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 ある丘の上の研究所に、小さな博士がいました。

 歳のわりに賢かった博士には、街に話ができるような友達はいませんでした。

 ある日、博士が夜空を眺めていると、ひゅんと流れ星が一つ通り過ぎました。

 その時、それはあらわれたのです。

「こんばんは」

 愛らしく笑ってみせた少女は、博士が初めて気を許せた人なのでした。

 不思議な少女は、不思議な話をします。

「私は、流れ星が流れた時だけ、少しの時間、博士の前に現われることができるのです。だから、夜が明けたら、博士のおそばにはいられないわ」

 少女の言った通り、次に目を覚ました時、博士の隣に少女はもういませんでした。

 博士はどうしても少女にもう一度会いたくて、必死に方法を探しました。

 そうして、博士はとうとうそれを見つけることができたのです。

 それは、こういった手順でした。

 まず、丘をおりて、浜辺で光を集めたガラス石を拾います。

 それを大切に持ち抱えて、研究所のある丘へ戻ります。

 それから、丘の上で地面に向かってガラス石をぱっと手から放つのです。

 すると、ガラス石がきらりと流れ星のように輝いて、少女もふっとその姿を浮かび上がらせるのです。

 博士は、いつ、何度でも少女に会える方法を見つけ出し、とても喜びました。

 少女も、博士とたくさん話ができることを喜びました。

 いつしか、博士は浜辺と丘とを行ったり来たりしながら、毎日少女と楽し気に話をするようになっていました。

 それは、嵐の日も同じことでした。

 博士はその日も少女に会おうと思い、浜辺へ下りて行きました。

 空は薄暗く、雨のせいでうまく目が開けられません。

 風は肺を圧迫し、波の音は耳を劈くようです。

 やっとの思いで、博士は輝くガラス石を見つけることができました。

 ところが、それを拾い上げようとしたとき、博士の顔に突然影が差しました。

 博士はあっという間に大波に飲み込まれ、ガラス石をぐっと抱えることしかできないまま、あっけなく流されてしまいました。

 やがて嵐が去ると、静かな空で爛々と星が躍り出しました。

 丘の上には、大きなガラス石の山だけが、星空にも勝る輝きを放ちながら佇んでいました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)

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― 新着の感想 ―
[一言]  小川未明(お嫌いだったら申し訳ない)のように、読後に、むなしいような、さびしいような感情が残ります。すばらしいと思いました。ボキャブラリーが貧困で申し訳ございません。  三部構成っていうの…
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