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13 ヒナルと合流!


 -ヒナル視点-


 宿舎にオーガという成人男性よりもふた回り以上も大きい化け物が戸を開けようとしてきて中に入ろうとしてきている。そんな時…。

 

 (外が何か騒がしい…)


 宿舎にいた人達も恐怖で誰も喋らなくなり静けさと緊張感が漂う。重苦しく嫌な雰囲気になっている時の事だった。外から化け物のどよめきが聞こえてくる。窓から外を見ている男性の人が


 「オーガを一人で倒している人がいる!助かった!」


と歓喜をあげている。間違いない…。多分、お兄さんだ!宿舎を離れて僅か数十分。能力が消えるまで数分。お兄さんなら…。


 「ここ一帯のオーガが倒されたぞ!皆安心していいぞ!!まさに彼は英雄だぁっ!!」


 …と…。一人の兵隊さんが声をあげる。それと同時に宿舎にいた人達が抱き合い、泣きながら良かった!良かった!と一斉に言う。そんな私もほっとする…。

 でも、あの不思議な力…。本当に私が?たまたま何かそういう風になっただけ?


 私は、とっさの事で思い出したかのようにユリシアちゃんとオバナさんを見て微笑んだ。


 「お嬢ちゃん、ありがとう… 本当にありがとう…」


 「おねーたん!ううん… せいじょさま… ありがとー!」


 そんなやりとりをして直ぐに宿舎の戸が開く…。




 -ルイス視点-



 「大丈夫か!?」


 俺は、入るなりヒナルの安否を確認した。数人の街の人や兵隊に「助かった!」等、感謝されつつ彼女を探す。彼女は奥の方にいて、どっと疲れたかのような表情を見せている。その横には花屋のオバナさんと毛布がひかれたテーブルの上にはユリシアが居た。


 「うん…。ちょっと疲れましたが…。」


 「良かった…。」


 オバナさんは俺の顔をみる。


 「あんた…。凄く強いんだねぇ…。もうダメだとおもった…。うん…。本当に助かったよ…。それと、うしろのお嬢ちゃんもまだ子供なのに助けてくれたのかい?」


 オバナさんはウサ耳少女にも声をかける。


 「えっと~っ、そうだよ~っ!でもね~っ… ウチ、弓の扱い下手なはずなんだけどね~っ…」


 ウサ耳は恥ずかしそうに目を瞑りながらにこっとして答える。


 「おにーたん、ゆーしゃさまみたい!ありがとー!あとね…、おねーたんがきずをなおしてくれたんだよ!いたいのいたいのとんでけぇ~って!」


 「ほんと、びっくりしたよ…。そういえば、あんた…。 お嬢さん?名前はなんていうんだい?」

 

 「私はヒナルといいます。」


 「あんた~、ヒナルちゃんは凄かったんだよ?まるでありゃ~聖女様みたいだったよ!」


 「そうそう!あんな広範囲の回復魔法使えるのは聖女様しか聞いたことないよ!」


 「傷の治りも早かった!あれは勇者パーティーのクリステル様以上だよ!!」


 (やっぱりヒナルだったんだ?クリステルよりも強い光だった…。)


 「いえいえ!私は本当にワケわからないんですよ!ただ、ユリシアちゃんを助けたい!と強く祈ったんです…。」


 ヒナルは照れているようにも見えるが、自分がやったと信じれていないようだ…。俺は彼女が安心できるように…。


 「でも、ヒナルのおかげだよ。ヒナルが祈ってくれたから… この世界の神様が答えてくれたんだよ?」


 「凄い人も凄いけど~ぉ、ヒナルさんもすごいね~っ!!ウチも近くで見てみたかったな~っ!」


 ウサ耳少女がヒナルをみてにまにましながら話している。その横では兵隊達が…。


 「ああ!本当に凄かったよ!?前に飛竜討伐に出た時にも今回と同じように味方の誤射した矢を膝に受けてクリステル様に治してもらったんだが…。あの時以上の回復力の早さだよ!」


 「はははっ!お前、兵隊辞めなくてすんだな!」


 「辞めたら、酒場で歌を聴きながら片手にエールを飲みながらスイートロールでも頬張るよ!」


 兵隊達はそんな会話をして盛り上がっていた。


 (クリステル以上の治癒魔法…。クリステル…。)


 俺は"元恋人"の事を思った。考えるだけで悲しさと苛立ちを覚える…。そして何より…。ぶちっと頭がキレる。


 「あの勇者様御一考は、こんな一大事にアイツらはどこで何をしていやがるんだ?!オーガ討伐にいったんじゃなかったんかよ?!?!本来ならアイツらでなんとかするんじゃねーのか!?」


 俺はついカッとなってしまい言葉を荒らげてしまった。兵隊達や村人、ヒナルやオバナさんやユリシアも、ウサ耳もびっくりしている。


 「す、すまん。ついカッとなってしまった…」


 「あ、あぁ…、気にするな。勇者様については途中居なくなったんだ。オーガ一匹相手に苦戦していたって話だぜ?その後、連れの仲間とケンカ?口論していたって話だ!」


 「アイツらがオーガにおされていたと?」


 兵隊はそれが事実だという表情でこちらを見ていた。




 

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