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92 奴隷救出作戦、侵入成功?

 1話の前の話。0話を公開しました。まだ見ていない方は是非…。いまだから言えるNTR前のイヤな雰囲気味わってください…。


 「協力って…、何をすればいい…です?」


 「まぁ、アンタの頼みなら仕方ないわね。それで?何を協力すればいいの?」


 「俺がまた偽物のふりをして、看守の兵士に近づく。二人はその隙を見てチェルシーの姉に近づいてくれ…」


 二人を牢屋に連れて行き、チェルシーの姉に近づき、そのまま助け出すというのが目的だ。ただルイスが逃がしたともなればそれも問題になる。そこで…。


 「その後、チェルシーの姉に接触したら、お前達2人とチェルシーの姉に身体強化の魔法を付与するから暫く3人で牢屋にいてくれ?俺がその間に兵士の所に居て注意を引き付けておくから、その隙を見て逃げるんだ。」


 「う、うん!!わかった!!」


 「でも、助けて私達が居なくなった後に偽者が現れたらどうする…です?兵士と偽者で、さっき会ったのに忘れたのですか?とか…矛盾が発生しそう…です…」


 「その辺りなら問題ないさ。ここの番兵を違う場所から離れてもらうようにするさ…。」


 その事もしっかり考えているつもりだ。奴隷が逃げたから怖くなって逃げてしまったっていう事にしておけば良い…。


 「クローディアとヒナルはここに居て?それから、クロにもまた一つ仕事をしてもらいたい」


 「にゃう??」


 「どうすればいいのでしょうか?」


 これもクロにしか出来ない事だ。怪しまれずに見張りをするにはクロが一番有力だからだ。もしも偽者が戻ってきたら直ぐにヒナルとクローディアに伝えて貰う。


 「……っていう感じだ。宜しく頼めるかな?」


 俺が話を終えると、クローディアはクロに普通に話しかけるように、俺の言葉をそのまま伝える。伝え終えるとクロは元気よく鳴く。


 「にゃん!」


 「クロもわかったよ!って言ってます!」


 クロはまた、可愛らしいその頭をこくこくと下げる。本当に伝わっているんだからびっくりする。


 「オッケー!お兄ちゃんも気を付けてね?」


 ヒナルは俺のほっぺたに軽くキスをしてくる。それをじーっと見ているケアルとフレアは、ジト目でこちらを睨み付けてくる。


 「ずるい…です。作戦成功したら私達にもご褒美を要求する…です」


 「私だってアンタにちゅーしたいんだから…。その…させなさいよね!!」


 「あはは…、わ、わかったよ!」


 そう言うと二人はにーっとして、嬉しそうな表情をみせる。


 「そんじゃー作戦開始といこうか!!」





………。

……。

…。




 俺と、ケアル、フレアは薄暗い通路を真っ直ぐ進む。段々とカビ臭いイヤな鼻に付く臭いも無くなり精神的にも楽になっていく。更に奥へと進んでいくと向こう側に松明のような明かりが広がるのが見えてきた。


 「あそこで間違いなさそうだね…。少し怖いけど、アンタがいるから頑張れるよ!」


 「ああ!ありがとう…。危ない事させてごめんね…」


 ケアルはそっと俺の腰に両腕を絡めてくる。ケアルはやっぱり怖いのか両腕からぷるぷると震えてくるのが体を通して伝わってくる。


 「大丈夫だから。俺を信じて?」


 「うん…」


 クロがこの施設の入り口に待機したのを確認した後、ケアルとフレアに共鳴石を渡し、入り口付近の物陰に待機させてから、俺は明かりが付いている広間へと侵入しようとする。勿論、変装も解いてある。ここからはルイスとして…、いや、偽物のルイスとして部屋へと入る。


 「ル、ルイス様!?じ、実は…」


 一人の小太りの兵士が俺を見るなり、震えながら話かけてくる。その表情はかなり怯えながらひきつっている表情に見える。


 「あぁ…。脱走したケットシー族の少女の事だろ?」


 「はい!そ、そうですっ!も、申し訳ございませんでしたっ!」


 兵士は頭を深く下げ何度も何度も謝罪をする。


 「気にしなくて良い。それよりも忘れ物をしたのだが…。魔力を増幅させる指輪を落としたみたいなんだ。あっちの奥の方だ。他のやつらも一緒に探すのを手伝ってくれないか…」


 「わ、分かりましたっ!!」


 やがて3名の兵士が、俺の所へとやってくる。


 (確か、クロの話によれば奥に、開けっ放しの扉がある部屋があるとの事だけど…。うん、あれだな…)


 確かに、今通ってきた通路の迎え側に更に通路があり…、奥には開けっ放しの扉がある。そして部屋の右側にあるのが確認できた。


 「あの物置で落としたみたいだ。これはその謝礼だ。3人で配分するといい…」


 「良いんですか!?こ、こんなに!?」


 俺は、金の入った小袋を渡す。3人は物置へと入っていく。入ったのを確認してから共鳴石を使い、ケアルとフレアに指示を出す。


 『兵士が入っていったから、そのまま真っ直ぐ奥の部屋に向かってくれ…。そして事情を話した後、俺に連絡を。それまで引き付けておくから』


 『わ、わかったよ!アンタも頑張ってよ!』


 『じゃあ…入る…です!』


 連絡をした後直ぐに、小さい双子の姿がひょこっと姿を表し、軽やかに奥の部屋へと走り抜けて行くのを確認した。フレアはこちらを見ながら無表情に手をふってきた。ケアル達の姿が奥へと入ったのを確認した後、俺は…。


 「どうだ?見つかったか?」


 「い、いえ!まだです!」


 物置へと入ると、運が良い事にそれなりに広かったから、これなら探すふりをする時間を稼げると思った…。





………。

……。

…。



~ケアル視点~




 ルイスに言われた通り、開けっ放しの部屋に入れた…。本当は怖いけど…。ルイスのためだもん!いつもはあんなつめたい態度取ったりしてるけど…。本当はどうしようもないくらいルイスが大好きなんだからね…。彼は気付いてくれてるんかな?


 「姉ちゃんあそこ…、あそこに誰か居る…です」


 フレアが指を指す方を見ると、猫耳が生えた少女の姿が目に入った。見てチェルシーのお姉さんだと直ぐに分かった。猫耳と黒髪…、髪はチェルシーから見れば長いけど、チェルシーに似ている感じがして見た目ですぐ分かった。


 「だ、だれにゃ!?こ、こども…?」


 「しーっ!…です…。チェルシーちゃんに言われて貴方を助け出しに来ました…」


 「チェルシー…、チェルシーに会ったのですかにゃ!?チェルシーは無事ですにゃ!?」


 チェルシーのお姉さんは目に涙を浮かべながら聞いてくる。


 「うん!私達の仲間がチェルシーちゃんを保護してるから安心して!」


 「あぁっ…、良かった…良かった…!!」


 私は、牢屋の扉の前まで来て、扉を開けようとするが鍵がかかっていたためこれ以上はどうも出来ない…。ルイスが鍵を持ってきてくれるまで何処かに身を潜めなければならない。


 「今、私の恋人が鍵を持ってくるから、もうすぐ待ってて!」


 「姉ちゃん…、然り気無く私の恋人を、私の恋人って言わないで…です…」


 「あ、アンタもでしょー!」


 「あ、あの~?本当に大丈夫ですかにゃ?」


 今の私達のやり取りを聞いたからか、チェルシーのお姉さんは不安な表情でこっちを見てくる。


 「うん…問題ない…です。気楽に待っていてください…です…」


 「ほ、本当に大丈夫なのにゃ~?!」


 私達は、牢屋横に無造作に置いてあった大きい毛布の中に潜り込み、ルイスが来るまで待つ事にした…。


 (早く来てほしいな…ルイス…)





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