40 サイコパスロリコン
「これは魔法の範囲を狭める代わりに座標計算省略、威力増加をさせる魔法使いの秘密兵器さ」
そして、黒杖の先端から収束された爆裂魔法が一本の光となってイナセに向かって放たれる。眩い光は目にも留まらぬ速さでイナセの脳天を貫いた。そしてイナセのすべての穴という穴から光が溢れ出す。
そしてイナセは爆裂し、元はイナセであった肉片たちが観客の前にごろごろと転がっていく。当然、観客は大声で悲鳴を上げる。その中には、失禁してしまった者や、嘔吐してしまっている者もいる。普段は殺し合いなど縁のない生徒達には生の死体はあまりにも衝撃的であったようだ。
『こ……校っっ長‼︎殺人はアタマぶっ飛んでますよ!』
「あーごめごめぇん。でも安心してほしいなぁ。こんくらいの破裂だったら私、治せるカラァ」
「みんなも怖がらせちゃってごめんねぇ。今再生させるからぁ」
そう言ってフーリエが申し訳なさそうに肉片の一つに杖を向けた瞬間ーー
バラバラに転がっていた肉片と血液が、フーリエの目の前に引き寄せられていく。そして次々と体のパーツが組み合わさっていき、人の形が出来上がる。
「え、えぇぇぇぇぇ⁉︎イナセたん何者なのぉぉぉぉぉ‼︎」
イナセは地面に転がっていた剣を拾い上げ、驚きの声を上げるフーリエに斬りかかる。「カキンッ」という金属音が響き、フーリエの黒杖が真っ二つになり、破片が遠くに飛んでいく。
「どうだ!サイコパスロリコン」
「あー、魔法使いの秘密兵器よわー」
黒杖を破壊した後も剣を振り続けるが、フーリエはのらりくらりとしながらそれをかわしていく。今にも欠伸を吐き出すかのような怠惰な表情を睨み続けながら、音速に到達し得る剣を少ない動きで避け続ける。
「暇極まりないでござるぅ。また本気出しちゃおっかな?」
やはりフーリエは恐ろしい実力の持ち主のようだ。真っ向勝負では歯が立たない。でもこちらにはまだ勝機が残っている。フーリエは魔法しか使えないが、こちらは剣に加え、本に載っていた魔法が使える。魔法と剣術を複合させた戦い方ができればまだ十分に戦える。
「おやぁ?なんか思いついたみたいだね、イナセたん」
「その通りだよ」
刹那、剣の先で地面に高速で幾何学形態を描き、指を切って血を垂らす。魔法陣はイナセの血液を吸い、紅く光を帯びる。
そして、魔法陣から溶岩が溢れ出し、フーリエを容赦なく飲み込んでいった。




