90 クローディアと黒猫のクロ
「先ずはこうだ!!」
俺達は、猫耳のケットシー族、チェルシーの姉を救うべく地下に乗り込む為の作成を考えていた。
「うん!俺が奴隷のふりして牢屋にはいる。ボロきれの服着て徘徊しとけば…、分からないよね?!」
「は?!アンタ意味わかんないよ!?それ怪しい人でなく変質者に間違えられる!」
「いやいやいやいや!いくら兄様でも…。それは見たくないですぅ!」
「そ、それ~…、逆に怪しまれるよ~…。でも、それは面白いかも~っ!なんならうさ耳つけとく~っ?」
「あ、あの~…、本物のルイスさんってこんな感じかにゃ…?もっと真面目かと思っていたにゃ…」
うん。冗談だよ。いや冗談で言ったつもりだけどめっちゃ引かれてるし…。
「ま、まぁ…、冗談はさておいて…」
「あ、あの…、レイジさん?」
俺が言葉を出しすぐにクローディアが手を上げて答えた…。
「私、ついさっきなんですが…、こんな事できるようになりました…。多分、ティマーのスキルが使えるようになったんじゃないかなって思いました」
クローディアは、白魔道士なのにツンツンしているケアルの膝でちょこんと行儀よく座っていた黒色の子猫、クロを見つめると…。
「クロちゃん!私の膝の上に乗って?」
クローディアがそう言葉を話すと、クロはまるで理解しているかのようにケアルの膝の上から降りて、ゆっくりトコトコとクローディアの方へと向かっていく。
「へっ?!クロ?!アンタ言葉が分かるの?」
クロは椅子に座っているクローディアの所まで来ると軽くぴょんとジャンプをしてクローディアの膝へとやって来る。
「クロちゃん?にゃんって3回鳴いて?」
「にゃ~ん!にゃ~ん!にゃ~ん!」
クロはクローディアの顔を見ながら、言われた通り3回目鳴いた。
「クロちゃんも協力してくれるかな?」
「にゃん!!」
「す、すごいにゃ!!私たちケットシーでも猫の言葉が分からないのに!!」
猫耳少女のチェルシーは大きなぱっちりした目を更に大きくして驚いている。無理もないさ、俺も正直驚いている。これってティマーの能力なのかな?
「後、こんな事もできますよ!クロちゃん?レイジさんの面白い秘密を教えて?」
「にゃんにゃにゃにゃ!にゃんにゃん…」
クロはクローディアがそう言うと、まるで猫が喋るかのようににゃんにゃんと声を出し鳴いている。
「ひぇ~!それがレイジさんの秘密!?」
「なになに!?お兄ちゃんの秘密が凄い気になる!」
「ふむふむ…。異空間ストレージ内のレイジさんの部屋にあるベッドの下にえっちな本がある…?へ?えっちな…本!?」
「ち、ちょっ!!!な、なんで知ってるんだ!?あの隙間は人の手でもやっと…」
異空間ストレージ内にある家の中にある部屋のベッド下には5cmほどの隙間があるんだけど…。ヒナル達にバレないようにこっそりと本を隠しておいたのだけど…。よくよく考えたらクロがベッド下で昼寝する事もあった…。つまりはクロはこの事が分かっていたらしい…。
「ち、ちょっとアンタ!!なんでそんなの読んでるのよ!?変態!!大変態!」
「バレないようにこっそり…です?とんだ変態さん…です…」
「ま、まぁレイジ君は…。ねっ!?男の子だし…」
「だよなぁ~兄貴だから仕方ないさ!」
皆、それぞれに俺の事を変態だの仕方ないだの言ってくるが…、うん仕方ないさ。俺だって男だもん!
「あ、アンタねぇ?!なんか開き直ってるし!その顔!!」
「まぁまぁ、レイジも健全な男の子っていう事ですわ!ケアルもいつか分かる時が来るはずですわ…」
「えっと、君たち?クローディアが困ってるよ…?俺の事はいいから…、話を進めよう!うん!そうしよう!」
「ご、ごめんね!クローディア!お兄ちゃんの事は置いといて話進めよう!」
「おい…、ヒナル…」
「あは…、あははは~。ナンノコトデショウネ~」
然り気無くヒナルに弄られる俺。まぁ、悪くは無いんだけどね。話は戻り、クローディアとクロが意志疎通出来るのが分かったけど…。
「レイジさん、ごめんね?えっと、それで…、このクロだけど、ある程度場所が離れていても意志疎通もできる能力が使えたの。だから今回のお姉ちゃん探すための地下探索でも役にたってくれると思います…」
「確かにできるなら心強いけど…。クロはOKしてくれてるのかな?」
俺がそう言うと、クロは理解したかのように「にゃああ!」と可愛らしい声を出して鳴いた。
本当にいいのか?お前…。
「うん。クロは様子見に行くなら余裕だって言ってるよ!中の状況がこれで分かるはず!」
「にゃあああんっ!」
なんか、クロの猫の目がキリって目が格好良くなったように感じた。
「じゃあ、クロ!頼もうかな?それと、ヒナル、クローディア、ケアル、フレアと俺の5人で行くよ。ケアルとフレアなら子猫探している言えば怪しまれないと思うし…。チェルシーは悪いけど待っててくれ…」
「わ、分かりました…」
チェルシーは首を前に軽く倒しお辞儀をする。
「ま、まぁ、そうね。言っておくけど、アンタの為じゃないからね!チェルシーとクロのためだから!!」
「はいはいー。姉さんの事はよく分かった…です。いつもの事です」
「それじゃあ、クロ!チェルシーのお姉さん救出作戦といくかぁ~!」
お~っ!と皆が一斉に両手を上げて声をあげた。その声の中に、チェルシーやクローディアの声もしっかりと聞こえていた。




