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2.お友達と、嫉妬。







「ミリア、お昼ご一緒してもいいかしら?」

「ナタリーさん! ぜひ!」



 さて、午前の授業が終了して。

 アタシはそそくさと、ミリアのもとへ移動して声をかけた。すると彼女は、その愛らしい顔に花のような笑みを浮かべる。

 そして二つ返事で了承してくれた。


 第一関門、クリア!


 アタシは心のうちで、大きくガッツポーズ。

 天使のような笑顔を浮かべる彼女にほっこりしながら、とりあえず食堂へと向かうことになった。この学園には学生用の食堂があり、一流のシェフが料理を振舞ってくれる。

 貴族の令嬢、嫡男も多く通うこの学園ならでは、といった感じだ。



「えっと、それじゃ――」



 到着して、アタシはメニュー表とにらめっこ。

 そして今日の昼食を選ぼうとした。その時だった。



「あ、あの。ナタリーさん……」

「どうしたのかしら、ミリア?」



 ミリアの声に振り返ると、そこには申し訳なさそうな彼女の顔がある。

 首を傾げているとミリアはこう言った。



「私、やっぱり遠慮します……」

「え、えぇ!? どうしたの!?」



 その言葉に驚く。

 突然どうしたというのだろう。

 もしかして、アタシに向けられている視線に気づいた!?



「えっと、その――」



 そう考えていると、ミリアは小さくこう口にした。




「お、お金がなくて……」――と。







「あ、ミリアって平民出身だったの?」

「あはは、そうなんです。すみません、黙ってて」



 テーブルについて、アタシとミリアは食事を摂る。

 その時になって知ったのだが、どうやらミリアは貴族ではないらしい。平民の生まれで、偶然にも魔力に目覚めたとか。そういえば、教員も特例って言ってたっけ。

 お金がないというのは、つまりそういうこと。


 彼女にとって、貴族が利用する食堂のランチは破格なのだ。



「でも、良いんですか? こんな美味しい料理をごちそうになって……」

「良いの良いの、気にしないで。アタシたち、友達でしょ?」

「ナタリーさん……!」



 料理を目の前にした今でもなお、遠慮しようとするミリア。

 そんな彼女に、アタシはあっけらかんとした風にそう伝えるのだった。するとミリアは感動したように、晴れやかな表情を浮かべる。

 そして、深々と頭を下げた後に手を合わせてこう言った。



「いただきます……!」



 少し緊張した様子で、一口。

 その直後、彼女は目を見開き――。



「ほわぁ……!」



 蕩けたような表情になった。

 どうやら、お口に合ったらしい。



「美味しいでしょ?」

「はいぃ……!」

「どんどん食べてね?」

「あ、ありがとうございます!!」



 その反応が嬉しくて、アタシまで笑顔になった。

 本当にミリアは可愛らしい。この子と友達になれて、本当に良かった。



 ……いや、まぁ。

 まだ周囲からの視線は、ちょっと厳しいけれど。



「まぁ、そのうち平気になるわよね」

「なにか言いました?」

「なんでもないわ、気にしないで」

「…………?」



 アタシの独り言が聞こえたらしい。

 ミリアは小首を傾げるが、アタシはそれを流した。



 アタシはもう悪役令嬢でも、その取り巻きの一人でもない。

 この人生をもって、その呪縛から逃れてみせる!




「頑張ろう、本当に……!」







 一方その頃、ガレリア。

 彼女は食堂の物陰からナタリーを観察していた。

 そして、その向かいに座るミリアを見て、こう口にする。




「泥棒猫……!」――と。




 悔し気にハンカチを噛みながら。


 公爵家令嬢――ガレリア。

 彼女の怒りの感情は、燃え盛る炎となっていた。



 


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