ちゃんの後ろに立ち、レジをのぞき込みます。
6号「2号さん! これどれ押すんだっけ!」
2号「入浴だけでしたら、そちらです」
6号「あ! これかっ!」
ピッ。 ジジジーーー。
6号「お待たせしてすみませんー! ごゆっくりどうぞー!」
客「はいよーありがとー」
てくてくてく……。
6号「…………」
6号「セーフ!」
2号「…………」
6号「……ヤベ……」
2号「……まあ。少しずつですが良くなってきましたよ」
6号「マジ!? じゃあ、もうあっし店長じゃん!」
2号「……話聞いてます?」
6号「…………」
2号「…………」
6号「細かいこと気にしたら負け!」
2号「そういう問題ではありません!」
…………。
6号「あはっ!」
2号「もう……」
カラカラーー。
6号「あっ……いらっしゃいませー!」
2号「今度は一人でできますか?」
6号「余裕余裕!」
2号「本当でしょうか……」
6号「いらっしゃいませー! 今日はゴニュウヨクですかぁー?」
年配客「おーそうやでー」
6号「一名様ですねー!」
ピッ。 ジーーージジ。
くるっ。
6号「ほらっ!」
2号「ナイスです!」
6号「やったー!」
同時刻。
温泉のボイラー室ーー
ボオオオオオ――
ここは温泉施設のボイラー室です。
年中暑さのこもる、過酷な場所。
ボイラーの温度調整も難しく、細かな加減が必要です。
3号「…………」
カチッ。
ボオオオオオ――
3号「…………」
黒いおかっぱ頭の3号ちゃんが、ボイラーの前でじっと炎を見つめています。
3号「……もう少し……」
3号「……よし」
3号「あ……」
とことこ…。 ガラッ。
3号「……おはようございます……」
おばあちゃん「あら、3号ちゃん。窓からおはようー」
3号「……今日も…温泉ですか?」
おばあちゃん「そうー。毎日の楽しみやからねー」
3号「……ありがとうございます……」
おばあちゃん「今日もがんばってな、3号ちゃんー」
3号「……はい」
3号「…………」
ふりふり。
ボオオオオオ――
同時刻。
キャンプサイトーー
ここはキャンプ場のキャンプサイトです。
広い芝生エリアと、その奥には林エリア。
全面フリーサイトで、好きな場所にテントを張ることができます。
ソロキャンプからファミリーキャンプまで、自由に楽しめるキャンプサイトです。
ガリッ、ガリッ。……ゴボッ。
ひろ「……ここだいぶ腐ってんなあ……」
作業着姿のひろくんが、溝をのぞき込む。
短い黒髪をガシガシとかきながら、首をかしげています。
ひろくんがここのキャンプ場のオーナーです。
……トコトコトコトコ。
8号「ひろー」
ひろ「……んー? おう」
8号「おはよ」
ひろ「……いま起きた?」
8号「…………」
8号「あ……うんw」
明るい茶色の寝ぐせ頭を、ぽりぽり。
ひろ「……もう10時だぞw」
8号「昨日ちょっと……遅くまでゲームを……」
アセアセ… キョロキョロ… アセ…
ひろ「でしょうねw」
8号「……はは……で、なにしてんの?」
ひろ「んー? ここの溝なおしてるー」
8号「……ふーん」
ひろ「…………」
8号「…………」
ひろ「おまえもやるか!?」
8号「やだ!」
ひろ「ですよねーw」
8号「じゃ、俺あそんでくるー!」
ひろ「おーい、今日はどこあそびに行くんだー?」
8号「うーん……川!」
ひろ「おう、気つけてな」
8号「うん!」
じーーーーーっ…。
ひろ「うーん……ここどうしようかね……」
ルナ「ひろくーん!」ふりふり
私の長い黒髪が、風にふわっと揺れます。
てくてくてく。
ルナ「はい、お弁当」
ひろ「おっ! サンキュー」
ルナ「8号ちゃんこっちきてた?」
ひろ「うん。 川にあそびに行くってさー」
ルナ「そっかあ」
ひろ「今日もカフェ結構人はいってたなあー」
ルナ「朝はね。 今はだいぶおちついたよー」
ひろ「だな」
ルナ「うん。 じゃあもどるねー」
にこっ。
ひろ「うん」
午前10時過ぎ。
家の前の庭ーー
ここは私たちが住む家の前にある、芝生の庭です。
ここからは、カフェとキャンプサイトが見えます。
…とこ
……トコトコ。
ばたん ぽてっ
7号「…………」
たまこ「…………」
芝生の上に、7号ちゃんの長い白髪がふわっと広がる。
その横には、茶色い毛並みのたまこ。
青い目を細め、ぴとっ。
……今日も仲良く、ひなたぼっこです。
7号「……たまちゃん」
たまこ「……にゃ?」
7号「……ぬくい」
たまこ「にゃー」
7号「…………」
たまこ「…………」
7号「……スー」
たまこ「……スー」
……あ、寝ちゃいました。
正午。
キャンプサイトーー
すっ…。 ぼてんっ。
ひろ「ふう……さてと……」
ごそごそ。
ぱかっ。
ひろ「……いただきまーす」
むしゃ。
むしゃむしゃ。
ひろ「うま」
……トコトコトコ。
ぽすっ。
8号「…………」
ひろ「ん?」
8号「…………」
ひろ「川に遊びに行ったんじゃねーの?」
8号「……もうあそんで帰ってきた」
むしゃむしゃ。
ひろ「……そうか」
8号「うん!」
8号「いただきまーす!」
むしゃ。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ひろ「ふう……ごちそうさんー」
8号「!!!」
ばくばくっ! ばくばくっ!
ひろ「…………」
ごろん。
8号「…………」
ひろ「……ぐー」
8号「…………」
むしゃ。
8号「……寝るのはや……」
むしゃむしゃ。
お昼過ぎ。
カフェーー
…ふう。
ルナ「みんなー! お客さんすいたしー、今の間にごはんにしよっかー」
4号・5号「や、やったぁー!」
わーい わーい
4号「うう……お腹へったー!」
5号「ねー、あっしもー!」
ルナ「今日は残ったパンで作ってみましたー♪」
ことっ。 ことっ。
4号「おおー! ホットドッグ!」
5号「あ、サンドイッチもあるじゃん!」
ルナ「ルナスペシャルだよ~どやぁー」
えっへん!
4号「わあ! どれ食べてもいいの!?」
ルナ「好きなのたべてー」
4号「じゃあこれっ!」
5号「あっ! それあっしも狙ってた!」
4号「早い者勝ちー!」
5号「ずるっ! はんぶん!はんぶん!」
ルナ「あはw」
ルナ「じゃあ食べよー」
4号・5号「いただきまーす!」
ルナ「いただきまーす♪」
ぱくっ。
4号「うまっ!」
5号「んー! うまー!」
ルナ「でしょー♪」
もぐもぐ。
もぐもぐ。 もぐもぐ。
4号「明日もこれでよくね?」
ルナ「売れ残ったらねーw」
5号「じゃあちょっと残そ」
ルナ「しばくど~♪」
5号「あはっw」
温泉施設内のお食事処ーー
6号「いらっしゃいませー!」
ジュウウウウ――
サッ… ササッ… サッ…
2号「……6号さん、こちらを持っていってください」
てきぱき。
6号「まかせてっ!」
すたすた。
6号「お待たせしましたー!」
客「お、ありがとなー」
6号「ごゆっくりどうぞー!」
くるっ。 スタタタタ。
6号「2号さーん! つぎあるー?」
2号「ありますよ。少し待っていてください」
トントントンっ…
6号「はぁーい!」
ジュウウウウ―― スッ。
2号「…………」
とんっ。
2号「こちらもお願いします」
6号「まかせてー!」
サッ… スタタタタ……。
ボイラー室ーー
ボオオオオオ――
3号「……いただきます……」
ぱかっ。
ばくっばくっばくっ。
ばくっ。
ちらっ。
ボオオオオオ――
3号「…………」
ばくっ。ばくばくっ。
ばくっ。
カチッ。
3号「……よし……」
ばくっばくばくっ。
ガラガラー……
おばあちゃん「3号ちゃん。お昼ごはん?」
3号「……もぐもぐ……はい……今日はどうでしたか……」
おばあちゃん「今日もええ湯やったよー」
3号「……よかったです……」
ばくっばくっ。
おばあちゃん「まあー。 いつ見ても、いっぱい食べるなあー」
3号「…………ハイ」
……もじもじ。
おばあちゃん「じゃあ、また明日ねぇー」
3号「……もぐもぐ……ありがとうございまひた……」
おばあちゃん「ふふっ。またねー」
3号「…………」
ふりふり。
ばくっ。
ばくっ。
ボオオオオオ――
午後1時頃。
庭ーー
7号「……スー」
たまこ「……スー」
7号「……ん」
たまこ「…………」
……すっ。
7号「……たまちゃん」
7号「……いこ」
たまこ「…………」
たまこ「……にゃ」
さっ。
てくてく。 ……てくてく。
後編につづく。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
お話はまだまだ続きます。
よかったら後編も読んでくださいね♪
それでは、後編でお会いしましょう!
赤ペン先生ルナ。




