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36 真の勇者かもしれない ~護衛騎士ミランダ視点~


 私は今年、18歳になり新しく王家直属の護衛騎士となったミランダ…。


 勇者アレックスの件を報告した。わかっていた。こいつは勇者じゃないって…。


 私は、"あの日"の時から『勇者』の存在が気になりずっと、調べた。


 やっぱり"あの彼"以外に勇者は考えれなかったから…。


 13歳の頃…。


~ミランダ 5年前~


 「お父様!行ってきます!」


 私は騎士の家系に育ち、この日は適正検査がある当時。私は無我夢中で魔法学園へと急ぎ足で向かった。ところが…。


 「可愛いお嬢さんが何やってるんだ?!」


 「おじさんと良いことしない~?」


 私はふたり組の男に捕まってしまった…。足を少し斬られて殴られて押し倒され服を脱がされそうになった瞬間に…


 「その子を離せ!!」


 私と同じ歳くらいの男の子が助けてくれた。しかし、体格差で男の子は一方的にやられる。


 「ガキが調子にのるなよ!うらぁあっ!」


 顔面を殴られ…


 「ぐっ!!」


 その男達の攻撃がもろにくらう…。それでも男の子は立ち上がり…。一瞬目付きが変わる…。あの光景は今でも覚えている…。今まで一方的に殴られていた男の子の体が光りだし…。男二人の攻撃を躱しながら、一人の男を光を帯びた拳で殴り付けると一発で倒した。もう一人の男が男の子に殴りかかろうとした瞬間、男の子から光を帯びた衝撃波を食らわして相手を吹っ飛ばした…。二人は起き上がる事がなかった。

 その後、すぐに私の元に駆け寄ってくれて回復魔法を唱えてくれた…。彼と少し話をした…。彼はどこから来て、何をするか…。名前もちゃんと聞いた。将来、またここで会おうと約束もしてくれた後…、彼はつかれていたのか寝てしまった…。これから適正検査なのに…。


 それからすぐに彼のお母さんらしき人が現れて…、彼を優しく抱き上げる…。彼のお母さんは黒が凄く似合うローブを来た赤色の髪をしていた…。それからお礼も言えず、彼とそのお母さんは行ってしまった…。


 それからまた彼に会いたくて色々調べた。お礼もまだ言えていないから…。調べると…。光のオーラをまとえるものは一人しかいない…。


 それこそが勇者のジョブを持つものだけだった…。


 だから…私はアレックスが勇者だと認めなかった。いや、認めたくなかった…。あのふざけた性格も嫌い。勇者なのに人を馬鹿にしている態度も嫌い。全てが嫌い。勇者は一人しかいない。


 そう…あの人…。


 ルイス・ガーランド以外に勇者はありえないのだから…。


………。

……。

…。



 王様がかなり困り果てている…。


 「まさかあの者が勇者でないとな…」


 エルフ国の王女フィリシア王女様もいて話をしている。


 「これは両国の問題にも繋がります…。このアレックスが勇者と誤ってしまった件については他国にも謝ってすまされぬ大事になってしまいます!」


 「それにあの勇者パーティー3人の少女ですが

…」


 「あの少女達もジョブがおかしかったのか!?一人は聖女なのだぞ!?」


 「いえ… それについては問題ありませんが…、彼女達はどうやらアレックスの魅了にかかってしまっていたみたいです」


 「な、ななっ…、なんと…」


 王様は驚いて一瞬立ち上がり、息を切らしている…。そしてゆっくり座り込み…。


 「なんという事をしてくれたのだ…。やつは!!」


 「今から、解呪の儀式を行うところなのでそれについては問題がありませんが…、呪いが解けた後の少女達の精神状態がどうなるか分からないので不安です…」


 「この魅了は国家犯罪にもなるのだぞ!あのアレックスという男が例え勇者だとしてもそれは立派な犯罪になろう!!そんなやつを勇者としては呼べぬ!!!」


 王様は息を切らしながらも怒っている…。やっぱり、あのアレックスという男…とんでもないクズだなぁ…。


 「いや…、熱くなりすぎた…。すまぬ… フィリシア王女よ…」


 王様は下を向き…。目を瞑る…。


 「どうしたらいいのだ…。どうすれば…。本当の…、本当の勇者はどこにいるのだ…。いなければこの国も終わってしまう…。最近は森から出てくるモンスターの数も一気に増えてきている…。このままではブルーデージ国と同じようになってしまう…」


 「王様!まだ終わっていません!」


 フィリシア王女様が力強い言葉を王様に投げ掛ける。


 「何故、終わらないとわかる。勇者について何か心辺りでもあるのか?!」


 「はい!」


 フィリシア王女様の力強い返事に王様は顔をあげ、王女様の事を見る。


 「実はクレンセントの森にて…、私がデスフラッグと攻戦して苦戦を強いられている時にとあるパーティーと会いました…。そのパーティーの一人一人の実力はすさまじく、私が苦戦していたデスフラッグもいとも簡単に倒してしまったのです。その一人の中に勇者だけが使えるスキル、セイントバーストを扱える者が居ました。

 更にその者の仲間は通常の10倍ほど能力が上がっていまして… それも彼の放つオートバフによるものだと思っております…。

 おまけにその仲間達は昔の勇者パーティーと同じパーティー構成で… ラビット族の魔弓使い、忍者、そして大聖女クラスの実力を持った少女もいます…」


 「な、なんと!!その者達はどこに行ったのだ!?彼らこそ人類の希望になるかもしれぬ!」


 王様は立ち上がり…。フィリシア王女様の顔を真剣に見つめて言葉を待っている。


 「なんでも適正検査を受けるためこの王国に向かっているらしいと…。そして彼は昔、適正検査でレア6でしたが、ジョブが何か分からなかったと言われ… スキルが扱えなかったみたいです。そしてその大聖女クラスの少女も適正検査を受けるとか…」


 勇者が他にもいる…。私は悲しくなった…。私はルイス君が勇者だと思ったからだ…。


 「これはまさかの奇跡… ぉお~…神は我ら人類を見捨てなかったのだな…。して、その勇者のスキルを扱える者の名は?」


 「たしか… ルイス・ガーランド… だったはずです…」


 えっ…、今なんて?


 「ルイス・ガーランド… か…。」


 「うそっ!!ルイス君が!?」


 私は声をあげてしまった…。


 「ん?ミランダ…。お主も知っているのか?!」


 「はい。お話の腰を折ってしまう事をお許しください… 実は…」


 私が、過去に起こった不思議な少年の事を話した。光のオーラを纏える少年。自分に強化魔法をかけて体格差もある暴漢二人を圧倒的な強さで倒し、私のケガを回復してくれた事。


 私がこの道を選んだのも彼がいたから…。いつか出会えると信じて…。だから嬉しかった…。もし本当に彼なら… 私は…。


 「全、兵士に通達せよ。この王国にルイス・ガーランドが来た際は適性検査を大至急受けてもらうようにだ!」


 「はっ!!」


 彼に会える…。早く会ってお礼が言いたい…。


………。

……。

…。


 

 

 

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