第83話 隠匿
ええ、罰が下されました。
隠した所ですぐバレるので素直に自首する事にしました。
凄い大金を貰ったすぐ後の事なので何回も間違いじゃないかと確認されました。
本当なんです。常識が通用しないので困ってるんです。
「……そういう訳だから休んでる暇無くなったからな!あと、今回は初犯だから今までの功績を考慮して執行猶予にしてくれたけど、次やったらホントに監獄送りだそうだ。分かったら気を引き締めろよ!」
俺達の任務は暫くは無かったらしいのだが、流石にタダで金を渡すこともできないらしく無理くり任務を付けたらしいとの事だ。
あんだけ報酬渡されたら結構遊んで暮らせるだろう、と少しの間放って置くはずだったのに、急にこんな話が来てあちらの方ではかなり担当者が困惑したらしい。
「なんか王国内に俺達に不信感抱くのも出てきてるらしいから、任務位はしっかり果たすぞ。」
俺達の存在は一部の人間にしか明示されてないらしく、ハッキリと知っているのは上層部の一部だけらしい。まあ、マグ単体なら国内では多少の(迷惑を被った)人には知られていたのだが、怪しい研究員が更に訳の分からない者と徒党を組んでる状況に不安を覚えると訴えらることも多々有ったらしい。
「いいか、俺達がギャンブル場で騒ぎ過ぎて悪目立ちしてるとの報告もあるんだってよ。面倒臭いのは嫌だろ?少し大人しくするようにな。」
本当は目立つと俺の身が危ないからとは言えないけど。
この街のもっと先にある村で王国の部隊が任務に就いているらしい。俺達はその周辺で魔物やら獣やらを部隊の手を煩わせないように、できる限り掃討しておくとの事だ。任務の邪魔にならない様に、くれぐれも村の近くには寄ってはならないと通告を受けている。
まあ、俺達も話した事ない相手に対して協調性など持ち合わせていないので問題は無いんだけどな。
「何だよ〜、そこら辺にいる雑魚を倒すだけかよ〜。パッとしない仕事だなー。」
原因は金を使い込んだ俺たちなんだけど分かってくれないのかな?標的も目的も無い、正直必要の無い仕事をわざわざくれた事に感謝をして欲しいよ。
街を出る時にジャスが見送りをしてくれた。今回の件で今だにかなり責任を感じてる様子だった。
「すいません!すいません!わたしが競馬場なんかに誘ったばっかりに……本当に何かできることは何でもしますので、何でも申し付けてください!一緒について行って雑用でも何でもします!」
顔を合わせる度に平謝りを繰り返されるのだが、今回の発端は俺が間違って人の酒を飲んでしまった事である。言っておくが酒に弱いわけでは無い、あのジジイの酒が強すぎただけだからな。下手したら人ごと消毒して殺しかねないレベルだったぞ、アレは。
「あんまり謝られすぎても俺達も困っちゃうから本当にもう今ので謝罪はおしまいな。
ジャスは今までと同じようにしていてくれれば良いんだよ。また来た時にも研究を手伝って貰いたいのに、そんな顔してたら俺達が強制的に働かせてる様に思われちゃうからな。」
冗談っぽく言ったのだが本心なんだよな。俺達の怪しさは半端ないと意識しておかないとあらぬ疑いをかけられてしまうだろう。
「そうだよ〜、悪いのは人の酒をちょろまかしたアルなんだから気にしないで良いんだよ。」
間違えたって言ってんだろ?オマエにも飲ませてやろうか?バカディッド。
「あの日は楽しかったです!勝ち負けじゃなく熱く燃えた勝負ができたのが最高でした!次もまたジャスさんも一緒に燃えましょう!!」
火が着くのはアルコールだけで十分なんだよ、いい加減に大人になって止める側に回ってくれよ、デカガキめ。
「確かに研究の進展には君の力が必要不可欠だからね。こちらが依頼している以上、毅然とした態度で接して貰って問題無いよ。」
「マグが問題無いって言ってるかららもうここまでな。また来た時には顔出すから、その時は手伝いよろしくな。」
真面目で真っ直ぐなのは良いんだけど、融通きかない頑固さもチラホラ見えんだよな。ディッドなんかホントに何でもやらして潰しかねないだろうしな。人の心が無いから。
姿が見えなくなるまで見送られて何とも申し訳ない気持ちになってしまった。危険な事には変わりないので、絶対連れては行かないんだけどな。
「簡単に思えても仕事は仕事、きっちりこなしてさっさと帰ってくるぞ。」
暫く最低限の生活になるが、投獄されるよりかは全然良いからな。その内ちゃんとした案件が来れば財布も落ち着くだろう。
って、いつ迄こんな生活が続くんだ?進んでは戻り、進んでは戻り………いやいや、先ず一歩も進んでないよな………
そろそろ本気で将来を考えなきゃな。
………目指すは一般市民だ。




