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31 数体のデスフラッグ


 「なっ…ななななっ!なんなんだ!お前達は… まさか!?次は私を拉致しようとしてるんじゃないだろうな!」


 エルフの女性が俺達を見て恐縮している。それからすぐに、さっきの悲鳴を聞いてかけつけてきたヒナル達が来る。


 「ルイスよ!今度はこのおなごを侍らせるつもりか?あなどれないご主人様なのじゃ!」


 「奴隷の少女?!」


 エルフの女性はスルトを見るなり…。


 「ひぃいいい!さては私を縛り上げ、このまだ幼い少女のように私を奴隷にして!?」


 「おっ、おい!変なこと言うな!」


 俺は咄嗟にスルトにチョップをくらわす。


 「いっ! つつつ… 痛いのじゃあ!のじゃあ~っ!」


 「スルト~っ、縛るならまかせといて~っ!(変な虫がこれ以上増えないように)」


 「えっ、ええ…。お兄さんにはそういう趣味が… 昨日は私で…、一昨日はスルトだったのに…(一緒に寝たのは…)」


 「ちっ、近寄るな!そんな事するくらいなら!くっ……殺せっ!!」


 だ、だめだこりゃ…。


 「お前達~~っ!!そんなに俺がそういう風に見えるんかぁああああっ!」


 「うん!!(~っ!!)(なのじゃ!!)」


 「ひぃいいい!」


 女性のエルフさんは悲鳴をあげる…。


………。

……。

…。


 それから、なんとか誤解が解けてようやく話ができる状態になった…。適正検査を受けにメルドアの街からヘルポリアの村経由で街道を通り、ここまで来たという事を軽く手短に説明した。


 説明が疲れたよ…。


 「そ、そうであったか。それは失礼したな!私はエルフの国のフィリシアという。最近モンスターが多くてな…」


 「俺はルイス・ガーランドだ」


 「私はスガ・ヒナルです」


 …と、次々と紹介していく。最後にスルトの自己紹介…。


 「我は魔族のスルトなのじゃ!」


 えっ、普通に魔族いっちゃってるよ!このロリっ子!


 「魔族だと」


 フィリシアは眉をぴくりと動かし、表情を強ばらせてスルトを見る。スルトからさっきの冗談を言っていた表情から一瞬にして悲しい顔をする…。


 「な、なんじゃ!我は人間達と仲良くしたいだけなのじゃ…」


 「あ、あぁ… 怖がらせてすまんな。違うんだ!」


 スルトは顔を斜めに首を傾げて、目を大きくする。その顔が凄く可愛い。


 「ふぇ?」


 「人間を襲っている魔族は本来の魔族じゃないんだろう?それくらい私も知っているぞ!」


 「そうなのじゃ!我はこんなに可愛くぷりちーな魔族なのじゃ!のじゃのじゃ!」


 フェリシアの言い方にスルトは一気に普段のスルトに戻り「にゃははは」と笑っている。


 「それにしても、ルイスよ。そなたが使ったあの技はまさしく勇者の技。ルイスは勇者なんだろ?もしや、適正検査を受けるからエルフ国に来るのが遅れたとかか?」


 「えっ、違います!俺は勇者じゃないし、既に勇者が存在しますからね。俺のジョブはレア6だったけど…このジョブが何か分からないし、スキルも分からないんだ…。こないだまでスキルすら使えなくて無能と呼ばれていたけど… 最近になってスキルが使えるようになった。だから適正検査を受けにいくんだ!」



 「なんと!? しかし、勇者以外のレア6なんて初耳だぞ?!」


 「そ、そうなんですか?!」


 「ああ!!」


 その時だった…。


 「ん?地震か?なにか揺れたような…」


 地面が地震のように揺れだす。木々を薙ぎ倒し森の奥から姿を見せてきたのは…数体のデスフラッグが姿を見せる。


 「ま、まずいだろ…。流石に私でもこれは…」


 フィリシアはおろおろとしているが…。


 「あぁ…俺達なら問題ない!!」


 「また余裕なのか!?お前達は一体なんなんだ!?今までそんな人を見た事がないぞ!」


 うん、全く問題ない。皆、戦闘態勢モードだ。スルトはとりあえず避難させるが…。


 「ウチから行くよ~っ!!爆炎付与!!」


 コタースは大木に駆け登り、一呼吸をおいてから弓を構え、魔力を矢に付与する。すると黄色の眩しい炎が矢を包む。矢をデスフラッグに向ける。

  

 「放て~っ!爆発矢~っ!!」


 矢は高速にデスフラッグの中心へと進み…。一体のデスフラッグに当たると共に小爆発を起こす。その衝撃で数体がそのまま倒れる。


 更にヒナルが…。目を閉じて両手を合わせる。


 「聖痕つける者…。心の聖なる母の愛の懺悔…。司る光とて闇を沈めん…」


 無意識のうちに言葉を発している…。スキルを発動するために詠唱しているであろう…。


 やがて無数の光がヒナルの回りに集まり…。ヒナルは光に包まれる。そしてヒナルの回りに分散した時…。ヒナル手を前に出す。手から無数の光の槍が出現する…。


 「ホーリーランス!!」


 ヒナルの手から放たれた数本の光の槍が数体のデスフラッグに向かって高速で延びていく。一体… また一体と光の槍がデスフラッグに突き刺さる。突き刺さったデスフラッグはそのまま倒れこむ。


 「あの魔法は…?!」


 フィリシアはその光景に驚く。彼女からすれば無理もない…。一匹相手に苦戦をしいられていたのだから…。


 そして…。俺は…。


 「セイントバーストっ!クロスっ!!!」


 頭の中で何かが閃いた…。新たなスキルを覚えた…。でも、なんで…?


 今まで使っていたセイントバーストよりも一回り大きく…二本のX字を書いたような白い閃光がデスフラッグの群れの中心に向かい大爆発を起こす。


 「おっ…おい!!森が!!」


 フィリシアが言葉を発する前には既に遅く…。フィリシアはその光景を眺めている…。爆発の影響は凄まじく、当たり一面に穴が空いてしまった…。群れで固まっていたデスフラッグすらも跡形なく消し去ってしまっている。


 「しまった!やりすぎたっ!」


 「あれはやりすぎだろ!ちょっとは加減しろ!!」


 俺は、ジト目で見ていたフィリシアに少し怒られてしまう。 


 残りの敵もコタースと仁さんが始末していく。二人とも攻撃が早く、残りのデスフラッグを始末するのもあっという間の出来事だった…。


………。

……。

…。

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