表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/157

第42話『Resistance(叛逆の風)』 A part

 ルイス・ファルムーンが愛刀、紅色の蜃気楼(レッド・ミラージュ)さえ通じなかったルヴァエルの多彩な防御(色彩)

 鍵の女性ルシア・ロットレンから背中押された朧気(おぼろげ)な英雄ローダ。


 ガロウ・チュウマ一撃必殺の刃。

 見様見真似で成し得た示現我狼(じげんがろう)櫻華(おうか)、緑色の輝きで全て防いだルヴァエルの腕を遂に斬り裂く躍進(やくしん)()げた。


 漁村エドナを村毎半壊させたマーダの必殺剣、輝く真空の刃(アディシルド)よりローダが真似たガロウの示現が勝る疑問。


 さらにこれ迄は、争った相手の技や術を(かす)め取ったローダ・ファルムーンの候補者(おぼ)しき力の体現。

 ガロウと稽古(けいこ)すらしてない彼が櫻華(おうか)を振るえた理由の根源怪しい結実導いた。


 Forteza(フォルテザ)市の防衛システムも正常稼働へ戻し切れた。これで()()襲来、一連の騒ぎは取り敢えず解決に思えた空気。


「兄さん──状況が切迫(せっぱく)してたといえ、よくもその格好で俺の前に顔を出せたな」


 穏やかな語り口だが怒り満ち(あふ)れた弟ローダの爆弾投下(発言)。一挙凍りついた周囲の面々。

 地元ハイデルベルクの近衛騎士を全て殺害する事件を起こした挙句、騎士道にあるまじき国抜け果たしたルイスの大罪。

 例えマーダの意識支配があろうとも到底容認出来ぬ。それは尊敬してたローダだからこそ尚更。


「フフッ……何だ弟。まさか神童である僕と殺るつもりかい? 剣が折れたのに?」


 弟から浴びせられた静かな怒り。

 剣を構えず棒切れが如く手軽に握り煽り(あおり)返したルイスの(こぼ)れた笑み。(かたわ)らのフォウがローダを(にら)んだ連れ添いの怒気。


 ヴンッ!


 ローダ無言の答え。

 左腕を真っ赤に(たぎ)られせた手刀、己の肉体で示現我狼(じげんがろう)の滾る刃を具現化した怒りと覚悟態度に示す。


 再会成した兄へ向けた怒髪天(どはつてん)の様相。

 ルシア、彼女自身が嘗て(かつて)戦い()れた狂戦士(ローダ)との邂逅(かいこう)彷彿(ほうふつ)させた(うつ)なる震撼(しんかん)招き(まねき)入れた。


「止めてッお願いッ! 二人は血の繋がった兄弟なのでしょう!」


 兄弟の誓い、姉妹の契り(ちぎり)──何れも知らぬルシア涙(にじ)ます訴え。彼女は血縁の温かみを知らぬ存在なのだ。憧れの想い駆られた。

 ルシアがハイエルフすら(しの)美麗(びれい)漂わしながら精霊達と語れる姿で突如(とつじょ)Resistance(抗う者共)の中心に浮いたのは何故か? 世間が気付くべき幻影。


 そこに居るフォウ・クワットロが『こんな女見た覚えがない』と狼狽(うろた)えた。漁村へ夜襲掛けた(おり)、独り黒猫の(瞳孔)。我が物顔で暗闇と触れ合った幻想の片鱗(カケラ)


 バチンッ!


 構わず赤い手刀振り(かざ)したローダ無言の攻勢。腕と大剣が相まみえたとは思えぬ嘆き(なげき)の音轟く(とどろく)。想像絶する手刀の剣圧、女形匂わす美しさ(たた)えたルイス(マーダ)の顔、苦悶(くもん)(すさ)んだ。


 構わず叩き込むローダの手刀が二刀へ転ずる理不尽。

 ルイスは何故か紅色の蜃気楼(レッド・ミラージュ)片鱗(へんりん)語らず、凡庸(ぼんよう)であった弟の二刀が散らす赤を受けるだけの平凡へ堕ちた。


 ローダが両腕で現界(げんかい)させた紅の示現(次元)思わす太刀筋が辛辣(しんらつ)過ぎるのだ。ルイスの(いびつ)(大剣)Mirage(蜃気楼)へ転化させる(すき)与えぬローダ壮絶(そうぜつ)蹴った凄絶(せいぜつ)なる滾る(たぎる)舞。その姿、正に炎舞(演舞)


 ──な、何だこれは!? お前本当にあのローダなのか?


 ハイデルベルクにて互いに騎士目指し(くつわ)並べた少年時代。

 弟ローダは常日頃からルイスの背中追い続けるだけの()()()しかなき弱者であった。


 漁村エドナで足蹴(あしげ)にした示現流の剣士(ガロウ・チュウマ)

 斬り裂かず、すべからず叩き()()せる狂()、同様の力(にじ)ませつつ剣速は細身の剣(レイピア)、羽が如き()()。黒い神名乗りを置き去りにした。


 さらなる不条理が背中に残りし(彼女)(さず)けた風の翼、此れ(これ)に頼らぬ()()残した弟に辛み(つらみ)感じる兄ルイス。


 冴え(さえ)渡る弟、技の斬れ(キレ)──ルヴァエル戦で何故出し惜しみしたのか()に落ちぬ不可解。儚き白刃(セラミックの剣)枷成していたのか(リミッター成したのか)


「ルイス様ッ!」


男の間に(兄弟喧嘩だ)割って入るな!」


 己が男の危機(ひん)した姿見て愛(はら)んだ忠誠成そうと動いたフォウを叫んで止める暗黒神(ルイス)の強がり。


 さらに攻勢の速度(ピッチ)上がり往くローダの冴え、赤に染まるよもやな()加えた()()阿修羅(あしゅら)舞い、滾り(たぎり)が四方から襲い来る修羅道(六道輪廻)。死してなお戦い続ける地獄の沙汰(さた)思わせた。


 ルイスも神の矜持(きょうじ)──決して(ゆず)らず。

 大剣の届かぬ至近から蜘蛛(くも)の様に襲来し尽くすローダの赤。紅色をMirage(朧月夜)()する(いとま)なくとも交える巧妙(こうみょう)超えた奇妙(きみょう)なる剣で応える。


「兄さんッ! アンタ程の男がマーダに(あらが)わず負けるッ!? 一体何狙っているんだッ!」

「フンッ! 次は舌戦(ぜっせん)を挑むかッ!」


 蜃気楼(しんきろう)に為り切れぬ()──焼き尽くす断罪の炎燃やした真実の()

 流され()した英雄、()格以って神童(神の器)に挑み果敢(かかん)に覚悟の道()()()いた。


「舌戦ッ!? 言っても判らないアンタがッ!」


「ぐぅッ!?」


 一方敢えて望んだ漆黒(しっこく)の玉座、兄ルイスが感ずる(からだ)軋み(きしみ)。例え斬られずとも一方的に殴られる衝撃に(くすぶ)(こら)える兄の意地。


 ──なんて力だ。これが真実なる扉拓いた者!


 恋慕(れんぼ)寄せるフォウの手助け借りながら、弟の候補者としての力に肩並べたと安堵(あんど)してた己を叱咤(しった)したい気分に駆られたルイス。歯を食い縛る怒り。


「ぐぉぉぉ……ローダァァァッ! 他人から奪った力で逆上(のぼ)せ上がるなァッ!」

「負けるものかッ! 俺には仲間がッ……ルシアが居るッ!」


 どうにか盤上返す()の一手を刺したいルイスの苛立ち(いらだち)

 恐らく企み抱えた上で敢えてマーダを許容したと決め付けた弟、裏切られた想い全乗せする怒涛(どとう)


 ギュッ……。


 彼氏の神超えた攻撃を独り案じるルシア、静かに見守りながら拳を握る力に込めた祈り。

 女傑(ヒロイン)、鍵、そんな(ごみ)は捨て置きたい女の想いだ。ローダの()()、いよいよ躰が精神が保てるのか危うい動き。『兎に角(とにかく)無事で……』待ち続ける(焦がれる)心の(ともしび)揺らぐ。


『ルシアよ、アレがお前の()()()()男だ。力だけを押し付ける凡人に過ぎぬと何故思わん?』


「──ッ! ()()()()!」


 不意にルシアの脳裏へ直に響いた乾き切った老人の声。気が付けば空に立ち込める暗雲。


 自分を()()()者から受けた忠告混じえた()()()

 心の声──否、まるでルシアの脳裏へ(じか)に埋め込まれた()()()。 周波数帯、合わせる迄もなき頭ごなしが、思考を(なじ)るかの如く流れ込んだ。


 周囲の空気など意に介さぬ(くせ)──ルシアが容赦無き歯痒(はがゆ)さ込めた鬱憤(うっぷん)を吐き散らす。


「お父さんが望んだ()じゃない! 気に入らないからって勝手過ぎるよ! ならどうして私に愛する痛みなんか与えたのッ!」


 一体()()に訴えってるのか不明瞭(ふめいりょう)なルシアの叫び。天に届け、地へ轟け(とどろけ)──怒声を慟哭(どうこく)の涙へ変え、響けとばかりに感情ぶつけた。


『ぐっ!? 相手を殴り判り合おうとする愚者(ぐしゃ)を認める訳には往かん!』


「間違ってるって()()()としない父さんこそ哀れ(あわれ)だわッ!」


 暗闇の雲が降らす豪雨と轟き(とどろき)始めた稲光──。

 それに負けぬ(おとら)らずなルシアの涙雨。判らず屋な父の背中へ雷が如く刺さり往く。


 怯む(ひるむ)白髪の老人、AIが()()()()()なる跳躍(ちょうやく)成した彩芽(AYAME)から諭された『好きに振舞うAI』の件、窶れた(やつれた)頭中に渦を巻いた。

 挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ