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73 騎士と恋人達との亀裂… その3

 

 ~ハロルド視点~


 少女の手を繋ぎ、暗闇の中を潜り抜ける。魔族への虐殺が続く中、オレはこの場を後にする。


 外に出ると、丁度幼馴染みがいた。オレは少女の手を繋ぎ、幼馴染み達と合流する。彼女達なら話せば理解してくれるだろう。魔族だって普通の人間だ。


 「は、ハロルド!?その子は?!何を考えてるのですか!?貴方は!!」


 「さっきあそこに居た魔族だね!!でもどうして!?その子魔族だよね?!」


 「勇者様の邪魔をしちゃったんスか!?それやばくないっすか!?」


 3人は俺を否定的な態度をとり、オレを批判する。どうしてだ?!何故…?

 魔族の少女は、黄色の髪をなびかせながら、透き通るような肌が汗でびっちょりになっている。怖かったのだろう…。


 「それよりもその子をどうにかして頂けませんか?目に映ると私達まで批判されてしまいます」


 「そうだね。勇者様の敵だもんね」


 「その方がいいッスよ!!」


 どうして分かってくれないんだろうか…。そう考えていると妹は俺の手を握ってくる…。そう…。俺達は魔族だからだ…。何故、こんなにも魔族…、いやソロモン族は軽視されなければいけない…。


 「あ、あの…」


 魔族の少女が口を開く…。


 「私を置いていってくれませんでしょうか?」


 「何を言う!また勇者に見つかったら…、今度は君が!」


 オレがそう言うと3人は


 「まぁ、貴方の好きにしたら…」


 と投げやりの言葉が返ってきた…。




………。

……。

…。




 少女をどうにかするため、オレや妹の事を良く知る魔族に対して偏見がない信頼できる知り合いがいるから、その人に預ける。

 少女の母親が目の前で殺されたせいか彼女はガタガタとずっと震えている…。生憎、妹と年が近そうだったから、今晩は妹を付き添わせる事にした…。


 辺りはすっかりと暗く、オレは急ぎ足で自分の家へと戻る…。ただ何か嫌な予感を感じさせながら…。


 自宅へつくと、いつもはリビングの灯りがついているはずの時間だが…。リビングの灯りがついていない…。部屋に入ると誰も居ない。あれから帰ってきている気配がしない。


 (まだ帰ってきてないのかな…?もしかするとエルフの家にいるのかな?)


 オレはそう思い、エルフの自宅へと足を運ぶ…。


 エルフの自宅の側まで行くと皆の声がした。エルフの自宅の周りは他に家が無く人気も少ないため、虫の音や、カエルがゲコゲコ鳴く音がよく聞こえるため、普通の会話でも外にもれるくらい響く。オレはエルフの自宅のドアノブに手を触れ…。 


 「ただい…」


 ただいま。と言いかけた時、とある男の声がエルフの自宅の中から聞こえた…。


 (ルイスだ!何故ここに!?)


 オレは入るのを躊躇い、ドアノブに手をかけたまま。しかし、この時、すぐに入るべきだった…。何故そう思ったのかというと…。


 「まだハロルドとはヤってないのか?恋人同士なのに?」


 (やってない?何をだ!?)


 「えぇ…。あの方は奥手ですからね…」


 「一回でもいいからやってみたいね!」


 「勇者様は毎日色んな人とヤっているんスよね!?」


 (何の会話をしている?)


 オレはドアノブを掴む手が徐々に汗ばんできて、動悸が激しくなりだす…。


 「なら、俺が君達の初めてをもらっちゃおうかな?」


 「えぇ~?!ですが、私にはハロルドがいますよ?」


 「実はな?俺には看破のスキルもあるんだ。残念だけど、君達の大好きな彼とその妹の正体は魔族だ…」


 (あいつ!?俺が魔族だと知っていやがったのか!?)


 「じ、冗談ッスよね!?ハロルドには角もないし耳だって普通のヒューマン族と変わらないじゃないッスか!?」


 「あれは偽装の魔法で誤魔化してるだけだよ」


 「そ、そんな!?私達はハロルドに騙されていたわけですか!?」


 「そーゆこと!なんなら今度ハロルドが来たら偽装解除の魔法使って元の姿にもどしてみようか?」


 あいつらはオレという一人の人間じゃなく一人のヒューマンとして見ていたのか…。オレは絶望した。ずっと信じていた彼女達だった。いつか魔族だと告げた時、彼女達に理解してもらえると思っていただけに尚更…。


 「だから、あんなヤツ忘れなよ?俺が愛してあげるよ?君たちの初が勇者だって自慢もできるよ?」


 (あ、あいつ!!俺の恋人達に!!)


 彼女達がすんなりと断ってくれる。そう信じていたのだが…。現実はこうだ…。


 「私達みたいな者が勇者様と!?」


 「嬉しいね!!英雄にエッチな事教えてもらいたい!」


 「私もいいんッスか!?エルフの王女様とももうやったんスよね?そんな私が!?」


 そう…。これが現実だ…。でもまだ信じているオレがここにいた…。でももう手遅れだった…。


 「んっ…!あぁ…。気持ちいい…」


 「な、なんなのこれ!一人でするよりいいね…」


 「耳かじったらヤバいっす!!きちゃうッス!!」


 一瞬だった…。俺は身動きができず硬直してしまっている…。更に数分が過ぎ…。


 「ほら、もっと開いて…」


 「い、痛いですわ…。優しく…優しく…」


 更に時間が過ぎ…。


 「お姉ちゃんばかりじゃなくそろそろ私も…ねっ?」 


 「焦るなよ… ほら…」


 「ああああっ… んぁっ!い、痛いけど…やばいね…」


 「き、気持ちいいッスよ~!」


 3人が代わる代わるヤツに犯される…。俺は微動だできなかったが、急に何かが弾けとんだ。勇者?なんだそれ。ちやほやされて、魔族だからというだけのために罪もない人を殺す。挙げ句の果てに人の恋人達すらも寝取る最低なクズじゃないか!!


 (勇者ルイスっっっっ!許さない!!!)


 バンッ!


 俺は苛立ちが頂点に達して、エルフの家のドアノブに手を取り、勢いよくドアを開ける。中に入ると、リビングで行為に及んでいる4人の姿があり、全員がびっくりした表情でこちらを見ていた。見れば勇者がエルフに覆いかぶさり行為に及んでいる最中だった。


 「は、ハロルド!!何故今になってくるのですか!?」


 「ち、違うんよ。これはね?」


 「んぁ… 気持ちいいッスよ…。でもやばいッス

…勇者様…は、はやく。不味いッス…。んぁっ!あっ!」


 それでもルイスは行為をやめない…。まるでオレが来たのを無視するかのように腰を降り続けて、エルフの喘ぎ声がこだまする…


 

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