第43話「月影の姫、リアナと“愛の譲渡スキル”再び」
激戦を終えた蒼たちは、薄明の空の下、古都の門をくぐった。
そこは“月影の国”。
異国情緒と妖艶さを纏う城下町には、月光を模した灯りが揺れ、人々のざわめきとともに、どこか異質な気配が漂っていた。
「ここが……月影の都か」
蒼は胸元の鞭を撫でながら呟いた。
だがその視線は、どこか遠く、懐かしさすら滲んでいた。
「この空気、どこか知ってる……?」
「気のせいじゃないと思うわよ」
楓がすっと眼鏡を上げる。
「蒼ちゃんの中にある“異世界の記憶”と、ここの空間、すごく波長が合ってるみたい」
ZEROは無言で頷いた。
「やはり、“門”が近い。この城には何かがある」
そこへ馬車が現れた。白銀の装飾、月を模した紋章。
中から現れたのは、白いヴェールに包まれた一人の少女。
「お、お待ちしておりました! 護衛の方々ですね!?」
声を張ったのは、護衛隊長らしき男性だったが――
その背後から、姫がふらりと蒼に歩み寄った。
「あなたが……護衛の“忍”ね?」
「え? あ、はい……蒼、です」
姫はじっと蒼の顔を見つめ、――そしてその胸元へ視線を下ろした。
「なるほど。たしかに……逞しい、いい筋肉と……目のやり場に困るわね」
「ななな……なっ……!?」
一気に顔を真っ赤にした蒼の後ろから、紅の鋭い声が飛ぶ。
「ちょっと姫様! そこのおっぱいはわたしのものよ!」
「は? あなたのもの? 意味がわからないけど……好みは被ったみたいね、ふふ」
「ぶ、ぶっ殺す!」
蒼は両手を振りながら間に割って入る。
「ちょ、ちょっとまって!? おっぱいは俺のだし!? いや違う!! お、俺って今は女子だから余計わけわからん!」
「ふふ……」
姫は小さく笑って、蒼の耳元で囁いた。
「気に入ったわ、蒼。あなた、今夜、わたしの部屋に来なさい」
「へ?」
その夜――。
姫の部屋に呼ばれた蒼は、予想外の展開に巻き込まれる。
甘い香りと、柔らかなシーツ。姫のまとう香油の匂いが、鼻腔を刺激する。
「貴女に、何か……されるんですか?」
「されたいの? それとも、したいのかしら?」
「いやいやいやいや……!」
その瞬間――!
《スキル発動:“愛の譲渡”》
ふとした身体の接触、まさかの姫様の唇が頬に触れた瞬間。
再び蒼のスキルが発動し――
姫の胸元が、ふくよかに膨れ上がった。
「……っ!?」
「な、なんか……すごく……重い……?」
「わあ! またやっちゃったんだ!」
楓が駆け込んできて叫ぶ。
「蒼ちゃん、だからスキルは制御しなきゃって……」
紅も鼻息荒く乱入してきた。
「姫にまでおっぱい付与してどうすんのよぉぉおおおお!!」
再び巻き起こるドタバタ温泉襲撃騒動(今度は浴衣Ver)。
蒼は一体、何人に“愛”を付与するのか……!?




