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青春挽歌  作者:
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「え~~~っ!

じゃあゆうちん歓迎会並びに義務教育修了記念パーティーを始めたいと思いまぁす!

かんぱぁ~~い!!」

羽根井覚の音頭と共に、皆の手に持つグラスは打ち鳴らされた。

中には藤村教諭お手製の「おれんじじゅぅす」が注がれている。

最後という事もあり、食事は「ぱぁてぃ」仕様なものであった。

ちらし寿司に「さんどうぃっち」や野菜の冷製「すぅぷ」、「ぽてとさらだ」に「ふるぅつぽんち」、極め付けには七面鳥が一羽まるごと卓袱台の上にでんと据えられている。


「義務教育修了の祝いの席では、いつも一羽絞める事にしている。」

というのは藤村教諭の言である。

藤村教諭が片手を見せてそう語るのは、おそらくその手で絞め上げたからであろう。

おそらく一瞬の出来事であったに違いない。


「という訳で、早速我が姫みするちんからゆうちんにキスをしちゃってくださぁ~い!」

とちらし寿司用のしゃもじを「まいく」代わりに、羽根井覚が「ぱぁてぃ」を進行させる。

さながら王様「げぇむ」を進めるちゃらい若人のようである。

真菜月みするはぶぅっと冷製「すぅぷ」を噴き出した。

「げぇ!俺のメシがぁ!」

と入橋圭が悲鳴を上げる。

それは思い切り取り分けた入橋圭のちらし寿司の上にぶっかけられていた。

「お前のせいだ、ハネー!」

と入橋圭が羽根井覚の顔に冷製「すぅぷ」をぶっかけた。

「何すんだ、けぇ!

鼻入ったろが!」

と今や取っ組み合いを始めている。


「もう…海賊の食事じゃないんだから…。」

白石雅はあきれ顔をして食事を進める。

「おい、圭、覚くん。

あんまり騒ぐと―――たッ!」

多喜勇治はとばっちりで羽根井覚の振り回すしゃもじに鼻頭をぶつけて悶絶した。


「……お前達も七面鳥になりたいか?」


その一言に入橋圭と羽根井覚は、ぴたりとじゃれあいのような喧嘩を停止した。

勿論声の主は藤村教諭である。

自分のお手製の食事を粗雑に扱われ、かなりご立腹である事は明白だ。

こめかみにぴくぴくと浮き上がる青い血管の動きが、その怒りの情動を表しているようでとても恐ろしい。

藤村教諭の手元の皿にはちらし寿司が盛られていた。

いつものように「ふぉく」と「ないふ」で食事を進めている。

思えば藤村先生は洋食和食を問わず、この二つで食べていたなぁと真菜月みするはぼんやり思った。


「食事は静かにするものだ。

しかし本日は最後のパーティーでもある。

節度を持って戯れる分には多くの事に目をつぶろう。」

と藤村教諭が、一応の無礼講宣言を発令する。


(中途半端に難しい事言うなぁ…。)


そこにいる青春男女の誰もが思った。



「じゃあキッスキッス!」

とあまり空気と危険の読めない羽根井覚が、またまた気を取り直して真菜月みするをはやし立てる。

「………う。」

ちらりと気まずそうに真菜月みするは多喜勇治の方を見てみると、ちょうど多喜勇治と真菜月みするの瞳はぴたりと一致した。

多喜勇治はぽぽぽという擬音が似合いそうな変化を見せて、その顔色を真っ赤に染め上げていた。

さっと真菜月みするから視線をそらして斜め下に目を向けている。


(う…・・・・そんなに照れられると、こっちも気まずいよ。)


といささか手のキスにも慣れてきた真菜月みするは、その赤みが伝染したようにやはりぽぽぽと頬を染めてしまっていた。


「んん?

お~~っと恥じらいです!

青春です!!

今まさに青春の1ページでぇすっ!」

と羽根井覚が実況中継を入れる為、真菜月みすると多喜勇治はどんどん赤みを増していく。


「やめなよ覚。」

と白石雅がそんな羽根井覚をたしなめた。

「ホント勇は慣れないねぇ。」

と入橋圭がにやにやと笑みを浮かべる。

「だっておかしいだろ?普通こんな事。」

と顔を真っ赤にした多喜勇治が抗議する。

その意見には真菜月みするも賛成であった。

「おかしいも何もここじゃ普通じゃんか。」

と入橋圭は何処までもへらへらしている。

「全く圭は順応が良すぎるんだよ。」

と多喜勇治がぼそぼそと呟いた。



「皆ににやにや見られてるのは嫌だよ。」


という多喜勇治の言により、また羽根井覚の時のように皆その場で目をつぶる事になった。

真菜月みするは多喜勇治のその手を取る。

良く日に焼けた短く太い指をしたその無骨な手は、昔の百姓の手を思わせる。

今時こんなにしっかりした手の青春男児は中々見られない。

真菜月みするは少し感心した。

真菜月みするはちらりと多喜勇治の顔を窺った。

多喜勇治はもう一方の空いている方の手で自分の両目を隠している。

わずかに顔を向こうに反らす様は、まるで予防接種を怖がる幼児のようである。


(なんか人柄が見えるなぁ…すごく真面目そう、多喜くんって…。)



真菜月みするはちょんと多喜勇治の手の甲に華を咲かせた。

多喜勇治がそぉっと目の上の指をどける。

おそるおそる自分の手の甲を確認すると、機械のような手つきで真菜月みするの手を取っていた。

そんな様子をじっと見つめる真菜月みするに対して、多喜勇治は無言で目を閉じるように指示を出す。


(本当真面目だなぁ…。)


真菜月みするは多喜勇治に指示されたように、自分も目を閉じた。

どうせなので多喜勇治と同様に片手で目を隠す「ぽぉず」を取ってみる。


少しすると、真菜月みするは自分の手の甲に震える温かい感触を感じていた。




「これで義務教育は修了だ。」

藤村教諭は出席簿でその事実が正式なものである事を確認すると、ふぅっと溜息をついていた。

何かが大きく変わった様子はない。

その事を真菜月みするは入橋圭に告げると、「そだね。」と頷いていた。


「でも明日から藤村センセはいないから。

そうですよね?藤村センセ。」

「あぁ。

明日の朝にはもうこちらを失礼して職員室へ戻る。」

と藤村教諭は淡々と告げる。

冷酷で真面目だけれど素朴でかわいく見える事もある藤村教諭に対して、真菜月みするはそれなりに親しみを覚えていた。

明日からもういないという事を聞くと、何やら胸に疼くものがある。


「別にもう会えなくなるという訳ではない、真菜月君。

私は職員室に常にいる。

君は私の教え子だ。

その事実はいつまでたっても変わらない。

相談したい事があったらいつでも来なさい。」

「……先生ぇ。」

何やら涙がこぼれてくるのを真菜月みするは止める事が出来なかった。

皆が大丈夫だよ、泣く事ないよと声を掛けてくれる。

真菜月みするは藤村教諭の別れの悲しみと、真菜月みするを慕う皆の温かさの嬉しさにぽろぽろと涙をこぼしていた。



次の朝、宣言通り藤村教諭の姿はなかった。

普段なら黒の「えぷろん」を身に付けた藤村教諭の後ろ姿が見える台所には、廊下からの朝の光が小さな曇りガラスを通して注ぎ込まれている。

真夜中にはまだあった「はんもっく」の痕跡も何もない。

卓袱台の上には「学級日誌」と書かれた黒い板と羽ぺんが置かれている。



真菜月みするの義務教育は修了した。

(了)

終心表明


どぉもです、銃です。

はい、見ての通りです。


かなりイタいです……・(滅)


本当何書いてんでしょうねぇ?頭腐りこけてますよ、自分。

何度も何度も書きながら、「ありえねぇ~(笑)」「お前ら何本気になってんの?阿呆じゃん?(特に静馬)」「ひぃ~~~、サブいぼサブいぼ(凍)」と腕をさすりあげておりました。

しかし今夏で暑いので寒い位の方がいいでしょう(開き直り)


今回は一気に書きましたねぇ、脳みそぐらんぐらんになりました(廻)

6月中旬から始動し、途中風邪で脱落し、冷夏の波に乗って何とか8月で終わった次第です。こんなに短期間でこれだけ書いたのは初めてです。(でもそれで書いたのがこれ…(闇)そしてページ数短編区分。皆さんどれだけ書くのでしょうか?自分にはとてもとても…。)


絶対話つながってませんねぇ、かなり展開早くておいおいな所とか色々と人物や動きの描写が浅瀬でおいおいな所とか多々見られる事でしょう…。(何と言っても昭和初期生まれの男児があそこまで砕けるはずはなし(死))

いやもう考えてらんないですよ(いや、元からそんな構成力強くないですが)、冷房無しきついんですよぉ(開き直り)

じゃあ何故書くですよね。

いやぁこれだけの無駄な馬鹿妄想、頭に詰め込んで悶々と日々を送る事が苦痛でしょうがなかったのです。


とりあえず今回はこんな所です。

何か面白さを感じて下さった方いたらかなり幸いです。

もしまたこの「青春歌シリーズ」を書きましたらその時そこでお会いしましょう。(とりあえず今はもういい…。)

ではではまた…。



というのが前回書いた「終心表明」でした。

どぉもです、銃です。

て、これいつ書き終えたんでしょう?

日にちがどこにも書いてないんですよねぇ…。

駄目ですねぇ…1年前の自分。


という訳で熱いです。

えっと今午前2時なんですけど室温31度ですねぇ…。

ホントきっついですよ、無冷房。←我が家の残念な方針。

そういえば先日、マンションで無冷房窓5センチ開けの4畳半で寝るという臨死体験をして思ったのですが、みする達よくもまぁ無冷房でむさ苦しく4畳半(じゃなかったですねぇ…(汗)彼女らは6畳でした。狭いかなと畳多くしたんでした。申し訳無しです。)で生活出来るもんだと、思いました。


きっと冷夏なんですね……。

最高気温も30度位なんでしょう。

べロニカさん達も、いくら池麺池女でもすっぱい青春男女むんむん生活を観覧するのは勘弁でしょうし…。

くだらない話をしました。


しかしなんといいますかこれ、世界観と自己紹介で終わってますねぇ…。

あ、あと読み返して気付いたのですが、「死国同盟」がどんな同盟だったか忘れちゃいました…。最悪ですね…(死)

いかんせん1年前投稿した時反応やばかったので、自分の中でこれ「捨て作」になってたのですよ(汗)

という訳で、続き書くかはまだ微妙です…。

一度自分の中で「終わった」ものでしたので、それをまた持ち上げるというのが、出来るものやら……。

やはり多くの人に読んでいただけるのは嬉しいので、書いていきたいのですが……。

う~……とりあえず今熱くて、真面目な事考えられないですねぇ…。

もう少し涼しくなってから再考します。


あ、こちらで投稿するにあたり、若干小話等は省いてしまいました。

あとセリフ等も少しいじったような気がするのですが、探すの面倒で放棄しました。

もし書けましたら、投稿したいと思います。

あ!……あの世界を、いっきに冬にしちゃうのもありですねぇ。

皆でこたつ囲むとかいいかも……。

そういえば、あと2つ国出てないですし…。

書きたいカップリング国あったんですよねぇ…。


う~ん、検討の余地ありですねぇ…。

本当だらだら書きました。(常態でもだらだらですが…。)

ではではまた…。

暑い中、ここまでお読みいただきまして有難うございました。

                             銃.

                           2010年8月28日




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