【エピソード 030】 向かい合った二人の間に楽譜を置き、逆さまに見て『鏡』の合奏。コードをローマ数字で表現するのは、主音から数える。転調すると数え直す。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 030】 向かい合った二人の間に楽譜を置き、逆さまに見て『鏡』の合奏。コードをローマ数字で表現するのは、主音から数える。転調すると数え直す。
ハル「あ、ゴメン。その楽譜、おかしくない? すごく気になって」
ステラ「楽譜? ああーんと、楽譜ね」鞄を開け、見えていた楽譜を取り出す。
ステラ「これだけど、おかしい?」ハルに、正しい向きで手渡す。
ハル「音符の旗が、左右逆だ。あれ?」紙の向きを正しく持つと、上部にタイトルが書かれている。さっき見た状態を映像で思い出す。
ハル「あれ? あれっ? これか? でもさっきは、ここ……」タイトル部分を指す。「……が、タイトルじゃなく、五線だった」
ステラ「持って来た楽譜は、それ1枚です」
ミッツ「逆さまだったんじゃないのー?」構わず、ハンバーガーを頬張る。
ハル「あ、なるほど。たしかに、さっき見たのは、この向きだ。楽譜ってさ、逆さまに見ても、何となく楽譜っぽく見えるな」楽譜を逆さまにして、さっき鞄から見えた状態を2人に見せ、指でその箇所を円く指す。
ミッツ「そうかなあ。旗の向きが逆だし、付点も玉の左だし」画像。8分音符と、付点4分音符。分身の術で2つになり、逆さまにすると違う箇所を赤円で囲む。
ステラ「細かい違いはありますが、ぱっと見た感じなら、似ているので、みあややまることもありますね」背景に、あらかじめ「見誤る」と、フリガナの「みあやまる」が表示されていて、ステラの言い間違いで瓦解する。
ミッツ。おかしくて吹き出す。笑いながら。「笑わせないでよ」
ハル。楽譜を逆さまに見た話を再開する。「符桁で繋がっていたら……」符桁で繋がっている箇所を指す。背景では、分身の術で、その箇所が2つに分かれ、逆さまになる。「……そのまま読める」
ハル。楽譜をテーブルに置く。「こうして、2人で向かい合って1枚の楽譜を見て、同時に演奏して」
ミッツ「合奏ってこと?」
ハル「そう。俺にとってはこの順番が普通だから、この順番で演奏。ステラにとっては、この順番が普通だから、この順番で演奏」
ステラの楽譜をテーブルに置くと、なぜか『鏡』(モーツァルト)の楽譜(これは、1ページで完結する曲)になる。
ハル「それで合奏したら、ちゃんと曲になっているって、できないかな?」向かい合っているハルとステラが、なぜかモーツァルトの時代の服装とカツラ姿になり、バイオリンを持ち、『鏡』(モーツァルト)を合奏する。
ミッツ。演奏が終わってから。「そんなの、無理に決まってるでしょ」
ハル「そうかなあ」
ミッツ「それより、こっちの説明をするよ」
ハル「あ、そうだった。これの、大文字と小文字が違うのは?」
ミッツ「長調とか長和音とかは大文字、短調とか短和音は小文字なの」ポテトを1本、口にする。「まあ、現代なら、どっちも大文字を使うことも多いけど」
ステラ「大文字と小文字で区別されるのって、なんだか、苦手」
ハル「そうなんだよな。すぐに思い出せないけど、日常生活に、あれこれありそうだな」背景に、大文字と小文字で区別する例が、いくつか漂う。
ステラ「でも、どうしてわざわざ、数字にするんですか? 何か便利なの?」
ミッツ「ハルは知ってるけど、文字だけで和音を表現する方法があるでしょ」
ハル「ああ、コードネームだな。「ド」はたくさんあって、高い「ド」とか、低い「ド」とか、区別はできないけど、「ラ、ド、ミ」の和音を「Am」という、文字だけで頑張って表現する方法だな」
ミッツ「そう、それと似ていて、このローマ数字を使う方法は、主音から何番目かっていうのを、ローマ数字を使ったの」
ミッツ「ローマ数字と、補足の数字を使ったり、あれこれ頑張って、文字だけで和音を表現している」
ステラ「主音ですか」ステラは「主音」を知らない様子。
ハル「主音っていうのは、歌が「ああ、終わった」と感じた時に、鳴っているメロディ。曲によって、どの鍵盤が使われているのかは違うけど、その時に使っている鍵盤が主音だ」
ハルは、ここで「完全終止」という音楽用語を使わない。「主音」を知らないので、「完全終止」も知らないだろうと思い遣った。
ステラ「なるほど」納得した様子。
ハル「主音の話は、まだまだあるけど、今はローマ数字が便利だっていう話を続けよう」
ミッツ「そう。ある曲は、この鍵盤が主音だったら……」テーブルに鍵盤があるつもりで、いくつかの鍵盤を、ポンポンと指で叩き、主音の鍵盤で止まる。「……この和音が鳴る」主音を根音とした和音を鳴らす仕草。
ミッツ「でも、これには重大な不便さがあった」
ステラ「便利のためが、不便?」
ミッツ「曲の途中で主音が変わったら、数え直ししなきゃ」
ハル「曲の途中で、主音が変わる?」
ミッツ「珍しくはないよ。長調の曲でドから数えていたのに、短調になったら、ラから数え直し」
ミッツ「短調の特徴が出てきたら、短調に変わったと判断するか、変わっていないと判断するかで、ローマ数字の番号が変わる、数え始めが変わる」
ミッツ「転調では、主音が同じで、長調と短調が入れ替わることもあるよ。そしたら、番号は同じまま、大文字と小文字が入れ替わる」
ハル「そうか。だったら、コードネームのように、「要するに、この音が鳴ればいい」の方が、素人には便利だな……」
ハル。ちょっと考える。「そういえば、どこかでローマ数字を見たなあ。どこだっけ……」
ステラ「時計の文字盤じゃなくて?」
ハル「うーん、楽譜で見たなあ。あ、ギターだ!」
ミッツ「ギター? コード表記で?」
ハル「違う、クラシックギターの楽譜の、フレット番号を示していた」
ハル「でも、それなら、何本かの弦を同時に押さえる「セーハ」で、「C.3」とかって書けるだろうし」
ハル「んー、なんだかわからないけど、弦の番号はマル数字で書かれているし、意味がわかるから、理由はどうでもいいかなって、気付かないふりをしてた」
次回は …… 【エピソード 031】 音符の上に休符があるのは、AさんとBさん。初見できる「慣れ」とは「パターンを知ってる」。ステラが新しい楽譜の誤りを発見。「#」と「♯」の違い。
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