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91 奴隷救出作戦開始!


 『奥にある木々が見えました?その向こう側ですにゃ!たしか、古い石の階段が見えて来るはずにゃ!!』


 共鳴石からのチェルシーの声を頼りに案内されながら、俺達は目的地の場所へと向かう。辺りは木々に覆われて家々からも離れているため人気も少ない。石垣で作られた古い階段がある。


 「それにしても、そのアイテムは本当に便利だなぁ~。こうやって明かりを照らせれるし、写真も撮れたじゃん?」


 「うん。もしお兄ちゃんが普通に私の世界に居たら普通に使っていたんだよね?そう考えるとなんか不思議な気持ち」


 ヒナルはスマホという異世界から来た時に一緒に持ってきたアイテムは本当に便利な機能をしている。スマホの明かりを頼りに俺たちは階段を静かに降りていく…。降りると赤茶けた古い木の扉が目の前に現れる。


 「チェルシー?聞こえる?木の扉を見つけたよ?」


 『その部屋は物置小屋になっていたはずにゃ…。出る時に内側から鍵を掛けたから、そのまま侵入しても問題ないはずにゃ!』


 「オッケー!」


 扉の取っ手に手を置いて、ゆっくりと静かに木の扉を開ける…。開けると埃臭くカビのような嫌な臭いが俺達の鼻をつく…。


 「く、臭い…。なんなのよこれ…」


 「姉さん…、黙る…です…」


 ケアルとフレアは二人して鼻をつまみながら、今にも泣き出しそうな表情をしながら小声で話している…。


 「お兄ちゃん?そろそろクロちゃんを…」


 「あ、ああ…」


 クロは言葉を理解したかのようにケアルの肩から地面に降りると…。


 「にぁあ~」


 と鳴く。まるでこれから何をして貰うか分かっているようにも見える。


 「じゃあ、クロ?悪いけど…、辺りの様子を見てきてくれる?」

 「にゃんにゃんにゃ~ぅ」


 その言葉を理解しているクローディアは子猫クロの鳴き声の翻訳をする。


 「クロちゃんね?分かったよ!安全な場所もあったら探してくるね。だって!」


 クロはその真っ黒な小さい頭をまるで人間のようにコクコクと二回も頭を下げてお辞儀する。本当に伝わっているみたいだ。流石にその光景を目の当たりにすると凄いって思う。


 「クローディアはすげぇなあ!」


 「羨ましい!私も動物と話してみたい!」


 特に羨ましがってるのは、メンバーの中でも

一番クロの面倒をみているケアルだった。彼女は俺にはツンツンした態度をよくとっているけど、しっかりとクロの世話をしたり、体調が悪そうにしていると動物の病院まで連れてったりしている。


 「じゃあ、クロちゃん?お願いね!!」


 ケアルに見届けられながらクロはそっと奥の通路へと尻尾をぴんと立てながらとてとてと華麗に歩いていく。


 「クロが戻るまでしばらく待機だね。それにしても臭いね…。うん臭い!お兄ちゃん?これ、臭いついたらとれるかな!?」


 「まぁ、風呂に入れば取れるんじゃない?」


 「一緒にはいる?兄妹仲良く…!」


 ヒナルはイタズラっぽく、舌をべーっと出しながらそんな事を言ってくる。


 「レイジさんヒナルちゃんって、本当に仲がいいですね。」


 「私のお兄ちゃんだし彼氏だもん!」


 「カレシ…?」


 「あー、カレシって言うのは恋人の事だよ!」


 「へー!!私にも彼氏できるかな…。できればレイジさんのような優しい人がいいなぁ~」


 いきなりのクローディアの発言に、俺は唾を喉に詰まらせてしまう。


 「ゲホッ!ゲホッ! な、何を…、ゲホッ!」


 「アンタねぇ~。それわざとらしいから!!」


 「レイジ兄さんは何人彼女作る気…です?まだたりない…です?!私たちがいても…です?」


 さらっと、フレアは変な事を言ってくるから余計に噎せかえってしまう…。


 「それに、アンタねー?クローディアちゃんはアンタを彼氏にしたいって言っているわけじゃないんだからね!?」


 「あ、あのー?」


 クローディアはケアルの発言の後に即答で言葉を口にする…。


 「レイジさんが良いなら私もっ!」


 「「「へっ!?」」」


 皆して変な声が出てしまう。うん。クローディアの発言に皆してビックリしてしまった。


 「あはは!冗談ですよ~!」


 「だよね!こんなヤツ好きになったら毎日襲われるよ!?私はまだ襲われてないけどね!」


 ケアルはそんな事を言うが、自分の最後の発言に我に返る…。


 「い、いや…、襲われてないって私は魅力ないの!?ねぇ!?アンタ!!なんで襲わないのよ!」


 「姉さん…、何を一人で自爆している…ですか?」


 「フレア!アンタも襲われてないなら仲間だね!!」


 「ふふふ…、なら私は先にレイジ兄さんに夜這いに行く…です」


 「そ、そうですか!レイジさんは夜這いして物にするのはありですね!」


 「なら、私も協力するよ!お兄ちゃんと関係を持つのに協力するよ!って冗談だけどっ!!私のお兄ちゃん夜這いしちゃダメだからねっ!」


 4人はガヤガヤとだんだん煩くなってくる。声のトーンも大きくなってきて、流石にヤバイと感じてしまう。


 「お、お前ら…、ここでそんな話をするなよ…!クロが心配じゃないのか!?」


 とりあえず、ここで一旦話を止めなければバレてしまう可能性もあるからなぁ~…。こいつらときたら…。


 「ご、ごめんなさい!レイジさん!」


 「いや、いいよ?」


 俺は軽くクローディアの頭をポンポンと叩く。その時、奥の暗闇の方から2つのギラギラした目を持つ何かが、こちらに向かって近づいてくる。よく見ると猫の目だ…。クロが戻ってきたみたいだ。


 「クロが戻ってきたよ!!」


 やがてクロはこちらに戻ってきて、にゃーんと子猫特有の可愛らしい鳴き声で甘えてくる。


 「お疲れ様。クロ!」


 俺はクロの尻尾の付け根のところを手の地丘の部分を軽くかっぽんかっぽんと叩く。そうすると嬉しそうに俺の膝に顔を擦り寄せてくる。


 「クロ?中の状況はどうだった?」


 「にゃんにゃあああん!にゃん!!」


 俺の発言が分かるのか、クロは元気よく鳴き声で答えてくれる。クローディアはその鳴き声を聞いて直ぐ様に翻訳をしてくれる。


 「この奥の通路を真っ直ぐ行った所に、数人の奴隷を見張っている兵士のような人が居たとの事。バレないように物陰に隠れながら、そこからさらに奥に進むと開けっ放しの扉があって、そこに入ったら、牢屋に入れられた猫耳の女性が居たよ!と言ってます…」


 「す、すごい!これ、本当なら凄いよ!」


 「ケアル?フレア?二人に頼みがあるんだ」


 俺は、クロの言葉を翻訳してくれたクローディアの話を聞いて、咄嗟に作戦を思い付いた。うん。ケアルとフレアには悪いけど…、これで攻めてみよう。俺は早速、皆に作戦を伝える…。

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