55 勇者VS王家直属護衛騎士団団長 御膳試合開始
そして翌朝…。
俺達はカノープス隊長との御膳試合の為に王国の兵士練習場に来ている。城の端の側にその場所があり、高台には王様もいる。
そして兵士やメルドア街のオーガ襲来にもかけつけてくれた少年兵部隊もいる。それと何故か街の一般人もたくさんいてお祭り騒ぎとなっている。
「あれが何百年に一人と言われる伝説級の勇者か!?」
「想像と違ってまだ若いね~。大丈夫なの?」
「騎士団長との身長の差がありすぎる!」
等々、あまり良くない声も聞こえてくる。
観客席をみれば、ヒナルやコタース、スルト、フレアやケアル、ミランダもいて、ミランダの隣には何故かエルフの王女であり騎士のフィリシアもいる。更に見渡せば…、アイツら…。クリステルやシュー、エアロもいる…。
「勝っても負けても文句無しだ!!」
カノープス隊長は大きな大剣を担ぎ、戦闘開始の合図を待つ。俺は聖剣ではなく、メルドアの街でガッシュから貰ったミスリルソードを構える。
「ルイス!そんな剣じゃなくて聖剣でもいいんだぞ?」
「いや、これで良いです」
カノープス隊長はニヤリと笑う。
「そうか!」
暫くの沈黙…。やがて王様が立ち上がり…。腕を大きく上げて…。
「それでは試合を開始する!」
俺はミスリルソードを前に構える…。
「はじめっ!!!」
そして直ぐにカノープス隊長はその大きな大剣を縦に振りかざす!
俺は身体強化で躱す…が!その攻撃はダミーだ!カノープスは大剣を左手に持ち、右手から衝撃波を繰り出す。俺は右手を出された時にすぐ"身体強化集中"をかけ片手で受け流すが衝撃波で吹き飛ばされる。
「くっ!身体強化していなかったら、もっと吹っ飛んでたな…」
「やるじゃねぇか。あの判断はいいぞ!」
俺は剣を構え飛び出す。カノープスは大剣を横に構える。
飛び出してすぐ自分にまた身体強化付与。スピードにのりながらカノープスの大剣を打つ!少しよろめいたところからカノープスの大剣を思いっきり蹴り飛ばし上空へと上がる。
「ほう!やるじゃねぇか!でも上へ上がるのはダメだなっ!!」
カノープス隊長は大剣を旋回させて
「くらいやがれ!爆っ!風~斬~っ!!」
さっきよりも強い衝撃波が風とぶつかり合い爆風みたいに、どかんっ!と何度も音をたてる。
その衝撃波と衝撃波による爆風が俺をめがけて放たれる。
その時、また新しいスキルが頭の中でイメージする
「セイントオーラ!!」
光の衣が俺を包み込む。衝撃波を吸収していく。再度、身体強化重ねがけをして剣を突き立てながら上空からカノープス隊長を目掛けて突撃していく。
その速度はかなり早く。油断すれば自分ごと吹き飛ばされてしまう勢いだ。
多分、また衝撃波がくるかもという賭けに出る。
カノープス隊長は大剣を構え、第二段の衝撃波に備える。
上空から僅か8m。一瞬にしてカノープス隊長の目の前に来た。直ぐにカノープス隊長は慌てて後方へと飛び出すが…。
「大地斬!」
大きな掛け声とともに大剣を地面に突き刺す。すると、地面の土が何度も何度も波をうつように浮き沈みを繰り返す。
「くっ!」
俺は足を取られる。俺が足を取られてしまった時にカノープス隊長は真っ直ぐこちらに向かってきて大剣を前に突き出し…。
「爆風斬~~っ!!」
また大きな衝撃波が俺を襲ってくる。俺は剣を突き刺す。そしてすぐに突き刺した剣のボンメル
に足を置きバク転をして、足がつく前にグリップに手を添えて持つ。
バク転の弾みと足に力を入れて衝撃波の範囲内から体を逃がす。
「身体強化~っ!!」
俺は直ぐに身体強化をかけ、カノープス隊長の前へと来る。スライディングをしてカノープス隊長の股下をくぐり抜ける。
くぐり抜ける瞬間にフルアーマーで覆われた大きな白銀のブーツ箇所に剣のガード部分で叩く。
その際、腕に強化魔法をかける。何十倍の衝撃に流石に耐えられず、カノープス隊長はフラつく。
「よ、よく考えたな!」
「ありがとうございます!」
カノープスはよろけながらも大剣を再び地面に突き刺し…。
剣を持ちながら大きく体を反らし…。大剣を一気に地面に差し込む!
突如、俺の目の前に無数の大地でできた大きな柱が大きな音ともに地面から勢いよく現れる。足を崩し地面から出てきた岩が俺の体を直撃する…。
「くそっ!」
俺は直ぐに何本もある大きな柱の上に登り、柱から柱へと高速で移動。それでも何本の柱が俺の目の前に現れる!
「セイントバーストクロスっ!!!」
俺はX字の光の閃光を放つ。前回放った時よりも2倍くらいの大きさで、ほとんどの岩の柱を壊す。
体力を大分消耗したのか、カノープス隊長は息を切らしている。その隙を狙い、カノープス隊長の死角をついて軽くセイントバーストを放つ…。
ズダンッ!!とフルアーマーに光の小さい閃光がヒットしてカノープスは1メートルほど吹き飛ぶ…。
「くっ…」
カノープス隊長は倒れたまま大の字になり動かない。目を開けて、満足そうな表情を浮かべる。暫くして目を閉じ…。
「み、見事だ。流石は勇者なだけはある…」
俺はカノープス隊長に近づく。
「完敗だ! ルイスよ見事だ!!ははははっ!」
カノープス隊長は負けを認めて高笑いする。
その瞬間、周りから今まで聞いた事のないような歓声がこの辺り一帯に響き渡る。
カノープスはゆっくりと立ち上がり、俺の腕を掴む。そのままカノープスの手に捕まれながら俺の腕を高く上に上げられる。
「王様!!勇者ルイスの実力は確かです!!この王家直属の騎士団隊長がルイスを認めます!!この国に居る者全てよ!伝説の勇者様は今、ここにいる!!俺達、騎士団もいる!!安心せよ!!勇者様や俺達がここを絶対死守する!!さぁー!!もっともっと大きな声で、この最強の勇者に声援を~~~ッッッ!!!!」
いや!ちょっと!俺、目立ちたくないぞ!
そんな事思うも束の間…
大きな歓声がまたコールする…。ヒナルもコタースも皆が笑顔に…。そしてその奥をみれば、クリステルもシューもエアロもいて、何故か泣いて喜んでいた…。
「そして宣言する!」
いきなりカノープスは大きな声をあげて…。
「ルイスとルイスの今、恋人関係にある大聖女様が認めるなら!我が娘をルイスに託したい!異論ないのなら拍手を!!!」
「はっ?!」
続け様に王様が立ち上がり
「ワシからもいいか!?」
王様は国民にむけて話をする。
「勇者の力はこの通り偉大だ!我が国一番の最強すらも意図も簡単勝負が決まった。彼こそは勇者だ!よってカノープスの言う通り、大聖女だけでなく王家直属騎士団ミランダとの仲も認めよう!!」
ちょちょちょーまて!!なんでそうなるんだよ!!!
しかも、辺りから拍手大喝采の声援の嵐だ…。
ヒナルはニコニコしながら頷き、コタースは何故か涙目になって首をふっている。スルトは頬を膨らませ…、フレアは何故か白目をむき、ケアルは顔を真っ赤にさせながら怒っているようにも見え…。
フィリシアはミランダにむけて拍手をしている。
ミランダは涙をこらえて両手でお祈りのポーズを取っている…。
そして奥に目をやればクリステルら3人は肩を寄せ合いながら悲しそうに泣いている。
そんな事より…、これ…まじでやばいだろ…!
仲間に合うのが恐ろしや…。
そうして御膳試合が終わり…。俺は勇者としてまた噂が広まった。
静かにしていたいのになぁ~… はぁ…。
さぁ、可愛い恋人とついてくる事になったミランダと仲間達とホテルに戻ろう。
~後書き~
一章ボスまでもう少し続きます。嵐の静けさというような感じです。一章完結まで、もう少しお付き合いください。
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