50 ルイスの過去求め二人はメルドアの街に!
~ヒナル視点~
お兄ちゃんに告白された日あの夜から3日経った。まだ、各国からの手続証明の通達がまだだから活動できないらしい。
手続証明があればあらゆる活動に制限がなくなるらしい。つまり正当な勇者にはギルドランクというものが無くなるからどんかクエストも受けれるようになる。
あれから普通にまたお兄ちゃんと過ごしている私。あれからもクリステルさんと話をしていた。この世界は一夫多妻制が認められているとの事。だからアレックスは手当たり次第に自分の欲望をさらけ出していた。でも問題は魅了のスキル。つまり、お互いと他の女性がOKした時のみ許されるそう…。
正直、驚いた。中には男性が実の姉妹の何人とも結婚している人もいるそうだとか…。
まぁ…、お兄ちゃんの事が好きであろうコタースと取り合いになって仲が悪くなるくらいならいいのかも?って私は何を言ってるんだろう!
そして、また私は噴水へと足を運んでいる…。
「今日も来たのですね…」
相変わらず優しい言葉をかけてきてくれるお兄ちゃんの元カノのクリステルさん…。一夫多妻制が普通の国だからか他の人がお兄ちゃんにベタベタしていてもそれは気になってないみたい…。ふと、クリステルさんの横を見ると二人の女の子の姿があった。
「初めまして…、私はエアロといいます…」
「こんにちは!ボクはシュー!兄貴のフォローありがとう…。」
「はじめまして。スガ・ヒナルっていいます。」
どうやら昨日…、クリステルさんと会話していた所を二人に見られて、私に会いたいという事で来たみたい…。なんでもお兄ちゃんの家に子供の頃の思い出の数々がある部屋があるのを思い出したとか…。その中にはお兄ちゃんが昔着ていたらしい変わった服があったと…。
「兄貴の家には隠し部屋があってね。小さい頃はそこでよく遊んでたんだ!」
「覚えています…。水色の制服みたいな可愛い服でしたね…。多分、向こうの世界で着ていた服なのでしょう…」
「兄貴ったら、それを着たがるんだ~。これを着たら帰れる!って…。ボク、今思い出したけど、多分、そういう事だったんだね…。」
「お兄様にはもう会う事は叶いませんし…。でも少しでもお二人の距離が近くなるなら…、私達は影からどんな事でも協力します…。ヒナルちゃんとお兄様の為なら…」
「ありがとうございます…」
「向こうの世界から来た貴女なら…、何か分かったかなと思い…伝えたかった事でした…、少しでも貴女のお力になれれば…」
「うん!もしかしたらこちらの世界に来た時の何かかもしれない…。お兄さんに自分の兄妹だとしっかり伝えて…、私の事を見てもらうつもりです…」
それから軽い世間話をしたり、お兄ちゃんの子供の頃の話を聞かせてくれたりした。お兄ちゃんは本当に愛されていた…。それを分かると私は何故か嬉しかった…。
ただ、一つ気になる事があった。アレックスというクズを…近々殺しに行くと…。冗談かと思ったけど…あの目は本気だ…。でも私には止める権利もなければお兄ちゃんに伝えるつもりもない…。彼女達が決めた覚悟だからだ…。
………。
……。
…。
私はお兄ちゃんに、お兄ちゃんの家の中にいけば自分の知りたいものが有るかもしれないと話をする。
「それで、何を知りたいんだ?」
「うん。お兄さんの昔着ていた青色の服…」
「えっ?!どうしてそれを?でも昔の事だからなんで自分でも覚えているか分からないけどね。でもそれがどうしたの?」
うん…。言えないよ…。クリステルさんと約束したし…。
「それは、今は言えない…。もしそれがまだ有るなら…そこで話をしたいかな…」
「そうか…、でもそれが何か分かればいいのかな?」
「うん。これは私とお兄さんにも私にとっても大事なものだから…」
………。
……。
…。
それから私達は、数日間だけ忘れ物をしたという事で自分の街に戻る事を王様に伝えに行くと、王様はすぐに許可を出してくれた。私達は城を出ようとすると途中、フィリシアさんが王女様らしかぬ顔で何を持ちながら慌ててこちらにやって来る。
「ふぅ…間に合ったな! 王様から聞いて慌てて来たんだ。これを使うといい。」
よく見ると、日本にいた頃に見た巻物みたいな物を2つ持っている。
「これは転移のスクロールといって、テレポートと同じような魔術が込められた魔法のアイテムだ。これがあればすぐ街に行けるはずだ。行きたい所の思い出の場所をイメージして使うといい!行きと帰りの分だ」
「ありがとう!」
フィリシアさんはお兄ちゃんにスクロールを手渡す。
「ふ、ふん!その代わりにだ!こ、今度…帰ってきたら… その…、でっ、デートというものをだな!」
フィリシアさんは顔を赤くしながら、そう言う…。恥ずかしそうにもじもじしている。
「「へっ!?」」
私達は、同じ声をあげる。うん、びっくりしたよ!
「い、いや、ヒナルが良ければルイスとデートをだな…」
「フィリシア…、ごめん…。まずは順番があ、るから…」
フィリシアさんはお兄ちゃんの言葉におどおどしながら目線の焦点もあっていない。かなり緊張しているんだろう。
「はい。私は問題ありませんよ!ねっ?兄さん?でもお姫様なんだから逆にいいのかな?」
「わ、私は構わないぞ!」
私のお兄ちゃんは本当にモテモテだ。妬けちゃうくらいに…。いやもうね…。
私達はスクロールを手にしながら目を瞑る…。メルドアの街の外観を想像していると、やがて私達の体は光の粒子となり徐々にスクロールの中へと吸い込まれていく…。一瞬の出来事だった…。




