38 仁さんの自宅と…
-クリステル達の魅了が解呪される1日前の事-
~ルイス視点~
仁さんの自宅に到着した。周りは湖があり、畑もある。向こうを見渡せば王国の城も一目で分かるほどのどかな場所にあった。仁さんの性格みたいに木造の家がなんともモダンさを感じさせる。
「ささ、遠慮はいらないでござる!」
「あ、ああ!ありがとうございます」
俺達は玄関ドアを開けている仁さんに案内され玄関へと足を踏み入れる。
「ただいま帰ったでござるよ~」
「お帰りぃ~、早かったわねぇ~」
奥から声が聞こえてきた。姿を見せるのは多分仁さんの奥さんだろう。まだ見た目は30代前半といった所か…。
「あらあら…。お客さんね。いらっしゃい~」
「は、はじめまして~っ!ウチはコタースって言います~!奥さん綺麗ですね~っ!ウチ緊張がががが…」
一番先に挨拶するのはコタースだった。
それから俺達は順番に挨拶をして今日はここで泊まらせてもらうのと明日まで一緒に仁さんと共に行動する事を話をした。
「どうでござるか!?拙者の奥さんのペトロでござる!」
「うむ!ペトロは物凄いお母さんって感じがするのじゃ!!昔の事は忘れたけどなのじゃ!」
スルトはぴょんぴょん跳び跳ねながらそう言う。
「あらあら~、うちの子と同じ年くらいなの?お嬢ちゃん可愛いわね~」
「いや!普通に我はお主らより年上なのじゃ!」
お、おい?!
「あら!まさか魔族のお嬢ちゃん?元気があって良いわね~!」
ペトロさんは流石になれているなぁ~。大人の余裕ってやつか…。そう言うとスルトの頭を撫でている。
「のじゃのじゃ~!」
スルトはペトロさんに頭を撫でられデレ顔になっている…。
「まぁ、立ち話もなんだから…、中へ入って~?後、荷物はもし良かったら二階の部屋ならどこでも使って良いから置いてきて構わないわ~。」
俺達は荷台から着替えなどの荷物を出していく。
「お兄さん?良ければ私と一緒に荷物を運びませんか?」
ヒナルはニコニコしながら話かけてくる。
「そうしたいけど、まだ荷物あるから先にっててくれる?」
「お兄さん~っ!」
ヒナルはぷく~っと顔を膨らませる。これは良くない表情だ。最近、ヒナルの考えがなんとなく分かる。
「いや、一緒に寝たいんだろ?なら先に行っててくれ。俺も行くから」
「ヤッタ!!」
ヒナルはガッツポーズをして荷物を持ち中へと入っていく。
その時…。
ザバーっ!ジャーーー!
ザバンッ!!
家の裏から物音が聞こえる…。
(また、モンスターだったら…)
俺はそう思い…。そろりそろりと足跡をたてずに音のする方角へと向かっていく。
ジャバジャバジャバ!
水の音?
「きゃ~~っ!やめる…です!殺される…です!」
少女の悲鳴だ! 俺は慌てて音のする方角へと走る!!
「そこ痛い…です! はやくやめる…です!」
まだ聞こえてくる…。俺は物陰に隠れ様子を伺う…。
「も、もう怒った…です! 風の精霊よ来たれ!!小竜巻…です!!!」
えっ!?
その瞬間俺はぐるぐると回転しながらふきとばされる…。生憎、ここ最近、自分にオートバフがかかってていたくもないが…。
「ぎょええええええ!!なななななな!!あ、あ、あ…」
ふぇ…。 さっきの子は…!?良くみると奥の方で金髪のロリっ子がすっぽんぽんで立っていた…。
「あ、あ、あああああ…アンタ!?」
へ? 声が聞こえるがどうやらあの子じゃない!?でも凄く焦った表情でこちらを見ている…。ま、またやっちゃった?
「や、やぁ!」
女の子は「ひぃいい!」と声をあげる…。
「ち、ちちちちょっと!アンタ!アンタ!痛いってーの!早くよけろー!」
俺は声の主が分かった…。どうやら俺の下に…。
むにゅむにゅ…。
あれ… この感触どこかで…
「ふ…ふぇ…」
「ふぇ?」
「変態~~~~!!!変態大人~~~~!!ロリコン~~~~!!」
俺の下に居たのは目の前の女の子と似た容姿のロリっ子だった!またやっちまったぁぁぁ!!
「ご、ごめん!!ワザとじゃ…」
「うっさい!黙れ!この変態め!!フレア?!こいつにどっかんとやってやって!」
やばい!マジだ!このロリ!
「分かった…です!変態さんには… こう!…です!小落雷…です!」
俺の頭上に小落雷が落ちる…。ビリビリするけど…。バフのおかげでなんとか…。
「き!効いてない?!あ、アンタ何者!?ただのロリコンじゃないの!!って!みんな!!こっちみんな!!きもい!!変態!!」
ちょ!そこまで言わなくてもいいじゃないか!?
そんな矢先…。俺の前を突風が吹いた…。目の前には仁さんがいた…。
「何事かと思えば…、どうやら安心のようでござるな…」
「父上! 帰ってきてた…です?」
「パパ! そんな事よりそいつ!!私たちがお風呂入ってたら覗こうとしてきた覗き魔のロリコン!!」
俺は焦る…。これはやばい…!助けて仁さん!!仁さんなら分かってるはず!
「ち、ちが!叫び声が聞こえたから!!仁さん助けてください~!」
「ふむ!事情は理解したでござる!またケアルがフレアに悪さして、怒ったフレアが魔法を使って… たまたま近くにいたルイスどのが巻き込まれた…でござるな?!」
「そ、そうです~っ…」
「これはお主達が悪い!多分、ルイスどのはフレアの叫び声を聞いて助けにきたでござる。この男性はルイスどのと言って、パパの友人でござる!今日、一緒に来たのでござる!」
「そ、そうですか…。ルイスお兄さん…。ごめんなさい…です…」
「ふ、フン!!パパがそう言うなら許してあげてもいいわ!でも私の胸を揉んだのは許さないんだからね!」
えっ…、それ仁さんの前で言っちゃう?
「ちょっと…ルイスどの…」
「は、はい!」
「ルイスどの!拙者の娘は可愛いでござるな?」
や、やばい!目がまじだ!
「は、はい!」
「いくらルイスどのでも… 娘に手を出したら…!」
「ひ、ひぃいいいぇぇぇっ!」
「……」
ち、沈黙が長く感じる…。
「なんでしょうか?」
「冗談でござる♪」
そ
ほっ… 助かった…。
「いや、半分はマジでござる…」
ひいいいぃぃぃ!
それから、誤解が解け、俺達は仁さんの家に戻り夕食を食べるのであった…。ヒナルに遅い!と少し怒られたのも言うまでもない…。




