1-3 初陣
ぽろぽろ、ぽろぽろと崩れていく。
人の形をしたそれは、全てを癒すその力の前に、跡形もなく崩れ去る。
人の形をしたそれを、ぽろぽろ、ぽろぽろと崩して走る、その少年は、
「成仏させたげるって話だけど、人の形も残らずに消えるってなんか見てて悲しいな!」
甦──否、“ヨミ”は、自身の魔力を解放しながらそう言って、地獄と化した村を駆け回る。
「アンデッドとされてしまった者達は、こうする事でしか救うことが出来ない。僕達に出来るのはこれ以上の犠牲を出さない事だけだ。」
「なんかすっげぇ心の痛い仕事だな! 人を助ける為に元人間消すの割と辛めなんだけど!」
「頼んだのはあたしらっすけど、手伝うって言ったそばからぼやかないで下さいよ。結構この村の命運懸かってるんですから。」
聖魔導士の隣を並んで走るのは、勇者を名乗る“ライク”と、付き魔法使いを名乗る“ユラ”だ。
「ヨミ、あそこの角を左に。二人いる。」
「ライクさんやっぱすごいね?! 敵を見分けるって言ったけど場所も分かるのね!」
「勇者様は勇者様なんですから、勿論勇者様としての力が使える勇者様なんですよ。」
「構文が訳わっかんねぇよ!?」
この世界に召喚されてからの情報量が多すぎて、処理しきれていない状況での初戦闘。仲間との掛け合いも大事だとは思うが、会話がかなりぐちゃぐちゃである。主にヨミとユラ。
「とにかく二人とも落ち着くんだ。魔法は集中力を使うからな。」
「おちおち落ち着けるかっつーの!」
両手を前に構えて、同時撃ちはまだできない為右手と左手から順番に光の魔力を放出する。
両手から放たれた光の矢は、優しく死者を包み込んでいく。頬を撫でるその輝きに、身体が形を保てなくなる事にも気付けずに飲み込まれる。
天へと還る死人の表情は、人を何人も殺して歩く魔物の面影はなく、どこか今の瞬間を待ち望んでいたかの様だった。
この光景は、何度やっても慣れそうにない。新米聖魔導士はそう思うのだった。
そんな事を考えていた所に隣から声がかかる。
「ヨミ、まだ魔法は使えそうか?」
「え? おう、まだまだいくらでも使えるぜ?」
「ふむ……君は本当によく解らない人だね。」
「え、なんか突然罵倒された気がする。」
ライクの質問の意図が読めずに、困惑するヨミ。
「いや、そうじゃないんだ。普通、アンデッドを還すだけの魔法はかなりの魔力を使う。一体どこからそんな量の魔力が出せるのか、と思っただけだ。」
「あ、それあたしも思ってました。めっちゃ乱発するじゃないですか。十何人か還して、ついでに何発か外してますし。」
「外したとか言わんでよ、初めてなんだから。」
とりあえず、二人が言いたいのはこの世界でのMPの様な物の事らしい。今までこの力は自然発生だったから底とかはあんま解らないのだが、なんとなく幾らでも魔力が湧き出てくる感覚がヨミにはあった。
「やっぱこれも、異世界召喚者の秘めたる力ってとこかな。」
「まぁ、平気なら良いんだ。稀に命を削って魔法を使う、なんてケースもあるからね。」
「こっえぇよなんだそれ!」
「そんな魔法はそう無意識に出るものでもないし、血を噴いたりもしていないから大丈夫だろう。それより、向こうに魔物の群れがいる。数が多い、慎重に行こう。」
「なんか色々危なっかしいな……。」
この世界には危険な魔法使いがいるものだな、と思うと少しばかり怖かったりする。死んでるらしいけどね、俺。
ライクの敵探知能力で、敵の軍に突っ込んでいく。アンデッド達を何とかするのはヨミの仕事なので、先頭で大勢を相手にする羽目になる。中々に恐怖なのだが、ヨミのテンションがかなりハイになってきている上に謎の自信がついてきているせいか、勢いよく土を蹴り進んでいた。
走る三人の視界に、5,6体のアンデッド。それを見たヨミはすぐに両手に魔力を籠める。
「うぉらぁぁっ!」
伸ばした手から放たれた魔法は、見事二人のアンデッドに命中する。
だが、まだ残っているアンデッドがこちらに気付き、だらりと下げていた剣を構える。まだ人の肉と皮が残っている者と、骨だけになった者がいた。骸骨と化した死者は、どれだけの間魔物として身体を利用されていたのだろうか。
「新米アンデッドとベテランアンデッド、まとめてご冥福お祈りだぁぁぁーーっ!」
再度手に魔力を籠めるヨミ。しかし、その後ろから、
「ヨミ、気を付けろ! まだ沢山近くにいる!」
ライクの声が響く。その叫びに応えるかの様に、四方八方から死者が顔を覗かせる。
「おいおい、冗談済ませっつの……」
それは、丸い小さな広場の様な場所だった。その円の中に入ったヨミ達は、二十体以上ものアンデッドに囲まれてしまっている。
それは、今アンデッドに対抗出来るのが魔法を二発ずつしか打てないヨミ一人という状況に最悪の展開だった。
「これは、どっか近くに親玉的なのいそうですよねー。どうっすか、勇者様。」
「この村に特別力の強い魔物の気配は無い。一体どうなって……?」
魔物は、基本は単体で行動する生物だ。群れで行動するのは、幾つかの種族と、『魔王軍』から組まれた隊くらいのものである。そして、隊には必ずその魔物達を統べる長が存在する。
だが、今ここにいる群れにその気配は感じられなかった。
「何かぶつぶつ言ってるのはいいから! 死ねるよ、これ!?」
「そうだな、ここは一旦道を切り開くしかないか。ユラ、頼めるか。」
「勿の論々っすよー。勇者様の望みとあらば、いくらでもっす。──『顕現』」
ユラは、手を出し短く何かを詠唱する。瞬間、ユラの手元に光が現れた。光はあっと言う間に細長い形を形成し、ユラの手の中には魔法の杖が『顕現』する。
「なんだよそれ、かっけぇな!」
「──ユラ、いくぞ!」
「はーい、っす!」
ユラは正面に杖を掲げると、左手で魔女帽を押さえて魔法を唱える。
「──『焔』」
杖の先端が、業火を纏う。ヨミの目には、それが雄大に咲く薔薇の如く美しく映った。
真っ赤な薔薇の棘がアンデッド達へと突き刺さる。矛先にいたアンデッド達は焼け落ちた身体が吹き飛ばされる。
「道、開けました。急ぎましょ。」
「ヨミ、早く立ち去ろう。」
「お、おう……」
ユラが開いた道から、三人はその場を離れる。何体かのアンデッドは後を追ってきたが、ヨミの魔法やライクの剣で撃退する。
「勇者様、あの建物! 見たところ壊れてなさそうです!」
「家の所有者には悪いが、お邪魔させてもらおう!」
三人は急いで建物の中に入り、鍵をかける。壁に剣の刺さった様な跡はあるが、まだ誰が見ても雨を凌げる家と言える形は残っていた。
「うへぇ、撒けたのか? これ。」
「接近する魔物の気配は無くなったみたいだな。」
「でも、どうするんすか。あれ分散させて戦わないときついっすよ。」
「瓦礫の裏から、ちまちまとヨミさんビーム撃ちましょうか。」
「なんすか、そのダサい上に恥ずかしい技名。」
「はいすいませんね!」
そうこう話していたヨミとユラ。だが依然と危険な状況は変わらない。
──突然家の奥の方から、コトリと音が聞こえる。真っ先にライクが警戒の姿勢に入る。
「何だ?」
そうライクが呟いてすぐに、家の奥からも声がした。
「く、くるなぁ! ぜったいに先へ進ませるもんかぁ!」
それは、子供の声だった。微かな勇気を振り絞った声に、ライクは警戒を解く。
良く見ると、電気の消された部屋の奥に、小さな人影があった。男の子だ。逆さに構えたモップの先には、フォークが括り付けられている。彼なりの対抗手段を尽くしているのだろう。
「悪い悪い、勝手にお邪魔しちまった。俺達はわるぅい魔物じゃあねぇよ。なんせそこに居るのは勇者様だからよ。」
魔物だと警戒されていると察したヨミは、素早く誤解を解こうと話しかける。
「ゆ、勇者様ぁ!?」
「あぁ、そうだよ。そんでその隣に居るのが付き魔物使いってのらしいぜ?」
「……ほんとうなのかよ?」
「子供にしちゃあ上々な警戒心じゃないか。この世界はそんぐらいじゃないと生きていけねぇのか?」
ちゃっかり距離を詰めていたヨミは、少年の頭をわしわしと撫でる。
「うぁ」
「まじだよまじ。だから、ちょっとでいいからここで作戦練るくらいはさせてくれねぇかな。」
「本当に勇者様の仲間だってんならいいけど……」
「テトル! 何かあったの!?」
その時、階段の上の方から足音と声が響く。
「お、また新キャラ増えたか。初めまして。」
暗がりから現れたのは、ヨミと同い年か少し下くらいの少女だった。
「えと……初めまして。テトル、こちらは?」
「勇者様と仲間の人達だって。」
「えぇっ!? 大変、何にもお出し出来ない……」
「いや、僕達が勝手に人の家に上がってしまったんです。申し訳ない。」
「とんでもない! 貴方があのライクさんですか。」
ヨミに変わってライクが話に出る。
「何、あいつ有名人なん?」
「そりゃあ勿論っすよ。勇者様は代が変わる毎に国中に大々的に報道されますから。」
勇者も大変なんだなぁ、と自分の知っている勇者像と重ねてみる。
「俺の知ってる勇者……あれ?なけなしの金と棒切れだけ持たされて魔王倒せとか命じる王いないだけマシ?」
「どこの王っすかそれ、自分の国どんな財政難に陥らせたらそうなるんすか。」
「そういう事なのか?」
他国の勇者の苦労をしみじみ思う傍ら、有名勇者のライクは少女に話を聞いている。
「一応、改めて自己紹介を。僕はライク。この村の魔物の襲撃を聞いて来ました。」
「わ、私は、テトラです。こちらは、弟のテトルで……」
「なるほど、良い弟さんをお持ちで。」
ライクは少年、テトルの方に微笑みかける。それを感じてテトルは姉の後ろに下がるが、先程までの警戒心は無くなった様子だ。
「え、何。魔物倒す為に来たの? 道中で俺拾わなかったらあの人達どうやって対処してたの、聖魔導士必須じゃないの。」
「そーゆーとこにいちいち突っ込まなくていーんですよ。こっちだって情報が少ないんですから、まさかアンデッドまみれだとは思いませんでしたし。」
「ええと、そこで喋ってる二人が僕の仲間で……」
「どーも、あたしはユラっす! 勇者様の付き魔法使いっすよー。」
ライクに話を振られて意気揚々と反応する。
「へぇ、貴女が今代の。それで、こちらの方は? 今は付き魔法使いが一人しかいらっしゃらないと聞いていますが。」
「俺か? 俺はヨミってんだけど。どっちかって言うと、付き魔法使いについての解説が欲しいんだが?」
ヨミは、自己紹介もしようとは思うが、これまでの話でも度々出てきていた『付き魔法使い』というものが気になり聞いてみる。
「え、てっきり知っている事かと。すまない。」
「非常識っすね。」
「なにか、悪い事聞きました?」
「……やっぱり、お前が勇者様の仲間なんて最初から信じてなかったし。」
「俺絶妙に傷付くよねこれ。」
何気ない質問への回答が、この場の全員が各々の言葉でヨミにダメージを与える。
この世界で『付き魔法使い』というのは一般常識らしい。知るかそんなもん。
「付き魔法使いというのは、毎世代の勇者が魔王の討伐に向けて側に付ける、二人の魔法使いの事だ。」
「でも、まだ勇者様の付き魔法使いは現時点あたし一人しかいないっす。世間一般にもそう報道されまくってると思いますが。」
この世界の報道とか聞いたことないんですがね。あと、この話と俺の状況で先の未来がちょっと読めた。
「付き魔法使いってのはよく分からんが、まぁともかく俺はわるぅい魔物じゃないんだって。俺はれっきとした……」
人間、と言おうとした。だが、それを言おうとするが、何かが喉につっかえる様な感覚に声が出なかった。自分は人間ではない、なくなってしまったのだ。
だから、ヨミにはそれは言えなかった。今の自分は『甦』ではないのだから。
「──そうだな。『良い魔物』とでも紹介しておくさ。取って喰ったりゃしねぇから安心しろよ。」
ヨミは再度テトルの方に向き直り、手を伸ばす。
「良い、魔物……?」
「そうそう、そうらしいぜ? でも、俺は外の魔物共の敵で、お前らの味方だ。何があろうと、ケガなんかさせねぇよ。」
ヨミはテトルの手に優しく触れる。テトルには、その感触がとても不思議だった。
ヨミの手は、死人の様に冷たい。肌はそう感じているはずなのに、身体の内側から暖かくなるこの感覚。自然と今までの緊張感や強く握っていた手の力が抜けていく。
テトルは今、目の前で『魔物』と名乗った男がとても『魔物』とは思えなくなっていた。
『聖魔導士』ヨミの本人すらも知らない力の片鱗を直接感じとったテトルは、ヨミを見返して力強く手を握り返した。
そのテトルの反応に、ヨミも深く頷く。
「ま、そういう訳でよ。今は協力してほしいって話だ。どうだ?」
「……わかったよ、協力、する。」
「そうこなくっちゃな!」
「で、ですが、私達に出来る事はあるんでしょうか……?」
「おんおん、いま家入れてもらってる時点で中々にありがてぇけどな。まぁそれは置いといて、村の地図とかねぇ?」
「地図? ありますけど……」
そう言って近くの引き出しを開ける。その中から綺麗に折り畳まれた地図が取り出された。
「村の地図を見てどうするんです?」
「そらもう、戦は情報が命ってよく言うからな。敵がどんなとこに居るかってのは、大事な情報だと思うぜ?」
人差し指を立てて力説する。再び戦場に突っ込んで、さっきの様に突然周りを囲まれては元も子も無い。
「つーわけで、ライクレーダーの出番な訳だ。」
「成る程、その呼び方に疑問はあるが、そういう事なら。」
ライクは、自分の能力を使いながら、テーブルに置かれた地図と照らし合わせる。
「やはり、先程の広場に何十体も集まっている。あそこを中心にして動いているらしいな。」
「やっぱそうか。一網打尽にぶちかませたら楽なんだがな……。」
そう言いかけて、一つヨミに考えが浮かぶ。
「そうだ、ユラ。さっきの炎で皆火葬みたくできねぇか?」
「そいつは無理っすね。」
「おっと、結論までが早い。そして、その心は?」
「アンデッドを鎮めるには、光の魔力しか無いんです。死体を殺しても死体しか残りませんからね。それが例え、動いていたとしても。」
ユラはそう語る。広場から逃げる時に炎に直撃を受けたアンデッド達も、まだ動き続けているということだろう。
「ま、色んな魔法が使いこなせる器用な人なら出来るかもしれませんね。炎と光の同時撃ちっす。」
「そんじゃあ駄目か。やっぱり俺がやらねぇとなのかよ……」
最終的には、そういう結論に至る。ヨミ以外にはこの惨状を止める事はできないと、改めて教えられた。
ヨミの力が必要となるならば、自分を守る術を持たないヨミには作戦は必須だ。ヨミは打開策を求めて地図を眺めていた。
恐らくこの家であろうかと思われる所には赤い印が付いていた。その近くに、目に留まるものがあった。
「こいつは……?」
「これは見張り台です。町のあちこちに設置されていて、犯罪や事故などを監視しています。」
「なーるほーどね。これ、使えそうじゃない?」
「敵の状況なら、勇者様の力で楽々丸見えじゃあないっすか?」
「何も見張る為に使うんじゃねぇよ。見張り台ってのは高い所にあるもんだろ? そりゃあ見渡しの良い所ってだけじゃない筈だ。」
「地上からの攻撃に有利、ですか?」
「テトラさんご名答。俺のへなちょこビームでも、結構真っ直ぐ飛ぶんだぜ?」
「じゃあ、つまりヨミは高い所から一方的に狙撃しまくろうって話ですか。」
「若干人聞きの悪さは感じるけども、作戦ってやつだよ。」
「成る程、だがアンデッドは既に全域に広がっている。待ち伏せなんかしていては、村が持たない。」
「まぁ、そこはライクレーダーとユラの魔法でなんとかこっちまで誘導してきてくれよ。ここは広場から近いし、あいつらの集まりが崩れたら状況も変わるだろ。」
「全くもって信憑性の無い言葉っすね。でも、聖魔法使える奴に死なれたら困りますし、安全圏で戦うのも良いんじゃないですか?」
ユラが、ちらりとライクの方を見る。
「今できる策は限られる。取り敢えずはこの作戦でいこう。」
「うっしゃ、決まりだ。お前らはどーするよ? 悪いけど近所の見張り台にあいつら集めるから、ここん家の前はこれからアンデッドホコテンだぜ。」
「突然押し掛けといてひでぇ話っすね。ま、危険なのは確かなんで。ヨミに付いてくのが一番安全だと思うっすよ。」
「わ、わかりました。」
「んじゃ、行くかね。これより『ヨミさんは安全圏でちまちま狙撃してるから勇者様方は危ないとこで頑張ってね作戦』を決行するぜ。準備はいいか?」
「まだ許せる作戦だったのに急激にやる気が削がれる名前付けないで下さいよ。」
ヨミはその問に爽やかな笑顔で応え、静かにドアノブに手をかける。
「いや、無言で行こうとしないで下さいよ。」
「気を付けろよ、ヨミ。僕とユラが敵の誘導をするとなれば君自身が戦わないといけない。テトラ達にも、怪我を負わせる事は無いようにな。」
「ああ、わかってるさ。無傷でいる、無傷でいさせるってのは、俺の昔からの得意分野だからな。お前こそ、囲まれて後ろから首ちょんぱなんて事無いようにな。」
ヨミは振り返り、ライクに拳を突きつける。それに、ライクは少し驚いた表情をし、それから笑顔で拳を合わせる。
会わせた拳を離し、その手を開いて眺める。
「──このような約束事も、良いものだな。」
「男の約束ってやつさ。こうなったからには、約束破ったら針千本だ。負けんなよ。」
「ふ。これでも僕は勇者だ。そのような痴態、一般人の前で晒せるものか。」
「やっぱ、有名人ってのは大変だこと。」
ヨミは、もう一度ドアノブに手をかけ直す。
息を吸い直し、深くそれを吐き出す。深呼吸とは不思議なものだと思う。これをするだけで、迷いまで吐き出して何でも出来る様な気分になる。
「っしゃぁ! 今度こそ作戦決行だ!」
ヨミは勢いよくドアを開く。ライクとユラは先程の広場の方へ。ヨミ、テトラ、テトルは二人と逆の方向へと走り出す。
「勇者様、どうかご無事で!」
「あたしの勇者様は、あんなちゃちなのに負けませんよ!」
「君はよく僕のハードルを上げていくな。ヨミとの約束もある、元よりそのつもりだ!」
「お土産の群れ、待ってるぜ! 俺が捌ききれる量ずつで頼むぜ?」
ライク達との別れを言い、それぞれの場所へと向かう。
これより、ヨミは見張り台に立つ。
ヨミの初陣の舞台となる城に。
回を追う毎に語彙力が下がっていく物語、3話です。
ヨミさんはじめてのたたかいです。モブ姉弟の名前が雑な上に台詞が少ないのは御了承、まだちゃんと出番あると思うので。
それでは皆さん、おやすみなさい。