第9話:任務開始!くノ一たちの潜入捜査と、湯けむり騒動!?
夜明け前、任務のために忍び装束へと着替える蒼たち。
蒼は相変わらず装束の胸元を無駄に引っ張りつつ、溜息をつく。
「なんでこの装束、胸元がこんなピッチリしてんの……わざとか?」
「任務に“揺らぎ”は必要だよ。視線誘導ってやつ」
楓が真面目な顔で言ったが、胸元のボタンをギュッと締め直すあたり、説得力が薄い。
今回は、山奥にある湯治場“月影の湯”に潜入する任務。
どうやら“温泉水に奇妙な呪印が浮かぶ”という報告があり、異界からの侵食を疑われていた。
「つまり、忍んで、浸かって、探るわけだな」
蒼が鞭を肩に担ぎながら言うと、
「違う。ちゃんと任務に集中して。浸かりすぎないで」
紅が真顔でツッコんだ。
◆◇◆
月影の湯――。それは静かな山中にたたずむ湯宿。
だが蒼たちが潜入した夜、なぜか男湯と女湯が“混浴状態”になっていた。
「ちょ……え、まさか、私たち女湯に来たよね!?」
「違う意味で敵の術かも……?」
「ひぃっ!? あっちに男影がッ……!?」
焦る蒼は自分の鞭をうっかり湯中に落とし、
鞭は蒸気を吸って“薔薇棘モード”へと自動進化。
ツタのように巻き付いた鞭が、紅の腰にからまり、楓の胸をすくい、ZEROの脚を絡め――
\ズルッ!!/
「きゃあああああああっ!!?」
ドッシャアアアアン!!
蒼たちは“湯船に全員まとめて沈没”という、任務開始にして最大の危機を迎えた。
「うわぁぁ……! ごめん!! 湯のせいだ!! 湯のスキル進化が悪いんだ!!」
「……バカ。///」
「(記録:全員、任務前に湯没)」
「お湯の温度、42.3度……ふふ、悪くないです」楓だけが満足げであった。
◆◇◆
だが――その夜、湯宿の奥、誰も入らぬ“封鎖された旧浴室”に、ひとつの気配が目覚める。
禍々しい蒸気が吹き上がる中、そこに立つは異界より現れし、封じられた“忍魔”。
「……目覚めの時か。くノ一の気配……ふふ、面白い」
月影の湯に、本当の試練が迫っていた――。