第3章 藍色の夜景に(初杉ジロウ編)中編
――――みやくる荘 玄関――――
虹谷アヤ
「それで…………。結果は大丈夫だったのね?」
真瀬志奈
「ええ。なんとか実習には行けそうだと思うわ。」
虹谷アヤ
「良かった…………。あの子も心配していたのよ。学務課も心配させる出来事を…………。」
アヤは少し苛立ちと心配を混ぜた様子があったが私のことでホッとしていることは確かだ。
真瀬志奈
「とりあえず音楽部屋を使うわね。ジロウの演奏を聞いて私も奮起しないと。」
虹谷アヤ
「…………わかったわ。頑張ってね。」
カギを借りて音楽部屋に向かう。
――――みやくる荘 音楽部屋――――
着いた私は、ジロウの演奏を思い出す。あの実力なら…………この演奏を難なくこなせるだろうと思い、アレンジを加える。
真瀬志奈
「よし…………これで…………。」
するとそこにジロウが入って来る。
真瀬志奈
「ああ。ジロウ。ちょうど良かった。」
初杉ジロウ
「志奈さん。なんとなくわかるよ。アレンジを聴いてほしいんでしょ?」
真瀬志奈
「ええ。お願い。」
私はアレンジした曲を演奏する。
演奏が終わった。ジロウの反応は…………?
初杉ジロウ
「さすが志奈さんだ。僕の予想を上回るアレンジ。でも…………その期待に応えることができるのは…………僕だけだ。」
ジロウは楽器を手に取り、アレンジ曲を演奏する。
無駄のない演奏だ。やっぱりジロウは天才ね。
真瀬志奈
「さすがジロウ。この曲はほぼ完成ね。…………明日は講義もないし、とことん練習に付き合ってもらうわよ。」
初杉ジロウ
「どんとこいだよ。志奈さんの力になれるなら!」
真瀬志奈
「ええ! やるわよ!」
私たちは夜通しでアレンジの練習を行った。そして…………。曲が完成した。
真瀬志奈
「完成したわね…………。」
初杉ジロウ
「そうだね。…………あとはこの曲のデータを送るだけだ。」
真瀬志奈
「ええ。送るわよ。」
パソコンから声優さんにデータを送った。これで…………私たちの任務は完了と言ってもいい。
真瀬志奈
「はあ…………終わった…………。」
初杉ジロウ
「あとは声優さんが気に入るかどうか…………。」
真瀬志奈
「大丈夫よ。きっと気に入るわ。」
初杉ジロウ
「…………そうだよね。自信なしの僕が悪かったよ。僕らなら最高の曲ができるんだ。絶対に認めえてもらえるよ。」
真瀬志奈
「ええ。ジロウと私は最強のパートナー。前の曲を作ったときもジロウがいてくれたことで成長できた。」
初杉ジロウ
「志奈さん…………。」
ジロウは思い出に浸り、語り始めた。
初杉ジロウ
「最初は志奈さんのことが憎かった。コンテストで受賞をして、色々な人に作曲依頼をされて…………。でも志奈さんと過ごしてきた1年間で志奈さんのことを知っていくうちに志奈さんのことを尊敬していた。そして…………そばに居たいと思っていた。本当に志奈さんがいなかったらくすぶっていたかもしれない。音楽すら憎い存在になったかもしれない。今なら志奈さんに出会えて良かった。心からそう思うよ。」
真瀬志奈
「ジロウ…………。」
初杉ジロウ
「志奈さんと作った曲は心に残る。この曲をまた作れるとき、僕は嬉しく思った。また音楽を好きになった。この曲も前回作った曲だって…………みんなの心に残る。そんな曲にしたい。この曲はとても大切な曲だ。」
真瀬志奈
「そうね。私もこの曲が大好き。ジロウとの大切な曲…………。」
するとパソコンからメールの受信音が鳴る。




