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その②

車が走り出した。彼はエアコンを切り窓を開けた。風が心地良い。夏の終わり、風はもう、多少控えめな "秋の風" だ。


つまり話をまとめると、ワタシは彼の事、まだ何も分かっていないって事だな。何しろまだ手すら触れてない。肩すら抱かれてない。


ワタシが今、彼に対して唯一行ってる事、それは運転する彼の横顔を、ほんの少しだけ長めに眺める事ぐらい。助手席の特権。風景を見るフリをして、そのまま彼の横顔をぼんやりと眺める。


彼の細い指がハンドルを握る。左手の人差し指だけピンと伸ばしてハンドルを握るのがクセのよーだ。そのスラリと伸びる白い指、実に優雅でしなやか。


そんな感じで、彼が触れたものは不思議と全て高級なもののように見えてしまうのだが忘れちゃいけない、



これは配達バンだ!



今握るハンドルも配達バンとかでよく使われる、安素材で作られたと思われるチープなプラスチックハンドル。たぶん歯ブラシの柄の素材(それも旅館とかに置いてあるやつ)と似たような素材で作られているのだと思う(推測)


ただ、彼が握ると不思議と "素敵な絵" が出来上がってしまうところが、ワタシとしてもいささか納得ができない。光線だなぁと。光線の後光だなぁと。


恋ってスゴイなぁと思う。全ての判断基準を棒引きにしてしまう。


配達バンでやってきた時は、ゲ!と思ったよ。ただ、彼の透き通るような瞳やら、髪の毛やら、まぶたやら、指先やら、肩やら胴体やらを見ていたら(全部じゃん)だんだんそんな事、どうでもよく思えてきてしまった。


ワタシの中で勝手に何かがふわふわ浮かび上がってくる。それが体全体を支配し、指先の感触、足先の感触、髪の毛の先にまで、なんだか柔らかい空気が広がってしまう。もうワタシの目と脳は正常でないんだろうなぁとつくづく。


「喉乾いた?」と聞かれたので、「うん」と答えたら、湯のみが出てきた。


やっぱりなぁ…


「名店鮨処あつ賀の湯のみ!すごいっしょ!」と彼。


ワタシの中にいる "いろんなワタシ" が、その時一斉に葛藤を起こしたが、(名店鮨処あつ賀って何だかよく分からんが、恐らく寿司屋の名店なんだろう+とゆーか、名店鮨処あつ賀を "皆が知ってる共用語" のようにサラリと言うのは何故?+とゆーか、別に普通の湯のみでは?等)とりあえずワタシは「へー、スゴイねぇ…」と、なんともいやまぁ、当たり障りのない言葉で返した。いやぁ・・そんなに気の効いた事、咄嗟に言えんって…。


「あとおしぼりもある。」


「寿司屋の?」


「もちろん!」




…うーん。。。




(続きます!)

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