【エピソード 025】 「ゼンゼンハン、ヘイ! ゼンゼンゼンハン!」。鍵盤モノサシと音階スライド。音名と階名と、固定ドと移動ド。鍵盤にマジックインキで書くのが音名。調号を見て調が言えなくても。
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。
▼ 登場人物
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ …… 同じ中学校の生徒。
ヤッ子 …… 理科教師。プライベートでジャズピアノ。
楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「一方的に教えるのではなく、疑問に応える」「アニメ表現を利用」です。
オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』から、「余計な物語りは不要、要するに音楽の話だけ」の需要に応えた、楽典に特化したものです。
そのため、ドラマチックな「キャラの魅力」「ラブ要素」「ジョーク」は無くなりました。
唐突に音楽の話になる「教育アニメ(エデュテインメント)」となりましたから、ストーリーには違和感があります。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。
人間ドラマも含めたもの、アニメ化に向けての自由度(情報の取捨選択、話数変更など)は、オリジナル『ガクテン』または『ガクテン♪ソフト版』を、ご覧願います。
ここでは、人間ドラマなどが無く、音楽の情報だけが、連続している。レトロSFの宇宙食のように、味気の無いものです。
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【エピソード 025】 「ゼンゼンハン、ヘイ! ゼンゼンゼンハン!」。鍵盤モノサシと音階スライド。音名と階名と、固定ドと移動ド。鍵盤にマジックインキで書くのが音名。調号を見て調が言えなくても。
▼ 場面変更
先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。
吹奏楽の先生「はい、10分間の休憩にしよう。今日は、吹奏楽部の見学日だから、これからお客さんが来ます。楽器に詳しくない生徒さんも来るので、楽器破損などのトラブルにならないように、管理してください」
ショージが、ドアの窓から覗いているハルに手を振る。
ショージ。吹奏楽の先生に「まだ時間前ですが、待っている人がいるので、入れてもいいですか?」
吹奏楽の先生。時計を見て「そうですね、みなさんも、見学の準備ができているようですし、どうぞ」
ショージ。ハルを招いて「俺はピアノだって弾けるんだ、しかも、鍵盤を見ないで、両手で」上を向いて、目をつむり、立ったまま黒鍵だけをデタラメに弾く。それなりに、曲っぽく聞こえる。
ハル「どうやったんですか?」
ショージ「ペンタトニックだ」
ショージ「1オクターブは12個も鍵盤があるから、12個のうち、「よく使う7個」を選んだのが普通の「音階」。「よく使う5つ」を選んだのが「五音音階」「ペンタトニック」だ」
ハル「どうやって、選んだんですか?」
ショージ「それぞれの音階で、基準は違うけれど、調号で選ぶ方法がある。そこで、ハルのために、これを作って来た」鍵盤モノサシと、移動できる音階スライドの、2枚がセット。鍵盤は2オクターブ以上ある。
ハル「あ、鍵盤モノサシ。音楽の先生にも、もらった」
ハル「この刻みは、ギターのフレットの意味ですよね」音楽の先生が、鍵盤モノサシに書いたように、奥の方に、ギターの簡単な絵を合成(想像)する。補足に「ギターのフレットの1つ分は、鍵盤の隣の関係と同じ」と記す。
ショージ「そうだ。いいか、音階は「全全半全全全半」だ」
ハル「なんですか?」
ショージ「ピアノの鍵盤は、白鍵が手前にあるな。それは、よく使う鍵盤を、同じ幅で並べただけだ。しかし、ギターには、白も黒も、区別していない」
ハル「それは知っています」背景に鍵盤を表示。第1話と同様に、紙を出して、ピアノの鍵盤の、手前側の、白鍵だけの部分を隠す。鍵盤の奥の、白鍵と黒鍵が縞模様のように見える。
ショージ「そこで、この音階スライドだ。これは、白鍵に「ドレミ……」を書いたものだけを、スライドにしたものだ」
ハル。音階スライドのドを、鍵盤モノサシのドに、スライドしながら合わせる。
ハル「本当だ。白鍵だけが選ばれている」
ショージ。ハルから、音階スライドだけを取る。
ショージ「隣の隣は「全音」、隣は「半音」といって、「半音高い」なんて言い方をする」音階スライドの「隣の隣」を橋渡しする矢印に「全音」、「隣」を橋渡しする矢印に「半音」と記す。
ショージ「音階スライドのドから始まって、「全全半全全全半」の順番で……」音階スライドを指で辿る。「……選んだら、音階になる」
ハル「テンポよく覚えられそう。「全全半、全全全半」って」
ショージ。音階スライドをハルに渡す。
ショージ「そうだろう……」ちょっと、歌(ラップ)っぽく。「……ゼンゼンハン、ヘイ! ゼンゼンゼンハン!」
ハル。音階スライドを操作しながら、生返事。
ショージ「音階スライドを移動すると、黒鍵が音階に選ばれることもある」
ショージ。書棚から、童謡の楽譜集を出す。「曲は多様だけれど、完全終止という終わり方がある。「ああ、終わった」という感じがする終わり方だ」
ハル「はい」
ショージ「その時、メロディは主音で終わっている。この曲は、ラで終わっているから、音階スライドの「ド」を、鍵盤モノサシ「ラ」の鍵盤に合わせる」
ハル「ラがドなんですね。紛らわしいですね」
ショージ「では、紛らわしくないように、「音名」と「階名」の話も教えよう」
ハル「はい」
ショージ「音名は、ピアノの鍵盤に、マジックインキで書いて良いもの。通常は、英語、ドイツ語、日本語のどれかを使う」
ショージ。話しながら、鍵盤モノサシの白鍵に、英語の「C」「D」「E」……を記入する。
ショージ「階名は、この音階スライドで移動するから、鍵盤に書いてはいけない。通常はイタリア語を使う」
ハル「どの国語を使うかで、役割が決まっているんですね」
ショージ「その通り!」
吹奏楽の先生。微笑んで見ていたが、割り込む。「決まっているのではなく、どの国語を、どの用途で使うかは、コミュニティによって異なるので、会話では気遣いをしなさい」
ハル「はい」
吹奏楽の先生「ところで、この階名が移動するのは、良いアイディアだね。こちらを用いることを「移動ド」や「階名唱法」「ソルフェージュ」と言うよ。イタリア語のドレミを鍵盤に書くと、「固定ド」になるんだ」
ショージ「この歌は、Aで終わっているから、Aの鍵盤に、音階スライドのドを合わせる。すると、音階が黒鍵を使うこともある」
ハル「そうですね、いくつか白鍵からずれて、黒鍵になっていますね」
ショージ「そこで、この楽譜の調号を見る。「調号」は、ト音記号とセットになっている♯や♭だ」楽譜の調号を指す。
ショージ「この曲では♯が3つある。そこで、音階スライドを見ると……」白鍵の代わりに黒鍵を使う音階に、右上方向の矢印が3つ出現し、赤く点滅。「……ほら、右向きの矢印が3つだ」
ハル「おおーっ!」
ショージ「すごいだろう」得意気。ショージの鼻が、天狗のように伸びる。
ショージ「これが長音階。完全終止が、ドで終わると長音階、ラで終わると短音階」
ショージ「日本語で言うと、ドがイの鍵盤ならイ長調」
ショージ「英語で言うと、ドがAの鍵盤ならAメジャーのキー」
ショージ「ドイツ語で言うと、ドがAの鍵盤ならアードゥア」
ショージの正面の顔。ショージの説明の順に、上から3つの国語が出現し、ショージの顔が下に押される。
ショージ「日本語で言うと、ラがイの鍵盤ならイ短調」
ショージ「英語で言うと、ラがAの鍵盤ならAマイナーのキー」
ショージ「ドイツ語で言うと、ラがAの鍵盤ならアーモール」
長調の3か国語が左に寄り、右半分に同様に短調の3か国語。
ショージ。6つの調の呼び名の文字を蹴散らす。「まずは、全部の調号と、長調と短調の名前を、3か国語で覚えないとな」
吹奏楽の先生「こらっ。無茶を言うな」
ショージ「冗談です。すみません」
吹奏楽の先生「行く行くは、覚えるだろうが、九九の表とは違って、暗記は目的ではないね」
ハル「暗記しなくても、いいんですか?」
吹奏楽の先生「九九の表は、カラクリを知った後で、暗記しますね。暗記しておくと、日常生活で便利だから、そうしましょうと教えます」
吹奏楽の先生「でも、調号は、カラクリを知らされないまま、「調号と、調の名前のセット」を暗記しなさいと指導されることがあります」
吹奏楽の先生「調号を見れば、音階という、よく使う鍵盤がわかる」
吹奏楽の先生「よく使う鍵盤がわかれば、和音もその鍵盤をよく使う」
吹奏楽の先生「音階の主音がわかれば、曲の休憩や区切りによく使う和音や、終わりに向かってよく使う和音がわかる」
吹奏楽の先生「それらがわかれば、鍵盤を選ぶことに迷うことが少し減る」
吹奏楽の先生「という利点があります。調号を見て調の名前を言えることは、大切ではないのに求められて、素早く答えられないと勉強不足と言われてしまう」
吹奏楽の先生「調号と調の名前を暗記するだけなら、無味乾燥で面白くないんだけどなぁ。便利さやカラクリを、どうして隠しているんだろう」
吹奏楽の先生「「慣れれば自然に覚える」っていうんなら、これから弾く曲の調号を見て、資料を見るってことを、しているうちに、資料を見なくても思い出せるってのが、慣れて自然に覚えられるのだろうけど」
吹奏楽の先生「資料は、見て確認することで、便利さを利用できます。早く、資料を見なくても思い出せるのも良いけれど、資料を隠すのは自然じゃない。資料を見るのが面倒だから覚えようってのが自然だ」
吹奏楽の先生「ト音記号とセットの♯や♭は調号ですね。音符の玉とセットの♯や♭やナチュラルは、臨時記号と呼びます」背景に、音部記号とセットの「調号」と、音符とセットの「臨時記号」を表示する。
吹奏楽の先生「臨時記号があったら、ほとんどの場合、この音階スライドで選ばれなかった音が使われます」音階スライドを持ち、指でなぞる。
ハル「ということは、臨時記号で白鍵になることもあるんですね」
吹奏楽の先生「そうです。ナチュラルは必ず白鍵です。調号で、せっかく黒鍵を指示したのに、臨時記号に逆らって白鍵を指示することがあります」
吹奏楽の先生。鍵盤モノサシと、音階スライドを、改めて見る。「この道具は便利ですね。これをずらして調を変えるのを、「キーを上げ下げする」と言うね」
吹奏楽の先生「もし、キーを上げ下げする楽譜を書くという注文を受けるのなら、さっきのカラクリを知らないと、苦労するね」
吹奏楽の先生「キーを変えて楽譜を書き変えるのは大変だけど、この音階スライドでは、ずらした場所に対応する調号を添えてもいいですね。小窓を設けて、スライドで対応する調号が見えるようにするとかね」
吹奏楽の先生の背景に、想像した鍵盤モノサシと音階スライドを表示。
ショージ「なるほど、アイディアいただきます」
ショージは、鍵盤ドーナツも紹介する。「鍵盤モノサシと、音階スライド」に対応するように「鍵盤ドーナツと音階円盤」を教える。
ハルは、既に鍵盤ドーナツを知っていたが、音階円盤は、思い付いていなかった。単に、音階スライドを円形にしたものだが、謎解きの道具として役立つ。
次回は …… 【エピソード 026】 音階スライドで耳コピが楽に。調号の並び順は、平行四辺形っぽいが、ト音記号だけの事情。調号を見て音階スライドを合わせる裏ワザ。ヨナ抜きでアドリブすると。
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